ある夏の日、家族3人で森にキャンプに来た。BBQをしていると、幼馴染のSに出会った。
「やっほー!Mちゃん!」
「S!?久しぶり!今、家族とキャンプ中なんだ。良かったら一緒に――」
「ううん、今はいいや。あ、これあげる。護身用。熊出るから気をつけてね!」
彼女はこけしを私に渡し、森の奥へ走っていった。
妙に濡れていて、睨むような目をしたこけし。Sは暗い所が苦手だったはずなのに――
「Sちゃん、一人だったなんて珍しいね」母が言う。
「誰だって、一人になりたい時がある」父が答えた直後、
「ゴホッ…ゴホッ!」
父が咳き込み、膝をつく。
「お父さん!?」
「あなたっ!」
その時、背後から聞こえた。
「私のこと、裏切ったくせに。」
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