父の死後現れた女性
一年前に父が亡くなった。
死因は心臓発作。
父は金にすごく緩く、母に大変苦労させていた。
事業を起こし、大きな失敗をして借金をこさえていたが技術的にはかなり上位に食い込む実力があったため、色々なコネでなんとか仕事をして一般的なサラリーマンよりも稼げていた。
まぁとは言っても借金の返済の方が上回っていたけど。
俺は長男(26)で、次弟(24)と末弟(18)がいる3人兄弟。
一番下の末弟は現在高校生でもうすぐ受験。
持ち家は土地が母と祖母名義、建屋が父名義で両方共に抵当に入れられていたため母の土地をなんとか残す?ため、父と母は離婚。
父はその後、自己破産か何かをする予定だったらしい。
これは母からの伝聞で詳しいことは知らない。
父の生前は、母は母の土地と父の建物に末弟とともに住んでいて、父は仕事の出向先に近い場所でアパートを借りて住んでいた。
母も特殊な技術職で、それなりの額を稼いでいた。
それでも父のこさえた借金の一部を肩代わりしていたし、弟も高校生だしでなかなか厳しい生活だったけど。
俺と真ん中の弟は仕事場が近いこともあり実家とは共に別の所で同居してる。
ここまでが前提。
俺はその日早朝出勤で、朝6時くらいから会社に詰めて作業をしていたんだけど携帯電話に伯母(父の姉)から電話があった。
お父さんが倒れた・・・。
俺は一瞬なんのことかわからず、
「え?どういうこと?」
というと
「じーちゃん(5年前にガンで鬼籍)の所に行ってしまった・・・。」と。
俺の頭の中はわりとクリアで、この言い方がすごく
「浸ってんなぁ」
と思ったのをよく覚えている。
会社の先輩方に事情を話し、すごく親身になってもらっている社長にも早朝にかかわらず連絡を入れて早退。
父の遺体が安置されている病院へ電車を乗り継いてかけつけた。
伯母はまだきていないようで、一番乗りだった。
霊安室に通されて、父と面会。
俺がはじめに思ったのは
「お前これから末弟とお袋どうすんだよクソオヤジ・・・。」
だった。
しばらく現実に頭の思考が追いつかず、父の遺体を見て茫然自失となっていると一人の女性が入ってきた。
全く面識はなく「?」だったが、その女性は俺がいるのを認識してすぐ出て行った。
部屋間違えたのかな?なんて思ってたんだが。
霊安室にいつまでいてもしょうがないし、色々状況も整理できていないし、弟やお袋にも連絡入れなきゃいけないしと思いとりあえず霊安室をあとにして、霊安室前のロビーでお茶を飲むことにした。
霊安室の奥まった所の自販機でお茶を買った時にでも入ったのか、ロビーで座って伯母を待っていると先ほどの女性がまた父の霊安室から出てきた。
俺はだいぶ訝しげな顔で見ていたんだと思う。
その女性は少し困った顔をしながら
「○○くん(俺の名前)だよね?」
と言ってきた。
そうですよ。どちら様ですか。
と返事をして、俺はこの時うすうす感づいていたんだ。
予想通りというか、読んでる皆もだいたいわかると思うけど、この女性は父の不倫相手だった。
(厳密には離婚しているから不倫相手ではないが、そう思った理由は後述する)
これが第一の修羅場。
この不倫相手をA(仮名)とする。
Aは、なんと父を看取っていた。
父は、仕事の近くだからという適当な嘘をイイ、このAと同居していた。
死んだ日、父はこのAとともにベッドで寝ていたらしい。
その後、しばらくして伯母と、さらに警察官がきた。
自宅での死亡のため事情聴取をするとのことで。
Aが話をしている最中俺は真横で座って聞いていた。
俺が知らない父の話が、Aの口から出てくるのがすごく気持ち悪くて吐きそうになったが堪えた。
上記の死んだ時のことも事細かに話をしていて、同じベッドで寝ていた話をされて本当にやばかった。
それでも俺は知っておかなきゃいけない。と思い、なんとか冷静に受け答えをした。
これが第二の修羅場。
その後、伯父も後追いでやってきたり、伯母と伯父と今後について話をしたりと色々とひっちゃかめっちゃかだった。
この時点で、なぜか伯母や伯父、まして父方の祖母からも母への連絡がされていなかった。
俺はとりあえず母の弟である叔父に連絡を入れ、俺の次弟にも連絡を入れて今後を相談。
母方実家は俺の実家近所に住んでいることもあり、母方の祖母(祖父は鬼籍)に連絡を入れて母についていてもらうことにし次弟に即実家にいき、祖母宅で母に状況を説明。
ついでに俺との連絡役を申し付けた。
母の精神的な負担を考えると、実家で一人の時に電話で伝えるのが少しこわかったんだ。
俺は警察での処理やら、父の仕事の処理やらに奔走。
そのつど次弟と連絡をとってなんとか収集つけることにした。
警察署に遺体が搬送され、母と弟たちを呼び出し、警察署で遺体と面会することにした。
父の所在地が実家からかなり離れていたこともあり、1時間半ほどかかって母たちは警察署へ。
俺は搬送先の病院から直接警察署へ。という流れ。
なんとか面会し、詳細な事情聴取も執り行われその日はそれで終了。
これからどうするかとか色々なことはあったけどとりあえず今は目の前のことを1つずつ・・・と。
この時点で、俺はまだ一滴の涙も流せていなかった。
父は司法解剖に回され、遺体はまた搬送された。
翌日俺はそこに向かい司法解剖の触診結果を聞き、父の遺体と共に父方の実家がある場所の葬儀場へと向かうことになっていた。
司法解剖の場所(名前失念)に赴いて、結果を待つために待機してた。
隣の席に座っていたご夫婦家族の声が聞こえてしまって辛かった・・・。
お子さんなくされたみたいでワンワン泣いてて、そっちの方で俺がもらい泣きするかと思うレベルで・・・。
仕方ないのでイヤホン片耳だけ入れてゲームして気を紛らわせたりタバコすったり仕事のフォローしたりしてたのを覚えている。
父の死因を聞き、そのまま霊柩車?に載せられて警察署の方の車で父実家の葬儀場へと向かった。
この時点で、父方祖母や伯父伯母からの連絡はなし。
葬儀場につく少し前、もうしばらくしたらつく旨を父方伯父に伝えた。
事前に連絡するように言われていたのもあったので。
ところが、葬儀場には誰もいない。
俺だけで葬儀場の方とやりとりをし、慣れないことを目一杯し、部屋に通されて父の遺体と待機してた。
この時点でだいぶイラっとしていたのだが、伯父からの電話でさらにイラッとした。
「もうついてんだろ?俺らあと30分くらいしたら準備して行くわ。そんな早くいっても仕方ねぇし。」
遊びにでも行くつもりなのか?と。
この伯父、父が病院で安置されていても面会しなかったクソ爺で昔から嫌いだったんだがここまでとは思わなかった。
実の弟が死んでるのにこの対応だもの。
ようやくきた伯父と伯母と祖母。
父に面会し、ここは劇場か?というくらい浸った台詞を履き続ける祖母に嫌気がさして退出。
次弟に連絡を入れて車で迎えにきてもらうよう連絡を入れてから部屋に戻るとなんとAがいた。
祖母と談笑してた。
笑顔で。
あまりにイライラしてとりあえず室内にあった俺のカバンをひっつかんで退出しようとしたらAが
「○○くんのこといっつも父がうれしそうに話てた」
と泣き笑いで言われた。
もう、ぶん殴りたかった。
なんで溜め語?初対面で馴れ馴れしい。
最初からそうだけどなんで?
実は俺はもうひとり、父の死を俺から告げなければいけない相手がいた。
父が事業を起こした時に共同出資者として名前を並べていたBさん(女性)。
この方とは以前何度も仕事の関係で関わっていたし、この方は俺が唯一知っている父の元不倫相手だった。
当時父が不倫していることを知った俺はガキだったのもあって、家が離散することを恐れた。
そのため、母には言えなかった。
母は薄々感づいていたようだけど、仕事の絡みもあったからか証拠らしい証拠は出ず確証が得られてなかったみたいで愚痴で俺に言う程度にとどまっていた。
俺は心の中で修羅場だったけど。
Bさんに連絡を入れた。
割愛するけど仕事の関係でちょっと別ルートでも繋がりがあってそっちから話が回っていたらしい。
そして衝撃の事実を知る。
「○○さんは、私とお父さんの関係はご存知でしたよね?お父さんから聞いています。」
「はい、存じてます。今さらそれをとやかく言う気はないd」
「私とお父さんの間に子供がいることもご存知ですか・・・?」
もうね、唖然とするしかないよね。
父は母と結婚していた当時からBさんとの関係を続けていて、子供まで作っていやがりました。
そして、子供が負担になってAに逃げたようだった。
つくづく人としてクズだと思った。
もうなんか、涙なんか流せねぇわなと心から思った。
その日、Bさんも葬儀場に来て父と面会した。
翌日の葬儀や火葬などの出席を希望されたけど、火葬は遠慮してもらった。
もともと密葬にするということもあったし、何より母がいたたまれなさすぎて。最後の別れくらいはきちんと夫婦にしてあげたかった。
代わりにお通夜にはご出席頂くことにした。
翌日、お通夜をした。
一応の建前上喪主は俺。ただ、仕組みをよく理解していなかったため伯父にサポートしてもらうことにした。
お通夜開始30分前。
入り口で葬儀場の方にご挨拶をしていると、Aがきた。
どうもAのことを祖母はウェルカムみたいだった。談笑しながら葬儀場の中に入っていった。
そして通夜がはじまり、俺たち3兄弟は喪主席に。
母が座る場所には祖母が・・・。
母は・・・一般席に・・・。
後から聞いた話だと、特に案内はされなかったらしい。
母に対する父実家の対応や、Aに対するあからさまな対応に母含めた母親族が怒髪天状態でこれ見よがしにあえて一般席に座ったそうだ。
母方兄弟も一般席に座った。
そしてなんとAを親族席に連れて行った伯父。
常識的に考えて、お通夜の開始前に来た上に親族席。
俺は理解できなかった。
お通夜が終わり、精進料理の席に次弟と父方一家と向かった。
(母たちは末弟と全員帰宅。Aにも帰ってもらった。)
密葬とは言え、数人だけだが親身にしてくださっていた40年来の父友人数名もいらっしゃりご挨拶させて頂いた。精進落としの席にご案内し、そこで昔話なんかもしてあぁ、父のことを思ってくれているんだなと心から感謝した。
幼少時代からかわいがってもらっていた方々だったので俺の話なんかもされてちょっと恥ずかしかったけどw
きちんとお見送りをして、一息つくため喫煙所に向かってタバコを吸っていると、顔を真っ赤にして次弟が駆け込んできた。
話を聞くと、なんと祖母と伯父伯母が、明日の火葬にAを呼ぶと言い出したそうだ。
ぶっちり切れてしまいました。
食事の場所に飛び込みどなり混んで、Aという存在。
Bとの間の子供の存在。
俺ら息子たちにも嘘をつき、母にも嘘をつき、末弟をないがしろにし、学費も碌に支払わずそのくせ自分のやりたいようにやり、金がないと母に金の無心をし続け、自分はほしいものを好きにかって散財していた鬱憤が大爆発した。
俺は今晩、通夜のために残るが、それが終わったら早朝に帰る。
あとはお前らがやれ。俺はもう知らん。呼びたければ勝手に呼べ。
お前らがお袋を親族扱いしないのであれば、俺らも親族扱いしなくて結構。
ただし、親父がかけたお袋に対する迷惑に関してはお前ら親族がきっちりかっちり責任負ってもらうからそのつもりでいろ。
今後一切の連絡は俺だけが取る。お前らからお袋に連絡はするな。
と啖呵切りました。
祖母はメソメソしてたが知らない。
俺はきちんとBに筋を通して、Bもきちんとこちらの心情を察した上で謝意を示し、大人として話をしていた。
にも関わらず、Aは筋を通す前に祖母が有耶無耶のまま勝手に進めていたことにも怒りが収まりませんでした。
前述のAとの不倫扱いについてですが、父と母は、父が自己破産した後に復縁することに決めていました。
書類も準備していました。
父が自己破産した時に、母や俺たちが巻き添えを食らわないようにするという名目でした。
今思えば、父が自由になりたかった。女の所に転がり込みたかった。
そういった思いの上での嘘だったのかもしれませんが。
それを父方実家は理解していたはずですし、認めていたはずです。
にもかかわらずこれです。
その後、Bとの間でも婚約していた(母と婚姻中)事実や、AとBの他にももう2~3人女の影が見えていた(しかも同時進行っぽい)のも修羅場。
現在は、母と末弟が住む家を奪われないよう弁護士を入れて行政処理を行なっているので現在進行形で修羅場。
その中身については詳細は書けませんが、安全かつリスクも少しだけで済むのが確定したので、前向きに行くために書き込みました。
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