山にまつわる怖い話【4】 全5話
エンコ
田舎のばーちゃんに聞いた昔(?)話。
ある若い娘が、知り合い数人で山に山菜を取りに行ったんだそうだ。
昼飯を食っているときに、その娘がちょっと用を足してくると
しげみに入ったままいくら待っても帰ってこない。
皆で大声で娘を呼んでも返事はない。
これは何かあったのかと探してみたが、そこにいた数人だけでは埒があかない。
あわてて村に戻り助けを呼んだ。
そして村中の人間で山に入り娘を探したんだけど、
その日は結局見つからなかったそうだ。
しかし、次の日娘は見つかった。
沢の淵に気を失って倒れているところを発見されたそうだ。
幸い怪我一つなかったけれど、娘は前日の記憶が全くなかった。
おそらく山の斜面から落ち頭でもうったのだろう
しかし無事に戻ってきてくれて良かった、
と娘の両親や村の人たちも大喜びだった。
しかし、しばたらくたってから娘の体に異変が現れた。
腹がどんどんふくらんできて、どうやら妊娠しているらしい。
両親が娘に問い質しても、
「知らない。子どもができるようなことは絶対にしていない。」
と泣きじゃくるばかりだったそうだ。
それならば、これはきっとあの山で行方不明になったときにできた子なのだろう。
娘が気を失っている間、誰かがいたずらしたに違いない。
しかし両親にしてみれば、誰の種か分からないような子どもを娘に産ませるわけにはいかない。
堕ろさせようと、当時流産剤だと考えられていた水銀を娘に飲ませたそうだ。
水銀を飲むと、娘は倒れてもがき苦しみだした。
そしてそのまま昏睡状態になりしばらく生死を彷徨った後、
とうとう息をひきとってしまったそうだ。
冷たくなった娘の枕もとで両親が泣き伏していると、
ムリ…ムリ…
と肉を裂くような嫌な音がする。
何事かと布団をめくってみると、娘の胎内から
見たこともないような生き物が這い出しているところだった。
目は黒目だけで、鼻は削がれたかのように凹凸がなく穴があいているだけ。
口は耳まで裂けていて、指先からは尖った真っ黒な爪が生え、
そして全身に真っ赤な短い毛を生やしていた。
驚いた両親が助けを呼ぶと、村の人たちが駆けつけてきた。
その中にいた物知りじーさんみたいな人が、
「これはエンコだ。お前の娘はあの日エンコに魅入られてその子をはらまされたんだ。
エンコの子を生かしておくわけにはいかない。早く殺してしまえ」
と。
そのエンコの子は、
「マオー、マオー」
とマオー鳥(?)のような声で鳴きながらベタベタと床を這いずり回っていた。
村人たちは怖気づきながらも、そのじーさんの言われた通り、
その生き物を皆で突き殺したそうだ。
エンコの子はなかなか死ななかったが、なんとか息の根をとめることができた。
その日のうちに、娘とその生き物の亡骸は一緒に川に流したそうだ。
タバコの火に照らされたのは
去年キャンプに行った時の話。
近畿地方のあるキャンプ場でサークルでキャンプすることになった。よく「出る」と噂の場所だったが、条件の良い場所だったのでよく使っていた。
夜、肝試しをやるのが恒例となっており、男女ペアでコースをまわるというものだった。
漏れはお化け役だったので、男二人で先回りしてコースでまっていた。
なかなか来ないので、隠れていた林から出て一緒にお化け役をした奴と話し込んでると、背後で「ザッザッ」と足音がした。やべっ、もう来たか!?と思い振り向いても誰もいない。
友人に聞いたが何も聞こえなかったという。内心びびりまくっていたが、平静を装い、タバコに火を点けた。外灯も何もない場所なので、一瞬周りが明るくなった。
その瞬間、「ひっ」と友人が飛びのいた。
「どうした?」 「お、お前の顔の真横に顔があった…」
振り向いても誰もいない。完全にびびってしまった漏れは、一目散に仲間がいる場所まで逃げ帰った。
後で一緒ないた友人に聞くと、顔は中学生くらいの男で、凄く嬉しそうに笑っていたらしい。
目の神
私が小学生の時の話です。
その日私は、友達に誘われて裏山に遊びに行くことにしました。
私の母は、「何か会った時の為に」と、PHSを持たせてくれました。
裏山につき、ふと電話を見ると圏外表示。
なんだ、使えないじゃないか、と思いながら、私は遊びはじめました。
そこの山はわき水があったり、山苺がなっていました。
良い所だな、と思い、遊び疲れた身体を休めていると、妙な祠が目に入りました。
その祠は全て真っ赤に塗りつぶされていて、普通の祠より少し小さいものでした。
随分昔からそこにあったのでしょうか、カビや苔がところどころにありました。
「あれ何?」と友達に訪ねても、知らないとの事。興味を持った私たちはその祠に近付いてみました。
私はその祠の扉を開けました。すかさず友達がペンライトで中を照らしました。
するとその中には、墨で目玉が描かれていました。途端に、背筋にゾッと悪寒が走りました。
「うわっ!」と叫び、祠を手で払うと、祠は横に倒れ、脚が一本折れてしまいました。
と、私のポケットに入っていたPHSが鳴りました。
「もしもしっ!?」と、返事をする私。すると電話の相手は、
「もしもし、もしもし、もしもし!?キャハハハハハハハハ………!」と喋りました。かん高く、大きい女の声でした。母の声ではありませんでした。
私は電話をほおり投げて友達と逃げました。あの場所からはまだ女の声が聞こえてきました。
裏山から出ると、足がガクガクして歩けませんでした。友達はめそめそと泣いています。
母にPHSを山に置いていったことを叱られました。あの母も恐ろしかった。
今思うと、妙な偶然が合わさっただけなのではないかと考えられます。
あの祠は小学生の工作で、苛めっ子に目玉を描かれ捨てられたのではないか。
あの電話は、ただのいたずら電話だったのではないのか。
そう考えておきたい。
でもそう考えると、圏外なのになぜ電話が通じたのかという疑問が残るんですけどね。
山道に現れたのは
取りあえず、自分が経験した話です。
もう5年ほど前に出会い系で隣の県の女の子と会う約束をしたので夜中に車を飛ばして会いに行きました。しかし女の子とは会えず、雨の降る冬の夜中にまた1時間ほどかけて帰る途中、遅いので山道を抜ける近道をすることにしました。
車一台の幅の山道を。出来る限り飛ばしていくつかのカーブを曲がった時に、突然道幅いっぱいに広がって歩く人たちが現れました。
驚いて踏む急ブレーキ、人たちはそのまま歩いていて、そこに車は突っ込みました。
もうダメ、事故ッたと思ったけど、何の衝撃も無く車は止まる。
人の横をすれ違う時、車の前にいる人を見たとき私は、変なものを見てました。
その人たちは、頭から白い布をかけていて、真冬の夜中にもかかわらず、夏服だったことを。
私は、その後すぐに車を走らせ、その場を離れました。
翌日、警察にも念のため、届けましたが、事故は何も届けられてないとのこと。
それよりも警察の人に、その道は昼でも通るな、何が起きても知らないから、と言われました。
あの人たちは、何の人だったのだろうか
猩猩
「うしおととら」のなまはげで思い出したのだが、今住んでいるところ(名古屋市の南のほう)の秋祭りには「しょうじょう(猩猩?)」という赤ら顔にぼさぼさの長髪、切れ長の鋭い目つきに、大きな口の化け物を模したお面というか被り物が出てくる。
これを被った大人が手に持った杖だか棒だかで、子供の頭を叩くとその子は頭が良くなるという。
だから叩かれるのは良いのだけど、結構不気味な造詣のお面だったので追い掛け回されるのはチョット怖かった。
そのもう少し南の東海市までいくと「しょうじょうべったん」と呼び名が変わる。こちらはもっと怖い憤怒の相で、まるで角の無い鬼って感じ。
頭も巨大で子供を一飲みに出来そう。ただ、こちらの子供たちは「しょうじょうべったん、くそべったん♪ や~~い」と舐めまくりw。嬉々として挑発してた。
名古屋市の南は 山というには低すぎるがうっそうとした森が茂る丘陵地だったらしいので、何かいたかもしれない。
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