田舎の伝承|怖い話・不思議な話
人形山
飛騨白川村と越中平村の境界にある人形山にまつわる話。
昔ある村に二人の娘とその母親がすんでいたが
ある年の冬、母親が病に倒れてしまう。
母親の快復を願った娘二人は山の上にある権現様に
祈願しにでかけるが、途中で吹雪と霧にまかれ
その後山から降りてくることはなかった。
当時この権現を祀っていた山は女人禁制で(修験場ではよくある)
村人達は神の怒りに触れたと口々にもらした。
その冬があけ春が来た時に母親が外に出て山を眺めると
そこには娘二人の雪形が浮かび上がっていたという。
おらんさん
もう何十年も昔の体験なので、記憶違いや思い違いもあるんだろうけど、子供のときに幽霊を見たかもしれない。
母親の実家は、某県の山間の村。
なんか村全体が顔見知り、親戚って感じの小さい村。
夏休みになると、父親が運転する車で祖父の家に泊まりに行くのが恒例だった。
内気な性格だったから、村で友達を探すようなことはせず、ひとりで遊んでいた。
イワナみたいな魚も釣れる小川もあったし、田んぼもめずらしかったし、山も虫とかいっぱいいて、ひとりでも十分楽しめたんだよ。
もちろん、遊ぶときは行っちゃいけない場所とかきつく言われた。
あっちは崖があって危ないとか、あそこは沼があるから気をつけろとかね。
そのうちのひとつに、特に絶対に行っちゃ駄目だってところがあった。
その理由が、お化けが出るからだった。
当然のごとく、行くなと言われれば気になるもので、見に行ってしまった。
そこがどこで、どうやって行ったかは、もう記憶にない。
子供の足だから村はずれぐらいだとは思う。周りに人家はなかったはず。
でも、草ぼうぼうの原っぱみたいな場所の真ん中に石碑があって、その隣に立つ赤い着物の女性がいたのだけは覚えている。
それを見た俺は祖父の家に「怖いっ」て泣いて帰ったらしい。
俺が言いつけを破ったのを知った祖父が激怒。鬼のような形相で叱りつけたらしい。
それを見た父親は最初とりなしていたんだけど、ついに父親もブチ切れ。
その日のうちに帰ったらしい。
それ以来、祖父とは疎遠になってしまったらしく、それを聞くたびに申し訳なくなる。
今年、その祖父も亡くなり、葬儀のために二十数年ぶりに村に行ったとき思い出したので何となく書いてみた。
母いわく「おらんさん」を祀っているらしい。
子供の頃、夜更かししたり悪いことすると母親に
「おらんさんが来るよ」
「おらんさんに連れて行かれるよ」
ってよく言われた。
子供だから何かはわからないけど、とにかく「おらんさん」ってのが怖かったのを覚えている。
母親も、祖父から似たようなことを言われて育ったんだってさ。
昔、村のひとりものの男がいた。
そこにある日、怪我した女が転がり込んだ。
それが、おらんさん。
本当の名前は違うらしいけど、おらんさんって呼ばれている。
男とおらんさんは良い仲になって夫婦みたいだったそうだ。
だけど、おらんさんは隠し金山の場所を知っていた。
村人たちは、おらんさんがいると村に悪いことが起きるからと、おらんさんと男を村から追い出した。
それから、村に立て続けに不幸が起きた。
これは追い出したおらんさんの祟りじゃないかと、男の家があったところに碑を作って供養した。
ちょっと支離滅裂だけど、母親が言うのをそのまままとめると、こんな話だった。
キューブ
かなり昔のことなのですが・・・
私は関西の田舎町に住んでいて、その時は高校生でした。
何にもない普通の田舎町でしたが、町の中央には川が流れていて
その隔たりで出来た両地区の温度差というか不自然さを少し感じたときがありました。
私の家はたいそう古く倉があり、家を改築するときにその倉を壊すことがきまり中のものを確認しました。
いろいろと古めかしいものがありましたが何故か紫の巾着袋に目がいきました。
横で作業している両親を尻目にヒッソリと持ち出したのです。
すぐには開けずに、友達内でのいいネタになるかなと後日友達を呼んで開封しました。彼らをA B Cとします。
彼らとは小学生からの繋がりでとても中がよかったのです。
袋の中からはゲームのテトリスのブロックと言えば分かりやすいでしょうか?
それを実体化した板状のざまざまの形のものが出てきました。
コの字だったり、一の字だったり。
また薄茶色であり、各面には唐草模様が浮き彫りしていて肌触りもよかったのです。
私たちのテンションが上がり、何のために作られたのか?どう使うのか?材質は何なのか?ということが私たちの脳内を駆け巡りました。
小一時間、それらを弄くってるとAはもしかしたらパズルなのでは?と言いました。
なるほど、パーツには凹凸みたいな固定できる部分があり立体パズルなのかなと感じました。
代わる代わる繋げていくと三面に囲まれた角が出来、直感的に立方体が完成形だと確信しました。
しかし、そこからが難しくて進みません。他のみんなはあきてしまい時間も時間なので帰路につきました。
友達が帰ったあとも、私はめげずにそのパズルと格闘していました。
数日後、学校であのパズルの話をしようとしたらBは嫌がるそぶりを見せるのです。
そういえば心なしか最近元気なさそうに見える。詳しく聞くと
あれから、変な女の人が自分の回りをうろつくようになったというのです。
その人は焦げ茶色の和服を来て、黒髪を後ろで束ねているが全体的に乱れている感じがしたそうです。
初め遭遇したときは、後ろ向きに座っていて、グミのようにあり得ない腰の曲がり方をしてこちらを見て笑ったそうです。
そして日に日に距離が近づいてくるらしいです。
私は彼が怖がらせようと冗談で言っていると思いましたが、そうは見えない感じでした。
しかし、私もパズルにはまっていったので途中でやめるわけにはいけませんでした。
Bは、あのパズルは何かある。お祓いしにいこうとかいいましたが私を含めた3人は笑ってごまかしました。
その数日後、突然Bが学校に来なくなってしまいました。
何度も彼の自宅に足を運びましたが会ってくれません。
私はパズルは3分の2ぐらい出来ていましたが気持ち悪くなり放置しました。
そしてBが登校拒否になって5日過ぎたときに最悪の出来事が起きてしまったのです。
Cが交通事故にあい、病院に緊急入院したと担任の口から言い渡されました。
私とAはショックを隠しきれなく、見舞いにいこうとしましたが何故かCの母親にやんわり拒否されてしまいました。
私とAの心中は乱れに乱れて、立て続けに仲間に起こった出来事に
今度は自分に災いが降りかかるのかと恐怖していました。
そして私達は親に内緒でパズルを持って近くの神社に行く決意をしました。
私達は神社に足を踏み入れ神主さんと対面しました。
神主さんにパズルがはいった巾着袋を見せると、ぎょっとした顔をして凍り付いていました。
私達のこれまでの経緯を話し、後は神主さんに聞いた話
まず巾着袋に入っていたのはパズルや玩具の類いではなく以前あった土着の宗教の儀式用品であること
大昔はこの辺りでは独自な宗教を信じていて、国の権力下に入ったときに
多くの人々が徐々に仏教に改心したり、土着のしきたりや風習などを廃したが一部の人は頑なに土着の宗教を信奉した。
時がたち回りの人は気味悪がり、弾圧しようとしたが家畜処理やゴミなどの汚れ仕事を容認することによりその存在を許した。
そして川の向こうに彼らを住まわせた。
そしていつの間にか厳しい差別が彼らに対して出来てしまった。
それは時代ごとに増していったという。
そして彼らの地区では現世の差別からくる貧しさ、苦しさからあの世にある楽園に目を向けた。
自分達は選ばれた選民であり楽園に行けるが、ほかのものは苦界にいくという思想は以前からあったがだんだん強くなっていった。
そしてその産物がこのパズル状のもので最終的には立方体にやはりなるそうでハコと呼ばれていた。
かいつまんで言うとこのハコは楽園に行くための切符みたいなものだそうだ。
常日頃、楽園を夢見て、身の毛もよだつ儀式をして(死体を食べたり、生皮をはいだり)魂を高めながら少しずつパーツを組んでハコを構築していく。
そして死の間際、ハコを完成し安心して死んでいく。
そしてハコをバラして同じことを繰り返していく・・・
私とAは放心状態でした。
このハコには、人間の痛み苦しみ悲しみ怒りが凝結して凝り固まっている、
まさに負の根源。
だから災いが起きたのだと神主はいいました。
何代も前の神主からほかのハコを回収してきてすべて回収し終えたと思っていたらしいです。
私達はハコを神主に渡し、お祓いを受けました。後日Bもお祓いを受けました。
最後にハコは何の素材でできているか神主に聞いたところ、それは聞かない方がいいと口を濁しました。
数年後、Bは精神を病んでしまい精神病院へ。
Cは植物人間になっていたらしくそのまま。
Aは奇病で右目の視力を失い、左目の失明に恐れている日々 なのだそうです。
雁姫様
先生が小4まで住んでいた町はど田舎で子供の遊び場と言ったら遊具のある近所のお宮だったそうだ。
そのお宮には元々祭られている神様とは別に雁姫様と言う幼い姫君が祭られていた。
雁姫とは昔ある藩からある藩へ幼くして嫁いでくるはずだった姫なのだが嫁ぐ道中で病により亡くなりこの地に葬られたらしい。
ところでこの土地の子供達の間では【雁姫様の鏡】と言う遊びが流行っていた。
内容は雁姫役の子供を中心に数人で円を作り手を繋いで歌いながらぐるぐる回るあーぶくったったの様な遊び
歌の歌詞は姫役と周りの子で歌うパートが異なっていて確かこんな感じだったと思う。
周りの子「1つお進みください雁姫様」
姫「ここはどこぞ?」
周りの子「ここは常世でございます」
周りの子「2つお進みください雁姫様」
姫「ここはどこぞ?」
周りの子「ここは浄玻璃鏡の間」
周りの子「3つお進みください雁姫様」
姫「ここはどこぞ?」
周りの子「ここは鳥辺野石灯籠」
周りの子「4つお進みください雁姫様」
姫「ここはどこぞ?」
周りの子「ここはうつし世鳥居の間」
そう歌い終わると姫役の子は12を数えその間に他の子は逃げたり隠れたり。まあ一種の鬼ごっこだわな
でその遊びには1つルールがあってお盆と姫の命日にはやってはいけなかった。
でもお盆はともかく姫の命日が2月とか12月とか曖昧で命日はあまり気にせず皆遊んでいたそうです。
その日は冬とは言えぬ程暖かい日で先生は友人達とお宮の境内で駄菓子をつつきながら漫画の回し読みをしていました。
暫くして駄菓子も無くなり漫画にも飽き先生達は【雁姫様の鏡】をして遊び始た。
一度目は友人Aが鬼(姫)、次はB、次は先生と何事も無くいつものように楽しく遊びは進められて行ったのですが異変はCが姫役になった時に起きました。
Cが12を数えている内に先生とBは一緒にお宮の階段の裏側に素早く潜り込んで息を潜めていました。
その間AをCが追いかけているのを見て2人してほくそえんでいたそうです。
暫くするとAとCはお宮の裏側へ消えていきました。始終AとCの楽しそうな悲鳴が聞こえます。
どれ位そうしていたでしょうか?先生とBはいつまで経ってもCが見つけに来ないので痺れを切らし外へ出ました。
もう賑やかで楽しそうなAとCの声が聞こえません。
先生はさては2人して先に帰ったなと思ったそうですがそうではありませんでした。
突然後方からBの耳を劈くような悲鳴が聞こえました。先生は急いでBの元へ駆けつけました。
そこではCが蹲って何やらぶつぶつ喋っています。
先生はどうしたのかとCの肩に手を置くとその瞬間Cがもの凄い勢いで振り返り先生を突き飛ばしました。
振り向いたCを見て先生は絶句しました。Cの顔が歪んでいる・・・いいやあれはもう1つの顔が重なっているような異様な顔
次の瞬間Bが大声で「逃げろ!」と叫びその声で正気を取り戻した先生はBと共に全力疾走で近所の民家まで逃げたそうです。
さてその後なんですが先生とBは逃げ込んだ民家から家に連絡して親に向かえに来てもらい
事の一部始終を話したのですが全く信じて貰えなかったようです。
それもこれもその後AとCは何事も無かったように其々の家に帰宅し後日2人して先生とBの家を訪ね
「何で先にかえっちゃうんだよ心配したんだぜ」といつもの元気な姿を見せたからでした。
その後先生は東京に引越し何時しかその地域の子供達とも疎遠となったのですが
先生は今でもはっきりとCの歪んだ顔とつぶやいていた言葉が忘れられないそうです。
さぶらいびと・・・うしろみたち我も共に・・はかなくともてなされしに・・・・・・
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