夫をクレクレされた
夫をクレクレされたこと。
実際に夫と何か絡みがあったわけではなく、私が言われただけの話です。
実力行使とか危険なこともなかったので、端から見ればそれほどでもないかも。
ただ、当時の私の気持ちとしては修羅場でした。
記憶もかなり薄れてますし、フェイクとわざと書かない部分もありますので、おかしいところはご容赦ください。
キチの主張が意味不明すぎなので、記憶を辿ってみましたが、違っている部分もあると思います。
十年ほど前、娘が幼稚園児だった頃、同学年にキチママが居た。
そこの幼稚園は面倒見がいいぶん月謝が高めだったので、親の職業欄に医者とか会社社長とか一流企業名が普通に書かれている園だった。
家から近いという理由だけで決めた私のような親も居たけど、ママさんたちも身なりがいいというか上品で、きちんとしたスーツ系が多い感じ。
そんななかでキチママ母娘はものすごく浮いていた。
キチママもキチ子もうるさい上に体がやたらと大きくて、そこにいるだけで「いるー!」って感じの存在だった。
キチ子は乱暴で口も悪くて生意気だし、キチママもキチ子の自慢が凄くて余所の子をけなすので、だんだんと周囲に距離を置かれていた。
年長の夏頃、親しいママ友とふたりで園の近くの公園に寄って、娘たちを遊ばせていたら、キチ子を連れてキチママがやってきた。
娘は体も小さいし大人しくて、キチ子に泣かされることが多い。
そのときも「娘子ちゃんはあっちにいって! 友子ちゃんはあたしとふたりだけで遊ぶんだから。あんた邪魔。帰れ」
と言われてべそをかいて戻ってきた。
友子ちゃんは賢いので
「いじわるはいけないんだよ」
と、娘を追ってこっちに。
ママ友が「場所を変えよう」とベンチから立ち上がったところで、キチママが追いついた。
「一緒に遊ばせてやって。あと十分でピアノの時間だから、おねがい。お稽古が多くて、なかなかお友達と遊べないし」
すぐ居なくなるならまあいいか、とママ友とベンチに座り直した。
キチママは時計を見ながらキチ子を放牧。
忙しくて倒れそうと愚痴るので話を聞くと、ピアノだスイミングだお受験塾だリトミックだと平日は毎日、土日もびっしり習い事をさせているという。
「ハードスケジュールでキチ子もストレス溜まってるから、ちょっとくらい意地悪したって子供同士のことだし、成長過程では当たり前のことなんだから、大目に見てくれないと」
とさらっと言われて、ママ友と目を合わせると
「お金もかかるし、才能のある子供をもつのも悩みだわ。平凡な子供の親だったら気楽でいいんだけど」と言う。
うっとうしいので適当に話を合わせていると、
「ねえ、私さん、ご主人の帰りが夜遅くてイヤだって言ってたじゃない?アタシはそういうの気にならないから、ご主人とうちの夫、交換してあげましょうか」といいだした。
は?と聞くと
「公務員だし帰りは早いわよ。図体ばっかりでかくて見るのもいやなのに、夕食にはさっさと帰ってくるし。給料は安くて取り柄もないけど、私さんはべつに娘子ちゃんに習い事させる訳じゃないし、お金かからないからそんなんでも十分でしょ。前から私夫さんには、(キチママと)キチ子のほうが相応しいと思ってたのよね。キチ子だったら一緒に歩いても鼻が高いし、私夫さんだってあちこちで自慢できるよ!」
冗談にしてもひどいなあと思っていると、ママ友が
「私さんが言ってた帰りが遅くていやっていうのは、ご主人の体が心配って意味なのよ。娘子ちゃんのことだって可愛がっていらして、ご家族仲もいいし。それから、そういうことは子供のいる前で言うことではないのよ。冗談にしても母親が父親を悪く言うのを聞いたらキチ子ちゃんが傷つくでしょ。さあ、もう時間だから行かないと習い事に間に合わないわよ」と助け船を出してくれた。
キチママは「えーでも、冗談じゃないしー」とか言いながらキチ子を連れて公園を出て行った。
変わった人だねー、と二人で話をして夕方まで一緒に遊ばせて、別れて家に帰った。
自宅電話に、キチママから「急な話で驚かせてごめんねー」と留守電が入っていた。
いやな気がしたが、気にしないことにした。
数日後、娘を幼稚園に送っていって、自宅に帰るとキチママが訪ねてきた。
キチ子の習い事代を私家の家計から出せと言う。
意味がわからなくてキチの言い分を聞いたらめまいがした。
習い事が多すぎてキチの家計が苦しくてキチ夫が文句を言ってくる。
キチママの独身時代の貯金をつぎ込んで、定期も保険も解約した。
キチ夫に内緒でキチ夫の親にも自分の親にも借りて、返せる予定はないけど、サラ金で借金もした。
だけど、こんなに苦しい思いをしなくても、キチ子はもうすぐ私夫さんの娘になるんだから、習い事代を今から貰えばいいと気がついた。
キチママとキチ子の生活費も出してもらおうと思う。
キチ夫の稼ぎではブランドの服とかも思うように買えないので、今みたいに習い事先で肩身の狭い思いをさせたくない。
お金がない生活は辛い。だから請求書を書いてきた。
見ると、バレエ一万円、ピアノ二万円、塾三万円・・・とか書いてあって、どれもものすごく高い。
交通費も合わせると月二十万近く、習い事に使っていた。
「こんなの無理だよ、私夫だって払えないよ。そんな高給取りじゃないし。第一、見てわかるとおり私だってブランドなんて持ってないし贅沢してないでしょ」
といっても聞く耳持たない。
「またまたー、テレビドラマとかで知ってるって。私夫さんの職業ならお金持ちに決まってる。けちって使ってないんだろうから、今までの貯金だってたくさんあるはず。お金がないなんて、私さんの嘘つき!アタシが高卒だからって馬鹿にしてるんでしょ!」って。
「家は余裕がないから習い事させてないんだよ」
と言ったのも、まったく無視。
絶対音感だとか、お受験だとか、ネイティブの発音とか、シュタイナーとか、習い事の説明をとうとうと並べ立てて、話にならない。
「一流の子供には一流の教師をつけないとダメなんだって。そこらのお教室の指導者じゃ、キチ子くらいになると教えられないでしょ。才能を伸ばすにはお金がかかるんだから」
私夫さんの実家にもキチ子を連れて挨拶しに行きたいから、今すぐ住所を教えろとか言い出したので、玄関から追い出して鍵をかけた。
しばらくして外を見ると居なかったのでほっとして、その日は終わり。
翌日、幼稚園から戻ると、また来た。
無視してドアを開けなかったら
「私夫さんの携帯番号を教えろ。仕事先の住所も。私さんが間にいるとらちがあかないから、直接会って話がしたい。そうすればアタシの気持ちも伝わると思う。アタシは夜のテクニックも凄いから、私夫さんもきっと満足してアタシの体にめろめろになるに決まっている」
と玄関前で気持ちの悪いことを延々と語り続けるので、ママ友に電話して来て貰った。
警察を呼ぶのはさすがにキチ子のことを考えてやめた。
ママ友が来ると、キチママは玄関からいなくなった。
ママ友が「ちょっとあの人変すぎて危ない気がする。園に相談した方がいいかも」というので、一緒に園に行った。
園長が頭を抱えて
「これまでもいろいろ注意をしているが全く効き目がない。キチ夫にも話をしたが、仕事中にまで妻を見張るのは無理、と言われた」という。
いまのところ子供に手を出すとかはないし、キチママには注意するので、なるべく距離を置くようにして欲しい、と。
その後しばらくは静かだった。
キチママはお金欲しさに夜の仕事を始めたとかで、キチ子の送り迎えの時に勘違いホステス風の胸の開いただらしない格好で来て、園長に注意されたりしていた。
「アタシさー、ナンバーワンなんだ。男がほっておかないタイプの体なんだって。お客さんにもよく褒められるのよね。やっぱり男はデカパイが好きなんだよ」
と誰彼なしに答えに困るような話を振ったりはしてたけど、まあ問題はなかった。
違う方向に目が向いたようで良かった、と安心していた頃に、親しい先輩ママから電話があった。
キチママが別の先輩ママさん自宅に押しかけて
「私夫さんとすぐにでも連絡を取りたいのに、私さんが連絡先を教えてくれない」と泣きついたのだとか。
その先輩ママさんが
「調べればわかるから教えてあげた方がいいと思う?」
と親しい先輩ママに相談したので
「詳しい話を聞いてからじゃないと、勝手に教えたらまずいでしょ」
と止めてくれたとか。
「レ○プされた。こんなこと私さんには言えないから、私さんに内緒で私夫さんに連絡とらせて」
と泣きじゃくってるらしい。
「は?私夫がキチママをレ○プしたって言ってるんですか?」
と電話口で言うと、
「そこら辺がはっきりしないし、ちょっと変なんだよね」という。
ともかく、レ○プとなれば犯罪行為だし尋常ではない話なので
「悪質な嘘は名誉毀損で訴えるとキチママに伝えておいてください」
と頼んで、これまでのキチママの行状を話した。
あまりにもアレな内容なので、先輩ママも半信半疑だったかもしれないものの、ともかく夫の連絡先を教えるのは止めさせると言ってくれた。
それと、直接行って話を聞いてきてくれるというのでお任せした。
夕方ごろ、先輩ママから電話があって、凄い人だねーと言われた。
レ○プされたのは私夫にではなくて、キチ夫から、なんだと。
「好きでもない人と、したくないセックスをするのはレ○プなんですよね?キチ夫のことは最初から好きじゃなかった。だからアタシはレ○プされて、キチ子はレ○プの末に出来た子供ってこと!私夫さんがアタシの本当の運命の人。だから、レ○プ犯のキチ夫に捕らわれの身のアタシを救い出して、幸せにしてくれるはず。なのに私さんが邪魔をする」
とかなんとかかんとか。
そこにいる全員、どん引きだったとか。
結局、家に押しかけられた先輩ママさんが
「そういうことなら、キチ夫婦できちんと話し合った方がいいと思います」
とお引き取りいただくと
「みなさんだって貧乏はいやでしょう!アタシが夢見てた生活はこんなのじゃない。誰もわかってくれなくてひどい」
とべそをかいて出て行ったとか。
どうしてキチママが私夫に執着するのか、ですが、私夫の仕事がドラマなどで取り上げられる『お金持ちでかっこいいイメージの職業』ということと、他のママさんたちと比べて私は見てくれも頭もぱっとしないので、こいつになら勝てる!と思ったのではないかと思います。
私夫は休みもないほど忙しくて、園に関わることはしたことがないので、キチママが私夫を見たことがあったかどうかすら、そもそも疑わしいのですが。
先輩ママさんから園にその話が行き、キチ夫婦は揃って呼び出され、そこで夫婦げんかがあって
「キチ夫に殴られた。このままだと殺される」
と叫びながらキチママが園を走り出て行くのを見かけた人がいて、ちょっと保護者の間で噂になりました。
そのあとはキチ夫とどちらかの祖父母が送迎をしていたようですが、時間の都合がつかないのかキチ子は休みがちで、最終的には児童相談所に保護されたらしいです。
このあたりは私がキチママに会いたくない一心で、ママ友に娘子の送迎もお願いして、園に近寄るのをやめていた間のことなので、よくわかりません。
キチ子が夕方、汚い服でご飯食べさせてと近所の家を訪ねてきたので、ご飯を食べさせたが、キチママと連絡がつかないのでキチ夫の職場に連絡して迎えに来て貰ったとか、昼間公園で一人ぽつんとしていたとか、そういう胸が痛くなるような話も噂として流れてました。
本当かどうかわかりませんが、キチママは育児放棄のあげく男と駆け落ちし、風俗街で働いていたらしいです。
卒園後、キチママと偶然会った人が
「女優にならないかと話がきている。これで有名人になれる。安月給の公務員なんて、アタシには相応しくないと思っていた。別れて良かった」
など、まくしたてられたそうです。
卒園と同時に引っ越ししたのもあって、伝聞ばかりですっきりしない終わりかたですが、まとめサイトを見ていて思い出したので、ここに吐き出させていただきます。
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