カウントダウン
僕は今高校一年生でA県で県と同じ名前の私立高校に通っています。
最近この板を知って自分が中学生のとき体験した事を話したくなったんで投下します。
現在、僕はおじいさんの家で家族と共におじいさんと同居してるんですが中学の頃はおじいさんとは県五つ分ほど離れて暮らしていました。
中学2年生も終わりかけ・・・・ちょうど今月辺りですかね。
学校にも大分慣れ、友達もたくさんできて幸福なスクールライフを送っていました。
ある日家に帰ると平日なのに玄関に父さんの靴があって
「早帰りなのかな?」
とか思っていると母さんがリビングから玄関に出てきました。
「アンタ!おばあちゃん亡くなったから荷物まとめるのと通夜の準備しなさい!」
僕は唖然としました。
実はウチの家族はおじいさん達とおじいさん夫婦のどちらかが死んだら残った祖父母のどちらかと
おじいさんの家で同居するという約束がありました。
「父さんにとっては父さんの経営している会社が近くなって嬉しいだろうし・・・
母さんにとってはおじいさんの家は今住んでいる家より広いからこの家に未練はないんだろうけど・・・。
僕にはせっかくできた友達がたくさんいる・・・こんな時に何で死んだんだろう・・」
僕は多少怨みにも似た感情を抱きながら渋々引越しの準備をしていました。
そんなこんなで通夜へ行く道中、僕はムスッとした顔で新幹線の座席に座っていました。
夜なので
「もうすぐA県だわね」
「あっそ」
俺は母さんへの返事も無愛想だった。
このとき凄い僕は怒ってたと思う。
「何でばあちゃん死んだの?」
僕はふと父さんに聞いた。入院もしてなかったし別に体に悪いところがあるなんて話も聞いたことが無かった。
父さんは何か言ってたと思ったけど詳しくは忘れた。
通夜は家でやっていた。
おじいさんの家は予想以上に大きかったけど予想以上に古かった。
「古いんだねー」
歴史のある家に少し憧れを抱いていた僕はちょっと機嫌が良くなっていた。
「ああ、何てったって第二次世界大戦をやる前からあった古い家だからね」
「それに父さん(祖父)は元々呉服屋をやっていて、俺が今やっている会社も父さん(祖父)のやっていた呉服屋が基盤なんだ」
確かこんなことを言ってたと思う。
日本庭園(当時はグチャグチャだったけどね)を歩いて玄関までつくと、まあ通夜だなーって分かる感じになってた。
家の中に入ると古い白黒映画の世界に入ったみたいだった。
床も木製で柱も木製で僕はその雰囲気に少し興奮してた(後で分かったけど結構補強が入っててALL木製ではないらしい)
家の構造は大きなコの字になってる廊下に部屋がポンポンポンとついてて離れと蔵がコとは離れた所にある感じ。(表現力不足でスマソ多分全然違う)
どうでもいいですね・・・。
とりあえず結構古い家です。
大きな部屋で通夜をしていました。
ふすまを開けるとたくさんの人がいて僕は少し戸惑いました。
あったことも無いような人ばかりです。
説明していませんでしたが僕はおじいさんとは産まれた時と3~4歳の頃にあっただけだったのです。
ほぼ初対面で顔も覚えてなかったので会うときは凄く緊張しました。
「こんばんは、k(僕)です。」
こういう場の挨拶なんて知らないんで取り敢えず自己紹介をしました。
おじいさんは泣きはしていませんでしたが少し暗い表情でしたが、僕の声を聞いたのか笑顔を作りながら
「おおー、kか!長いこと会わんかったな~・・・・・・!!!!」
突然おじいさんは僕の顔を見るとビックリした表情で固まってしまいました。
「おじいちゃん?どうしたの?」
「い・・いや、何でもないよ・・ガハハハハハッ」
おじいさんは動揺を隠し切れずに笑いながら部屋を出て行ってしまった。
「何なんだろう・・?」
僕は不審に思ったけど馴染んでないだけあって深追いはせずにいた。
引越しまで話を飛ばしますけど、引っ越した後はそれなりに雰囲気を楽しんでました。
ただ学校には馴染めず、クラブ活動にも参加してませんでした。
なので学校ではいつも孤独で学校が終わったらすぐに家に帰って、家の中を探検していました。
ある日。僕は家の中でも探検しがいのありそうだった蔵に侵入しました。
中は採光のための窓のおかげで大体の物は見えたんですが一部見えないものがあったので、懐中電灯を使っていました。
中には呉服屋だった面影か古めかしい反物や布、機織り機(多分違う)のような機械がきれいに置かれていました。
僕がそれらを眺めているとズテンッ!と下に落ちてしまいました。
「え?下!?」
僕は焦りましたが状況を確認すると床に階段があって棚の上の置物に夢中だった僕が勝手に階段を踏み違えただけでした。
「ビックリしたなぁ・・・。だけど地下もあるのかぁ」
階段は木で出来ていて乗るとミシミシと音がします。
下は暗く、いかにも幽霊とかいますよ~っと無言で語っているようだった。
「よ・・よし行ってやる!」
怖がりな僕は怖さを紛らわす為にゲームの主人公に自分を見立てて探索しようとした。
一旦、蔵から出て自分の部屋に行きまだ整理してなかった荷物をダンボール箱から漁った。
「あった!」
エアーガン、壊れてるラジオ、ポケットライト。
今思い出すとバカバカしいが当時は本気でした。
それらを持って僕は蔵に突撃しました。
その時、もう太陽は沈みかけてて夕日になっていたのを覚えています。
胸ポケットにポケットライトをしまい、ズボンの尻の方にエアーガンを刺して僕は階段を一歩ずつ歩いていきました。
一歩一歩に長く時間をかけていたので全部降りきった時には前身に変な汗をかいてたのを覚えています。
ライトで降りてきた階段を照らすと思ったより短くて拍子抜けでした。
降りた先は一般的な公立中学の教室と同じくらいの広さの部屋でした。
壁は石で出来ているみたいでゴツゴツしていて扉らしき物は何も無かったのでどうやら部屋はここだけのようです。
地下室らしくひんやりしていてその空気は僕の恐怖心を煽り立てました。
何かないものかと僕はエアーガン震える手で構えながらライトを照らして辺りを探索していると箱のようなものを見つけました。
今も住んでいます。
何か重要文化財のワンランク下の物に入ってるらしくて取り壊して新しい家を建てることもできないみたいです。
「なんだろ・・これ?」
埃を被っていたので僕が手で払うと立派な赤い漆塗りの箱であることが分かりました。
「これ・・開けてもいいのか?」
開けたら呪われる箱とかパンドラの箱とかを連想して僕は開けるのを戸惑いました。
結局僕は開けるのをやめて蔵から脱出しました。
帰り際僕はふと箱が呼び止めているような気もしましたが無視して歩き続けました。
その日の夜、箱の事を思い出してそのことを考えていると全く眠れなくなりいてもたってもいられなくなり
「箱を開けに行こう!」
と思い体を起こそうとしたら・・・
動けない
これが金縛りって奴でしょうか全く体がびくともしません。
どうしようと僕が目の玉を動かしていると左にふと人影のようなものが見えました。
「え?え?え?!」
左をもう一度見てみると、そこには黄土色っぽい軍服にブーツ、軍帽を被った男・・・第二次世界大戦時の日本兵が立っていました、顔は見えません。
「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!」
僕は腹の底から大声で叫んだ・・・つもりでしたが口がうんともすんとも動きません。
「見るな見るな見るな見るな見るな」
その男から目を逸らそうと右を見ると
右には真っ裸で凄い形相をした女が近くで俺を見下ろしていました。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ」
僕は体を動かそうと必死になりました。
「動け動け動け!!!!!」
心の中で叫んでいたらすっと僕の体が浮かびました。
金縛りから開放されたので僕は一目散に部屋から飛び出そうとしましたが。
ふすまが開かない
僕は必死でふすまを開けようとしてふすまを蹴っ飛ばしたりしましたがびくともしません。
逃げ道を探そうと振り返ったら日本兵らしき男と女が体を向きあっていて静止しています。
そこで僕は1つおかしいことに気づきました。
誰も居ないはずの布団・・・・そこには僕が寝ていました。
「何で!!!!」
そう思ったら女がこちらを見て口を動かしてこう言いました。
「あと二日だああああ!!!」
「うぎゃああああああああああああああ・・・ってアレ夢?」
目覚めると僕は畳の上で布団からはみ出て寝ていた。
「何だ夢かぁ~・・・ってうわああああああああああああ!」
小便ちびっていました。
僕は泣く泣く母さんにだまってパンツを変えて塗れたトランクスを洗濯機に放り込んだ。
その日も学校では誰とも喋れず、とぼとぼと帰宅して夕食をとり部屋で寝転がっていました。
「あいつら、何してるんだろうなぁ・・・・」
僕は前の中学校の友達のことを思い出して少し泣きそうになりました。
「会いたいなぁ」
その時好きだった〇〇さんの事を思い出してなんとも言えないやるせない気持ちになりました。
もう吹っ切れようと僕は早めにその日は寝ました。
「今の生活が嫌なんだろ?」
声が聞こえてふと目を覚ますと僕の目の前には昨日の真っ裸の女が立っていました。
僕は飛び起きました。(金縛りにはなってなかった)
「だ・・・だれだ?!オマエは!」
「いやなんだろ?嫌いなんだろ?」
「く・・・くるな!喋るな!!」
僕は女から距離を取ろうとすると兵士のことを思い出して振り向くと案の定兵士はいました。
「オマエもだ・・・だれなんだよ。でてけよ・・・。」
「・・・・」
兵士は何も言わずに女の方を向いている。相変わらず顔は見えない。
「なんなんだよ!何か喋れよ!!!」
「・・・・」
僕は兵士は何も行動しないのを見るととりあえず害はないだろうと思って女だけを相手にすることにした。
「オマエ・・・生きてるのか?」
「いやなんだろ?」
「答えろよ!!!」
僕が叫ぶと女は姿を消した。
辺りを見回しても兵士しか部屋にはいない。
消えたかと思い、少し安心して床にへたれ込みました。
「あと一日だあああああああああ!!あと一日でオマエも楽にいいいいいい
!!!」
突如、床から絞り込むような奇声が聞こえて床のたたみを見つめると女がいた。
畳と女が同化した・・・・説明がしづらいい感じだった。
「かあさああああああああああああああん!!!!ってまた夢か・・・」
僕はまた畳の上で起きたが昨日とは位置がずれていた。
「部屋の出口に近くなってる・・・」
まるで何かが僕を部屋の外に持っていこうとしているみたいだった。
精神的に疲れて外に出ると母さん、父さん、おじいさんが昨日、今日と叫びながら起きているので心配している様子だったけど僕は軽く受け流した。
学校では昨日の女が言っていた言葉が頭に響いておかしくなってしまいそうだった。
「いやなんだろ?」
確かにこの状況は嫌だ。それにもう少しで修学旅行がある。
孤独な修学旅行なんて絶対嫌だ!!
その時隣の席の女子が話しかけてきた。
「〇〇(苗字)君・・ちょっといいかな?」
「ん?ああ」
神妙な面持ちだった。
「〇〇君さぁ、正直言って悪いけど友達いないよね?」
「うん、いないよ」
「あのさ、〇〇君の後ろにさあ・・変なこと言ってもいいかな?」
「え?何か見えるの?」
「昨日部活やってるときに〇〇君が帰ってくるのを見かけたんだけど・・〇〇君に引きづられるように・・・その・・」
「・・・・気にせず続けてよ」
「裸の女の人が〇〇君に引きづられていたんだ・・・」
「・・・ありがとう」
「ごめんね・・・変だよね」
僕は軽く気にしないように言って放課後すぐに学校を飛び出して蔵に入った。
僕はあの地下に絶対何かあると踏んでいた。
あのひんやりとした感じに何かあると・・・。
懐中電灯を使って地下にある箱を見つけると迷いもせずに箱を開けた。
ここで僕は中に骨か何かが入っていてそれを見つけてもらえてあの女は成仏すると考えていた。
僕は細長い箱を開ける。
中からは黒い束袋が出てきた。持ってみるとかなり重量がある。
「何が入っているんだろう・・・」
僕は袋から細長い物を取り出した。
「え・・・?日本刀?」
その袋の中には黒い鞘に収められた日本刀が2本入ってた。
「すげー!かっけー!!!ってこんなことしてる場合じゃない!」
とりあえず僕は日本刀を置いといて箱を隅まで調べた。
そこで何か紙きれを見つけた。
かなり古いらしく所どころ変色している。
感じばかりで読めなかったが一部だけ読み取ることが出来た。
戦死 〇〇勘助
「〇〇ってウチの・・・!」
僕は何がなんだか分からなくなって混乱していました。
「そうか・・!この刀で女を殺せば終わるんだな!!」
今、思うと正気ではありませんでした。
「殺してやる・・殺してやる・・」
その時頭の中はそれだけだったと思います。
刀を抜いてやるとポタッと何かが刀から落ちた。
「え?何だ?」
と僕は刀を見ると・・刃が血まみれでした。
妙な事に血は刃から出ているようにポタポタとずっとたれ続けています。
僕は何故かその時焦りもせずに持っているハンカチで血をぬぐいました。
この時僕はあの女への怒りと恐怖からか、そんなことは恐怖にも思いませんでした。
大小二つの刀から血が出ていたので二つとも拭って袋に入れ自室に持ち帰って布団のそばに置いて寝ました。
「あの女、殺してやる絶対に殺す」
「今日で最後」
僕は女の声で目を覚ました。
「殺してやる!!!!!!ってあれ?口が動かない・・・!」
こんな時に限って金縛りでした。
僕は必死に腕を動かそうとしましたが、無駄でした。
「今日で最後だあああああああああああ!」
女は目を血ばらせながら俺の足を手で持とうとします。
「誰かああああああああ助けてええええええええええ!」
僕は心の中で助けを呼ぼうとしましたが女は手で僕の足をつかみました。
しかし突如女は手を引っ込めてうなり声をあげながら叫びました。
「きさまあああああああああああなにをしたあああああああああああ!!」
「え?なんだ!!」
女は俺にではなく俺の左にいた・・・・兵士にむかって叫びました。
その直後、シュッ!という音とともに女は叫び声を上げながら消えました。
僕は目を覚ましました。
清々しい朝でしたが、ふと部屋におじいさんがいるのに気づきました。
「蔵を出入りしていると思ったら・・その刀を・・・」
僕は、あっやばい。と感じましたがこの状況で言い訳何て出来るわけが無いと素直に今までのことを白状しました。
するとおじいさんは刀を持って黙って出て行きました。後で母さんが言うには部屋で一人で泣いていたらしい。
そんなこんなで、僕は晴れ晴れとした気持ちで学校へ行くことができ。
授業中にギャグを言えるほどクラスに馴染むことができた。
そんなこんなで東京への修学旅行。
僕は班ごとの分散行動で靖国神社へ行きたいと言いました。
あることを確認したかったから・・・。
他のみんなは渋りました。せっかくの東京でそんな神社なんかに行きたい中学生はそうそういないでしょう。
僕は、戦闘機とか鉄砲とかあるから・・っとみんなを説得して行くことができました。
そこで戦死した人たちの遺影が飾ってある場所へ行き。
〇〇勘助
を探しました。
名前と飾られている場所を調べるファイルで場所を調べて期待と不安の入り混じった微妙な気持ちで見に行った。
その時僕は声も出ずに少しの間そこに呆然としていた。
名札には 海軍少尉 〇〇勘助と書いてある。
遺影に写っていたのは・・・・・・
軍服を着た僕でした。
後日談
帰ってきた後僕はおじいさんを問い詰めました。
おじいさんから聞いた話。
・〇〇勘助とはおじいさんの弟で大日本帝国海軍(?)の少尉だった。
・サイパンで護衛艦に乗っていたがアメリカ軍の攻撃を受け、奮戦虚しく撃沈。
・勘助さんは脱出したそうだが、部下を多く死なせた責任を取る為に切腹。自害した。そして二階級特進する筈が混乱で上手く伝わらなかったので少尉のままらしい。
・おじいさんは跡取りであり税金を多く払っていたので徴兵はされなかったらしい、勘助さんは職業軍人でした。
・勘助さんが自害したとき、おじいさんは勘助さんが持っていた刀を(会釈と切腹に使われたらしい)本国で受け取ったが血が拭い取れず、勘助さんの呪いと恐れて地下に封印した。
・おじいさんが驚いたのは若いときの勘助さんにあまりにも僕が似ていたかららしい。
↓からは僕の解釈
・女は僕の引っ越したくないという負のオーラ的な物が呼んだ霊?
・隣の女子が言っていた女を引きずっているっていうのは昼間、意識があるときに僕をどこかに引っ張ろうとして
頑張っている女の霊が逆に僕の力に負けて引きづられていた?
・夜は僕の力が弱まるから霊がすき放題できるけどすぐに僕を外に引っ張れなかったのは勘助さんが僕を守っていた?
・日本刀の血を僕が拭えたのは僕が勘助さんに似ていて勘助さんの無念を拭い取れることができたから?(なぜ似ていたら拭えるのかは不明)
・最後に女を切って除霊したのは勘助さん?霊同士で争った?
・今も勘助さんは僕の守護霊として存在いる?日本刀に魂が宿った?
後者だったらその日本刀はいわゆる妖刀というものになって霊を切り殺すことができるのだろうか?
もしそうだとしたらこれなんてアニメ?
・現在状況
日本刀はおじいさんが保管している。
家は外観だけ残して中の部屋は畳ではなくフローリングとか洋風に・・。(ちょっと残念)
それ以来僕の前に女も勘助さんらしき兵士も現れない。
これで終わりです。
実話なんでなんともいえない終わり方ですいません。
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