『毒父「働け、女は学問不要」』ロミオメール体験談【長編- 名作まとめ】

ロミオメール体験談【長編- 名作まとめ】

 

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【長編- 名作】ロミオメール体験談

 

毒父「働け、女は学問不要」

数年前、激怒しながら爆笑した。それから、涙を流しながらガッツポーズをした。
大昔、高校を卒業する時、毒父が「働け、女は学問不要」と言って進学が出来なくなりそうになった。
父に言いなりの母は「ごめんねえ」と言うだけだった。
その時、母方の祖母が学費を出してくれた。「これで、手に職をつけえ。いつでもどこでも働き口が見つかるようにせえ。
そうしたら、女でも世の中渡っていける。嫌な男の元で嫌々暮らして我慢して生きていかんでもようなる。」そう言って、
少ない老後の蓄えから学費を出してくれた。そうして、私は看護師になれた。
それから数年後、結婚したけれど、エネ夫、極悪ウトメの絶望セット。
「なんで、こんなのと結婚したのか」、「一瞬でも良く見えたのか」と当時の私を問い詰めたい。
ウトメは結婚当初から、「お前が看護婦だから結婚させた、それ以外に価値はない」「誰のお蔭で働かせてもらっていると思っているかあ」と言いたい放題。

ウトメはその根拠は不明だけど、ものすごいプライドの塊だった。私や私両親だけでなく、
近所の人、あらゆる人達を見下し、悪口ばかり言っていた。
嫌がらせも今思えば、一つの症例かと思うほどテンプレ通り。私物を捨てる汚す、ジャブのような嫌がらせの言葉。夜勤明けで寝ていたら「だらけて怠け者の嫁だ」と窓を開けて近所に聞こえるように大声を出す。お金が溜まるまでということで、子供を作らなかったら「石女!」
初めの頃は夫もまともだったので、ウトメを〆てくれていたが、だんだん面倒になったのか、「お前が気にしなければいいんだ」
「言うだけ言わせておいて、こっちは聞き流したら良い」と見事にエネ化。そして、お決まりの浮気。

 

「おまえが妻としてなってないから息子ちゃんが外に女を作らざるを得なかった。自分の不出来を謝れ!」とトメに怒鳴られ、最後には「看護婦の女なんか、世の中掃いて捨てるくらいいる、偉そうにするな」とエネ夫、ウトに言われて、「じゃあ、仕方ないね」と言って離婚を言い渡した。

あっさり判をつくかと思ったら「病院の医者と不倫しているのに違いない」「汚い女」と事実無根の言いがかりをつけてきた。
「そんな言いがかりをつけるのは私に未練があるからででしょ?」「本当は私を失うのが惜しくなったのでしょ?」と彼らのプライドを刺激すると「馬鹿にするな」と発狂して、あっさり判をついた。

 

それから15年、当時、私はアラフォーど真ん中。彼氏もいた時期もあったが、結婚はこりごりで一人で暮らしていた。病院には、めちゃくちゃ言う困った患者さんも少なくないけれど、エネ夫ウトメに比べれば、楽なもの。協力し合う同僚もいるし、病院には弁護士さんだっている。モンスターの相手を私は一人でしなくてもよかった。そうして同僚にも恵まれ、それなりに実績と経験を積んで働いてきた。

 

そんな忙しくも充実したある日、家に帰ってポストから出してきた郵便物に汚手紙が入っていた。差出人はエネ夫。以下、内容。
「〇〇へ
久しぶりだな。元気でやっているそうだな。突然、手紙が来て驚いたか?ちょっと人を使って住所を調べてもらった。だいぶ物入りだったよ。(笑)
今、働いているのが前の病院ではないところをみると、やっぱり医者には捨てられたか?
居づらかったのだろう?これでお前も分かっただろう?〇〇(私の名前)は「お医者様の奥様」にはなれないんだってことだよ。

玉の輿を狙ったんだろうが、そんなに世の中は甘くないんだよ。まあ、誰でも一度くらいは夢を見るものだ。そうして、現実にぶつかって目が覚める。お前の現実は4×歳の独り身だ。
だから、言わん事ではない。帰ってこい。お前の身の丈にあった場所に帰ってこい。
お前の帰る場所は俺の家なんだ。母さんも父さんも迎えてくれる。

今、父さんは脳梗塞の後遺症があって、母さんと俺が世話している。父さんは後遺症で気難しくなって介護ヘルパーじゃだめなんだよ。気心の知れたお前なら、父さんの世話ができると思うんだ。
お前が帰ってきたら母さんも喜ぶだろう。お前はお前の身の丈に合ったことすれば、みんなが喜んでくれる。お前は必要とされているんだよ。「現実に」お前を必要としてくれる人達が待っているんだよ。

それに、親の介護なんてそう長くはないさ、親たちを見送ったら俺たち二人でゆっくり過ごそう。旅行にでも行こう。
一人ぼっちで過ごす夜の寒さを嫌と言うほど味わったお前には家族の温かみが必要なんだ。帰ってこい。恥ずかしがらずに帰ってこい。お前の心ひとつでみんなが幸せになれるのです。だから、まずは連絡を下さい。

馬鹿村馬鹿夫 電話 〇〇〇ー〇〇ー〇〇〇〇」

 

 

激怒しながら読んでいるうちに爆笑した。「現実に」ノックアウトされているエネ夫ウトメを想像してガッツポーズをした。
そして、学費を出してくれた祖母の言葉を大泣きしながら思い出した。
ありがとう、おばあちゃん。おかげで私は自由に生きていけます。

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