『寺生まれのTさん』 全50話【1話 – 20話】

寺生まれのTさん 全50話 寺生まれのTさん

寺生まれのTさんとは?

2chのコピペなどで度々登場するする架空の人物で、『破ぁ!』という声とともに様々な悪霊を退治しています。
強烈なインパクトのキャラクターのため既存のコピペから色々と派生して色んな話が生まれたりしているようです。

初出は、オカ板やVIPという説があるようです。

Tさんは、どんな場所でも颯爽と登場し、心霊現象を解決していくヒーローのような存在で、Tさんの武勇伝は本人からではなく、助けられた人からの証言として語られています。
寺に生まれた者の宿命として無償でお祓いをして廻っているらしいTさんの武勇伝をお楽しみください。

 

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原典

俺は原付に乗って買い物に出かけた
普段どうり国道を走っていると
真っ赤なワンピースを着た綺麗な女性が眼に映った
お、綺麗な人だな、そう思った瞬間
俺は対向車線から来たトラックに撥ねられた
柔道を習っていた俺はとっさの瞬間受身をとる事ができたため
両足を骨折する重傷ですんだ。

それから半年たったある日友人のKが同じくトラックに撥ねられた
直ぐに病院に駆けつけたが、Kに意識は無くその後死亡した
その場で救助に当たった人の話によるとKは
「赤いワンピースを見てついよそ見しちまった・・・」
と呟いていたという
俺は驚いた。

アレは死神なんじゃないか?
俺がそう思っている頃またあそこで事故が合った
話を聞いてみるとひき逃げらしかった
この辺りは見通しがいいにも拘らずそういう事故が多いらしい
俺はあの赤いワンピースの女が死神だと確信した

数日後俺はバイトの先輩Tさんの車に乗ってその道を走っていた
Tさんは実家が寺で非常に霊感が強いらしく、俺は死神の話をしてみた。
「ふーん」っと素っ気なく聞いていたTさん
だが少し走ってからTさんが突然
「あの女か!」と叫んだ。

見ると確かにあの赤いワンピースを着た女が道を歩いている!!
「そうです!あの女です!!」
俺が叫ぶと「そうじゃない!あっち事だ!!」と正面を指すT先輩

見ると顔の抉れた女が対向車線を走るトラックの方向を狂わそうと、
車体飛び移っている所だった!
「ハンドル頼んだぜ・・・」
Tさんはそう呟くと車の窓から上半身を外に出し、狙いを定め
「破ぁーーーーー!!」と叫んだ
するとTさんの両手から青白い光弾が飛びだし、女の霊を吹き飛ばした
「これで安心だな・・・」そう呟いて片手でタバコに火をつけるTさん。
寺生まれってスゲェ・・・その時初めてそう思った。

 

 

『寺生まれのTさん』 全50話

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寺生まれのTさん 全50話【21話 – 40話】

寺生まれのTさん 全50話【41話 – 50話】

 

 

1. 夜釣り

俺は夜釣りに出かけた
ある日、遊びの予定がキャンセルになった俺は秘密の釣り場で夜釣りを楽しむ事にした
街から少し離れた所にある橋で、静かでよくつれる俺の穴場
その日も良く釣れ、しばらくした頃、全身に寒気が。
何か恐いな・・・そう思いつつも入れ食い状態のその場を離れる気にもならず夜釣りを楽しんだ
「あなたも釣りですか?」後ろから声をかけられた、振り返るとそこにはサラリーマン風の中年男性が
「えぇ、ここよく釣れるんです」「えぇそうらしいですね」
「あなたも釣りですか?」「・・・まぁそうですね」話していくうちに段々と俺は違和感を感じた
男性はどう見てもスーツ姿、とても釣りを楽しむ格好じゃない、こんな所でなにを・・・

「あなた、つらないんですか・・・」男性の声・・・いやおかしい、明らかに上から聞こえてきた
「つりましょうよ、あなたも・・・」俺は恐怖に震えながらも上を見上げた・・・
そこには、今話をしていた男性の首吊り死体が!!男が言っていたのは「釣り」ではなく「吊り」だったのだ!!
気が付くと俺の目の前には無数の人影が「吊ろう・・・一緒に吊ろう・・・」と俺に囁いている

「そこまでだ」聞いたことのある声、寺生まれで霊感の強いTさんだ
影によって今にも吊り上げられそうな俺の前に来ると、自前の釣竿を振り回し
「破ぁ!!」と叫ぶ、すると釣竿の糸が眩く光り、振り回した糸が剣のように次々と影を引き裂いてゆく!
ある程度影を振り払うと、Tさんの呪文によって周りには光が走り、アッー!と言う間に影は全滅した。

「Tさんも夜釣りですか?」そう尋ねるとTさんは俺を指差し「まあな、随分と小物を釣り上げちまったがな・・・」
帰り道で聞いた話によるとあそこは自殺の名所で首吊りが首吊りを呼ぶ恐怖の橋らしい。
「すっかり日も上がっちまったな、どれ、街で女の子でも釣りに行くか」
そう言って車に飛び乗り爽やかに笑ってみせるTさんを見て
寺生まれはスゴイ、俺はいろんな意味で思った。

 

 

 

2. 悪夢

俺は久々に嫌な夢を見た
ノコギリを持った男が俺の部屋に立っている・・・
俺は恐怖のあまり動くことが出来ず、ただその男を眺めている。
すると男は突然ノコギリで家の柱を切り出した!
思わず「やめろ!!」と叫ぶ俺

するとゆっくりこちらを振り返る男
その顔は、見るも無残に潰されて顔中に釘が打ち付けてある
「お前もこうなりたいのか?お前もこうなりたいのか?
してやろうか?してやろうか?」

ゆっくり俺に近づく男・・・俺は金縛りにあったように動けず、そして・・・
男のノコギリが俺の顔に・・・

そこで目が覚めた

嫌な夢だ、後味が悪い・・・俺は水を飲もうと立ち上がった
俺の目に飛び込んできたのは、無残にも傷つけられた家の柱!
俺は恐怖で腰を抜かしてしまった、あの男は現実に!!
そして次はホントに俺の顔が刻まれてしまうのではないかと

その日のバイトで、俺は寺生まれで霊感の強いTさんにその夢を相談してみた
しかし、Tさんは「しょせん夢だろ?」と冷たい対応
なんとしても引き下がれないので必死に何とかしてください!と頼み込むと
「それじゃあ俺の作ったお守りやるからそれを枕元に置いて寝ろ、
そうすりゃ大丈夫だ」とお守りを渡してくれた

次の日、不安ながらも朝の早かった俺は床に付いた、そこでまた夢を見た
「つづき、つづき、つづき!つづき!つづき!つづき!」
またあの男だ!!俺は夢の中でTさんのお守りを探した
しかしどこにも見当たらない・・・
「これ?これ?これ?」なんとお守りを男が持っている!もうおしまいだ!!

だが次の瞬間、お守りが眩い光に包まれ、どこからとも無くTさんの声が
「破ぁ!!」
お守りは光と共に飛び散り、男の半身を吹き飛ばした。

「あああああああああ」
半身でのたうつ男を尻目に俺は夢から目覚めた
枕元にあったはずのお守りはどこをどんなに探しても見つからなかった・・・

その話をTさんに話すと
「半身を吹き飛ばした?
やれやれ、威力は親父の作った奴の半分か・・・」と呟くTさん
寺生まれはスゴイ、俺は感動を覚えずにはいられなかった。

 

 

 

3. 初めての彼女

俺にもやっと彼女が出来た
彼女は色白で背も低く病弱で、学校でもよく虐められていたそうだ
俺はそんな彼女の事を守ってあげたいと思い、告白し、付き合うことになった
付き合いだしてから1ヶ月後、彼女が初めて家に止まりに来た。
だが童貞で奥手な俺は彼女にキスすることすら出来ず、
酒を飲むとそのままソファーで眠ってしまった

夜中に妙な音がしたので目が覚めた
誰かがブツブツ何か言ってる・・・
俺は彼女が電話しているのかと隣の部屋を覗き込んだ

するとそこには恐ろしい顔をした彼女が
「おうち、おうち、あたらしいおうち」と呟きながら
自分の髪の毛を壁とタンスの隙間や戸棚の下に押し込んでいる姿だった。
俺はあまりの恐怖に言葉を出すことも出来ずそのまま朝を迎えた。

何事も無かったかの様に眠る彼女・・・俺はどうしていいのか分からず
寺生まれで霊感の強い先輩のTさんに電話をし、ワケを話した
黙って俺の話を聞いたTさんは「よし、待ってろ、すぐ行く」と言ってくれた

俺は彼女に気付かれないようにこっそりTさんを上げると、
彼女を見たTさんは「これは・・・」と呟き
「俺の後ろに下がってろ、絶対に前に来るな・・・」と言い彼女の前に立った
Tさんは何か呪文のようなものを唱え「破ぁ!!」と叫んだ

すると部屋中に仕組まれていたであろう髪の毛がいっせいに燃え上がり
彼女の髪の毛までもが燃え上がった!!

「姿を見せな・・・」
Tさんがそういうと長かった彼女の髪の毛がバサリと抜け落ち、女の生首になった!
「こんな女の子に取り付いて、自分の結界を広げて他のかい、この小悪党め!!」
生首をガシリと掴むTさん
次の瞬間生首は断末魔をあげながら燃え上がり、灰になって消えた。
しゃがみ込んだTさんは無残に抜け降ちた彼女の髪の毛に触れると
「お前たち、元の場所に帰りな・・・」と優しく呟き
フワフワと浮かび上がった髪の毛は彼女の頭に生え移り、元どうりになった。

「二人に『カミ』のご加護がありますように」
Tさんは笑いながらそう言って帰っていった。
寺生まれってスゴイ、改めてそう思った。

 

 

 

4. 海水浴

俺はバイト仲間5人と海へ行くことにした
しかし、海岸は物凄い人で、とても遊ぶことが出来ず、
俺達は目的をドライブに半ば無理やり変更し
海辺の道路をひたすら走っていた。

すると友人のYが「あれ?この辺り人全然いないよ」と言った
見てみると確かにこの辺りだけ人がポカンとおらず、5人で遊ぶなら丁度いい広さがある
浜に降り、ビーチバレーをしたり砂のお城を作ったりと楽しい時間を過ごした
するとYが「私元水泳部なんだー
あのブイまで泳ぎきったらかき氷おごってね!」と言い出した

俺が返事をするより早く海に飛び込むY
なるほど水泳部だけあってか綺麗な泳ぎでブイまでたどり着くY
沖で大きく手を振るY
俺達も浅瀬から手を降って返すが、どうも様子がおかしい

「あれ!?溺れてるんじゃない!?」誰かが叫んだ
確かに今にも沈みそうだ!俺達は急いで救助に向かった
しかし、水泳部のYと違い泳ぎの遅い俺達は中々たどり着くことが出来ず
代わりにYは今にも沈みそうに・・・

「おかしい・・・」
そう思った俺は水中に潜った、するとそこにはYの身体にしがみ付き、
引き込もうとする黒い影が無数に蠢いていた!!

このままじゃ俺達も・・・
そう思った瞬間、大波の向こうから一人のサーファーが!!
寺生まれで霊感の強いTさんだった!
Tさんは板を華麗に操りYを抱き上げるとそのまま波に乗って陸地へ
「破ぁ!!」
振り返らずにTさんが叫んだ
するとTさんの板が起こした無数の泡がボコボコと集まり浮き輪状に、
俺達もそれにつかまって陸までたどり着くことが出来た

「ありがとうございますTさん、でも何でここへ?」
そう聞いた俺にTさんは
「なぁに、この辺りは毎年水難事故が起こってるっていわく付きの海岸でな、
こんな事もあろうかとな・・・」
そういいながらYの胸に手をあて呪文を唱えるTさん、
するとYの口から汚れた水が吐き出されYは意識を取り戻した。

「きっと死者が死者を呼ぶ潮の流れなんだろうぜ、ここは・・・」
海岸線を見つめて呟くTさん
顔を赤くしながら
「あ、あんたなんかに助けてもらうくらいなら死ねばよかったわ!」
と大げさに言い放つYを見て
寺生まれはスゴイ、俺はまたもやそう思った。

 

 

 

5. あるはずの部屋

友人が引っ越しをした。
引っ越し先は築10年の一戸建てで、そこそこの広さもある良い家だった。
だが、家賃が異常なまでに安い。周囲の物件の半分程度しかないのだ。
俺たちは、「そんなに安いのっておかしい」「絶対いわく付きだぜ」「夜幽霊に気をつけろ」等と、友人をちゃかしていた。
やがてそいつは、「そんな事は絶対に無い。来てみればどんなに良い家かわかる」と言い始めた。
そこで、数人でそいつの家に遊びに行くことになった。

その家に入ると、やはりどこかイヤな気配がした。
そいつはしきりに、「どうだ、何もないだろ。おまえらは僻んでいるだけなんだ」等と言っていた。
一階を回った後、階段を上り二階を見て回った。
そこで、昔不動産関係の仕事をしていた家のことに詳しい男が首を傾げた。
「どうかしたか?」と聞くと、
「一階と二階の広さが違う。二階にはもう一部屋あるはずだ」と言う。
言われてみると確かにおかしかった。
二階の廊下の先に、もう一部屋あるはずだった。

問題の廊下にみんなで行って、突き当たりの壁をよく見てみると、壁紙が周りのものより新しい事に気がついた。
そこで、壁紙を引き剥がしてみると、男の予想通りに扉があった。
何があるのかとドキドキしながら戸を開けようとしたが、鍵がかかっていて開かない。
俺たちは、友人の許可を得て扉を破ることにした。

数度の体当たりの後、扉は開かれた。
部屋の中には何もなかった。
ただ部屋の壁すべてに、青いクレヨンでびっしりとこう書かれていた。

『おとうさんおかあさんごめんなさいここからだしてください
おとうさんおかあさんごめんなさいここからだしてください
ここからだしてここからだしてここからだしてここからだして
ここからだしてここからだしてここからだしてここからだして
ここからだしてここからだしてここからだしてここからだして
ここからだしてここからだしてTさんだしてくれてさんきゅう』

寺生まれってスゴイ、改めてそう思った。

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