これは、私が体験した、異世界のお話です。
2019年五月、私は近くの焼肉屋に行こうと徒歩で向かっていたところでした。その日は、自慢話ばかりしてくる上司のへのうっぷんを晴らすために向かっていました。
徒歩で十五分ほどたったくらいで、なにか目の前に霧のようなものがかかりました。
「あれ、霧なんて珍しいな。」と私は思いました。
まあその時はおなかがすいていたので、そんなことなど気にせずに焼肉屋にむかいました。
そして、「やっと着いた…」と思いながら、行きつけの店だったので馴れ馴れしく挨拶をして、店内を見た瞬間、店内がやたらとレトロな感じになっていました。そこで私は、見たことのない新入りのような店員に、「雰囲気変えました!?素敵です!!」というと、そんなことなど知らんというような目で、席を案内されてしまいました。
私は、おあがり席に案内され、そこでおとなしくメニューを見ていました。すると、隣のおあがり席にいた、六人くらいの五十代後半くらいのおじさん方に話しかけられました。
「おい、お嬢ちゃん、ひとり?」
「おじさんたちと飲まない?」
「おじさんが全部おごってあげるからさ。ね?」
私はおごってくれるということを聞いて、すんなりと、
「じゃあ、、、お言葉に甘えて…お願いします!!」
と言い放って、おじさんたちの席に移動した。
そこで少し変だな、と思うことがあった。六人のおじさんたちの格好は、大きめのメガネ、ダボっとしたスーツで、今のサラリーマンとは少し違うように感じた。でもそんなことは気にせず、たくさんごちそうになった。そして、もう帰らせてもらおうかな、と思ったところで、一人のおじさんに、
「一か月後にここで俺の誕生日の祝いをやるから君も参加してくれないか。」
といってきた。まだあって間もないので、私は、行けたら、とその場でごまかした。私が、日にちを覚えられないかも、とうそをつくと、そのおじさんが、内ポケットから黒い手帳を出して、日にちを書いたものを渡してくれた。それでも忘れそうというと、おじさんは、どうしようか…と言いながら、腕を組んだ。そこで私は、おじさんの黒い手帳に自身のメールアドレスを書き込んだ。
するとおじさんは、なんだこれという目でみていたので、
「私のメールアドレスです!!ラインです!ライン!」
というと、ライン…?と言いながら、聞き流された。
私は、スマホを持っていなさそうでったおじさんたちに、ラインと言ってしまったことを少し後悔した。
そして、わたし、もう帰りますね。と言いながら店を出た。
そこからは結局あのおじさんたちとは何の交流もなかったが、五年後の2024年五月に、知らない人から一通のメールが来た。
誰だろうと思ってみてみると、
「こんにちは、急に連絡してすみません。祖父の黒い手帳にあなたのメールアドレスがあったので、連絡してみました。祖父は去年の7月に八十七歳で亡くなっていたし、昭和五十年代に使っていた黒い手帳からメールアドレスが見つかったので、おかしいなとは思ったのですが、一応連絡してみることにしました。迷惑になってしまったら申し訳ありません。」
という一通のメールが来たのだ!
私は確かに黒い手帳に自身のメールアドレスを書いたが、それは2019年のことなので、びっくりした。もしかしたらわたしは昭和五十年の世界に迷い込んでしまったのだろうか。それはわからない。
まあもうパソコンのキーボードで打つのは疲れたので、ここまでにしようと思う。最後まで聞いてくれてありがとうございました。
コメント