幼馴染
私の地元は北関東の片田舎。
そして幼馴染にAとBがいた。
Aはイケメン頭もよく近所でも評判あだ名は「王子」。
Bは地味顔、勉強は少し苦手ぎみだけど、まじめで心優しく、年配の人から人気。
どちらとも家が近く、小さい頃はそれなりに遊んでいたが、Aとは小学生くらいから段々会う機会が減り始め、Aが誰もが知っている進学校に中学受験で合格し、地元を離れ決定的に疎遠になってしまった。
かたやBとは、同じ中学を卒業し、同じ地元の高校に入り、卒業後はBは専門学校、私は短大と分かれたものの、お互い実家暮らしでなんとなく付き合いはつづいていた。
お互い就職した頃から、なんとはなしにBからのアプローチを受けるようになっていた。
と、言っても小さい頃からBからの好意は感じていたし、周囲も完全にわかっていて、
「そろそろくっつくか?」
なんてお互いの両親からも言われる始末だったし、私も特に他に男性との縁もなく、Bも嫌いではなかったので、
「このままお付き合いして結婚するのかな~」
なんて思っていた。
そこに、突然Aが現れ、なんと告白された。
私は、というか、近所一帯の子はAにみんな憧れていた。
美形で、頭もよく、実家も資産家だったし。
でも、あっさり難関大学に合格し、東京で一流会社に就職していたAは、別世界の人間で、きっと東京でモデルのような美人さんとお付き合いして結婚するだろうと近所では皆思っていた。
そのAに、突然
「ずっと君が好きだった、結婚を前提に付き合ってほしい」
なんて言われて、私は完全に舞い上がった。
友達以上恋人未満だったBのこともあっさり忘れ、お付き合いを始めることに。
反対を受けるかと思っていたAの両親は、意外なことに大喜びしてくれた。
息子は東京にでてもう帰ってこないものとあきらめていたらしい。
そこへ、「やはり将来は地元にもどりたい、伴侶も地元の人を」とAが言ったものだから、Aの両親も舞い上がった。
「どこの人かわからない女の人を突然連れてこられるよりずっといい。あなたなら安心」
と何回も言われた。
Bがとても気に入ってる私の両親は、戸惑っていたものの、私のスペックから言っても完全に玉の輿状態だったので、
「まあ本人たちがいいならそれで」
と、表面上は賛成してくれていた。
ただ、Bのことはすごくすごく気にしていた。
Bは、私がAとのことを報告したときも、ショックを受けてはいたが、
「幸せになってください」
と、あっさり身を引いてくれた。
心が痛まないわけじゃなかったが、
「告白されてたわけじゃなかったし」
と自分に言い聞かせてた。
(実際はほぼ付き合ってる状態だった)
1年ほど付き合ったあと、私とAは結婚し、地元で豪華な式をあげ、Aの仕事が一段楽するまで、東京のマンションで暮らすことになった。
Aは早く子供が欲しいと言い、私は専業主婦で優雅に暮らしていた。
そして順調に妊娠。Aも大喜びしてくれ、ますます大事にされ、まさに幸せの絶頂だった。
ところが妊娠が4ヶ月に入る頃、Aの様子がおかしいのに気づいた。
顔色が悪い。
痩せた。
いつもイライラしている。
でも、Aは激務で早朝出社深夜帰宅が続いていたので、余計なことを聞いたらかえってストレスになるかも、何か言ってきたら聞いてあげよう、なんて思っていた。
そしてある日、Aがものすごく荒れて帰ってきた。
目は血走り、フーッフーッと息が荒く、尋常な様子ではなかった。
初めてみるAの姿に若干びびりながら、
「どうしたの?」と聞くと
「うるさい!部屋にいってろ!」と怒鳴られた。
ちなみに怒鳴られたのはこれがはじめてでした・・・
泣きそうになりながら「なにがあったの?」と聴いた瞬間、Aが豹変した。
髪を振り乱し、テーブルの上のものをなぎ倒し、雄たけびをあげた。
そして罵倒の嵐。
「お前なんか好きでもなんでもなかった」
「Bがお前のこと好きだったから」
「だからブスでも我慢したのに」
「なのにBは」
「なんでBのほうにいい女がつくんだ」
「死ね」「Bもお前も死ね」「消えてなくなれ」
私は罵倒を聞きながらショックのあまりスーッと気が遠くなり、気絶。
これが第一の修羅場でした。
残りは簡単に。
なぜかBに強烈なコンプレックスを抱いていたAは私が好きでもなんでもなく、BがAに「私と結婚したいと思ってる」と相談したから、強引に私と結婚したのでした。
そうすればBが苦しい思いをするからだそうです。
子供をほしがったのも、Bが昔から子ども好きだったから、私との間に子供ができれば、Bが更に苦しむから。
ところが、いつの間にかBに高学歴で美人でお嬢様の彼女ができており、幸せそうなBの姿にAが発狂。
彼女を奪おうとに猛アプローチをかけるも、彼女には鼻もかけられず、さらに発狂し、Bと彼女から訴えを起こされるほどのストーカーぶりを発揮。
Aの両親が実家に軟禁する事態に。
私とAは結局離婚、子供も、頑張りましたが、色々あってダメでした。
一人で育てる覚悟はしたんですが。
AがBにコンプレックスを抱いていた原因はわかりませんが、たぶんスペックでは圧勝のはずのAよりも、Bのほうが人に好かれていたのが原因じゃないかと両親は言ってます。
現に両親もAよりBのほうが好きでしたし。
自分が大馬鹿だったという修羅場でした。
だらだらすみませんでした。
なんでAはそこまでBにこだわってたのか、わかりません。
何かされたということもないはずです。
Aは、探偵に依頼して、Bの彼女の素行調査までしてました。
彼女に暗い過去などがあれば、Bにばらして二人の関係を壊してやろうと考えていたみたいです。
何もでなかったみたいですが。
私はみっともないことに、罵倒された後もまだAにすがりついていたんですが、
上記の件が発覚して、あまりの歪みっぷりにようやく愛想をつかせました。
叩かれるの承知で書きますが、実は偶然を装って、Bに会いにいったことがあります。
たぶんわざとなのばれてましたが。
Aに愛されてないことがわかって、つらくて、Bに会ったらまた優しく愛情をかけてくれるんじゃないかと期待しました。
彼女じゃなくて、ボロボロの状態のほうの私を、優しいBなら選んでくれるんじゃないかと。
言い訳じゃないですが、ほんと自分も病んでました。
もちろん、Bにやんわりと、「もう会わないほうがいい」とだけ言われて、追い返されて終わりました。
このあたりは私じゃなくてBの修羅場ですね。
近所では「あんな男を見る目のない女(私)とくっつかなくてBはよかった、いい嫁さんもらった」と評判になりました。
狭い田舎町なので、自業自得とはいえ、この辺も私には修羅場でした。
今は地元を離れ、それなりに、穏やかな生活をおくっています。
もうAにもBにも関わりません。
吐き出しすみませんでした。
子供は、お腹の中で、お星様になりました。
(こんな書き方ですみません。これが限界です)
「頑張った」のは子供です。
私もAも、ひどい状態だったのに、生まれようと頑張ってくれたと思います。
もっと私が気をつけていれば・・・と思うことが多々あります。
このへんの事と、Aの対応については詳しくかけません。すみません。
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