大の大人の肝試し
私の友人から洒落にならない話を聞いたので代わりに筆を執らせて頂きました。
オカルトなんて信じていなくてネタとして楽しんでいるような友人に起こった実体験なだけに、最初聞いた時は私も背筋が寒くなりました。
友人(仮にAとします)はその頃から怪我や身体の不調を訴える事が多く、話を聞いていた私も特に気にはせず、
最初は「仕事のしすぎだろ。たまにはゆっくり寝ろよww」と言っていました。
しかし身の回りの現象はそれだけに留まらず、幻聴、いるはずのない人影が見える。
と、怪現象はエスカレートしていくようでした。
後から詳しい話を聞くと、
バイト先のコンビニでゴミを片付けている時にゴミ箱の中から血塗れのシャツを見つけてからこのような事が起こったのではないかとの話でした。
そしてある日、Aの地元の友達(B)が
「近所のBBAが◯◯神社行く時に塩持って行って階段に撒いてから登るんだけどさwwwお前最近呪われてるみたいだし、面白そうだからいってみようぜwwww」と言い出し、
Aは乗り気ではなかったのですが、Bの押しに負けて渋々ついていく事にしたそうです。
詳しい場所は伏せさせて頂きますが、地元の方にだけわかるように
“●ノ宮駅の近くの神社で裏の入口?の階段”とだけ記しておきます。(私は地元民ではないので詳しくは知りません)
夕方になり、他の友人(C、D)を集め、大の大人4人が神社で肝試し。
階段を登り、神社の中を見て、何もなければそのまま帰ろう。という話になりました。
“階段”というフレーズから、肉体的に不安がある4人は同時に「階段少なくてよかった…」と安堵したそうです。
そしてこの時すでに何かを感じていたのか、Cは怯えた様子を見せていました。
「やばいからやめとこ」というCの言葉を聞いて大人しく帰っていれば、後にあのような事にはならなかったと思います。
神社は小高い丘の所にあり、階段の両端には木が生えていて、そこはとても薄暗く先が見えないくらいだったそうです。
肝試しの発案者であるBが「とりあえず俺行ってくる」と言って他の3人を置いて一人階段を登り始めました。
登り始めたまではよかったのですが、そこまで高い階段でもないのにBはのろのろと登っていきます。
Dが「アイツ膝悪いん?若いのに大変やな」と言って後に続いて登り始めました。
Bが10段目、Dが5段目に差し掛かった時でした。
それまで呆然と見ていたCが突然「B!」と大声で呼び、慌てた様子で階段を駆け上がったそうです。
Aは内心「これが噂に聞くBLか」とか暢気な事を考えていたそうです。
しかし慌てて行ったわりにCの足は遅く、Bには追いつきません。
めんどくさがっていたAでしたが、しかたなくCの後をついて行きました。
そして階段に足をかけた時、違和感に気付いたそうです。
大した距離を歩いてきたわけでも、特に足が悪いわけでもないのに、階段を登ろうとすると足が重くてなかなか上がらない。
そう思っていたら突然前にいたDが「息子の声がする」と言い出しました。(バツイチ子持ち)
それまで足の重さに気を取られていたAがふと顔を上げて驚いたそうです。
下から見上げた時は段数も少なかったはずの短い階段が、いつのまにか長くなっている。
階段を登った所に神社ののぼりが見えたはずなのに、今は見えない。
Aは背筋が寒くなるのを感じたそうです。
そして前にいたDが「やっべー息子の幻聴聞こえてきたー」と言い出しました。
Bが「どんな幻聴?」と聞くと、「ぱぱーつって泣いてる。今日の飯あいつの好きなのにしたろかなー」と。
暢気に会話をしていると、やっと追いついたCがBの腕を引っ張ったそうです。
引っ張られたBはその勢いで階段から3段ほど滑り落ち、「C!なんなん?ちょっと腰抜かすとこやったで」と言いかけた瞬間、Aは突然耳がざわつくのを感じたそうです。
それに気付いたのか、Bの所にいたはずのCがいきなりAを階段から突き落としました。
びっくりしながらも「お前殺すぞ!」と罵声を浴びせると、「早く車に入った方がいい!!」とCが焦った様子で言いました。
わけがわからず「なんでやねん」と言いながらAはもう一度階段を登ろうとしましたが、
前にいたDがCを見て「ただならぬ状況でござる。拙者は帰宅を所望する」と。
Bが理由を聞くとCが怯えながら「白い奴が木の陰からずっと見てるし、いっぱいいてる。Aの足下にいっぱいいてる」と涙目になりながら言い出しました。
Bが目を凝らしてAの足下を見て「なんもおらんやん」と顔を上げたら、何かに引っ張られるように突然後ろに倒れたそうです。
倒れた拍子に頭をぶつけたBをDが起こして「かえろか」と言い、立ち上がらせようと引っ張ったがBが動かない。
不思議に思い、A、C、Dの三人で顔を見合っていると、何故かCだけが恐ろしいものをみたかのような顔をしている。
何かいるのかとDがBから離れると、Cが「A、Bをたすけてあげて」と言いだしたそうです。
お前私を突き落としておいてwwと思いながらAは「なんで?」と聞くと、「後ろの人が超強いから。Bたすけてあげて」と。
Aには守護霊が憑いているらしく、霊感がある人に何度かその事について話をされた事があったそうです。
A本人も何度かその姿をみた事があり、本来なら重傷、もしくは即死するはずの事故でも奇跡的に助かったということがありました。
「どうすんの?」Aが尋ねると、Cは「引っ張ってこの階段から下ろせばいいと思う。」と言ったそうです。
言われた通りBの手を引っ張ると、そんなに力をいれてないにもかかわらずすんなり動く。
B「手をつなぐとか…キュン やないか…」
A「しねばいいとおもう」
場の雰囲気が少し和んだ所で、Dが遠くを見つめ、「女がいてる」と言ったそうです。
「黒い女がいてる」 場の雰囲気が再び凍り付きました。
「俺バツイチですから!!」と言いながら急いで階段を降りるD。
「俺の残りの人生全部息子のもんですから!!!」と言いながら車がある方へ逃げ帰ります。
Cは落ち着かず、挙動不審になりながら一人で階段を降り、Aも続いて降りようとしましたが、
後ろにいたBが最後の一段を残して止まりました。
不審に思っていると、Cが「出てきてるから早く、早く引っ張って!」と。
なにこいつ、オカルトか と思いながらAがBを引っ張ると、さっきはすんなり動いたのに、今度は全く動かなかったそうです。
Bの手を握ろうと触れると、静電気が走ったといいます。
たまらなくなって痺れを切らしたAが「お前ええかげんにせぇよ、さっさと降りて来いよ!」と言うと、
Bは何事もなかったように階段を降り、「え?なんて?」と。
「静電気バチバチさせやがって、夏やぞ!」と怒鳴ると、「静電気走ってなかったやん。Aの演技wwわろすwww」と笑うB。
わけがわからなくなり、とりあえず不思議なこともあるんやなとDと話をしながら車へ戻り帰ろうとした所に、
一人のおばあさんが手に変な皿を持ってこちらに歩いてきたそうです。
おばあさんはA達の前までくると、持っていた皿の中身をおもむろに4人の足下へぶちまけました。
中身は塩のようで、それになんだか茶色いもの(植物の殻?)が混ざっていたそうです。
そしてBをみると、「お前はこっちこい」と言ってどこかへ連れて行きました。
心配になったCがBの後へついて行き、後を追おうとAが行こうとすると、Dに「お前はこっちこい!キリッ」と言われ、仕方なく残る事に。
10分程すると3人が戻ってきて、戻ってきたBは身体中に花びらのおしゃれをしていました。
この光景にAとDは爆笑。「フヒィwwwwwフヒィwwwww」と笑っていたら、神妙な顔をしたおばあさんがAに説教をし始めたそうです。
「お前は引き寄せやすい体質や。でも後ろの人が強いから死にはせえへん。
でも、いっぱい引き寄せる要素がある。意志が強い人間に話を聞いてもらいたくて近づくやつもおるやろ。」と。
Bは後から聞くとこのおばあさんに、「お前の性質はあいつのほうとは違って、悪い意志を持ったやつを引き寄せやすい。」と怒られたそうです。
全く初対面なBBAにすごく怒られ、意味がわからずAがキレそうになりましたが、横にいたDが「うちの子がすいませんねー」と抑え、
さすが子持ちは違うと思っていたら、おばあさんが「ソレはお前の息子か?」と。
Bが「AがwwwwwDのむすこwwwww」とツボに入っていると、おばあさんはBを無視してDを見つめ、
「小さい男の子が憑いてる。大事にしなさい。」と言ったそうです。(Dには10歳になる息子がいます)
このBBAやばい早く帰ろうとAは車に戻ろうとしました。
その背に、「祈りはとどくんやで!」とおばあさん。
不意打ちすぎた厨二セリフに「おっほおwwwww」となりながら車に乗って帰る車中で、
「そういえば息子がな~」とDが思い出したように口を開きました。
「俺が腰いわして病院行くから帰るのおそなるって伝えようと電話して、
“もしもし?パパやけど”っていうたら、まだ何も言ってへんのに“けがした?”って言われたことがあったなぁ…」
可愛い父子の話に、愛されてるなぁ~と和み、その横でBは不服そうにずっと身体についた花びらをとってはDの車にまき散らしていたそうです。
帰りは何事もなく無事家に帰ると、そこから身の回りで起きていた怪現象や憑かれているような症状はぴったりとなくなったそうです。
友人の話はこれで終わりです。
私はこれ以上詳しい話は聞いていないので、Cが一体何を見たのか、Dが見た黒い女とは何かというのは結局わからず仕舞でした。
血塗れのシャツを拾った話もありますが文にまとめていないので、気になる方がいらっしゃるようなら前日談としてまた後日あげさせていただきます。
コメント