『久しぶりに電車に乗ったら変な駅についた話』|洒落怖名作まとめ【異世界系】

『久しぶりに電車に乗ったら変な駅についた話』|洒落怖名作まとめ【異世界系】 異世界系
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久しぶりに電車に乗ったら変な駅についた話

 

普段、仕事に行くには車を使ってた
首都圏みたく都会じゃなくて、通勤に電車を使う方が少ないような田舎だ
客はもっぱら学生がメインだと思う

その日、会社の飲み会があったんだけど
ちょっとした打ち上げみたいな漢字で
少し遠出することになったから
車じゃなくて、電車とバスを乗り継いで会社に行ったんだ

仕事をいつも通りにこなしていって
終業時間の少し前、電車の時間を前もって調べていたので
みんなで少し早めに仕事を切り上げて駅に向かった

目的地は1時間もかかるところで
それだけいけばさすがにある程度栄えた街

何事も無く目的地に到着
飲み会もまぁまぁ盛り上がった

二次会に行く組と、帰る組にわかれた

朝から体調も良くなかったし、
次の日にちょっと大事な取引先との打ち合わせがあったから
帰ることにした

一緒に帰ることになったのは
同僚のAと、先輩のB
電車は何人か立ち乗りがいる程度の込み方だった
3人座るとことはなさそうなのでたっていた

3駅くらい行けば座れるようになるよねー
とか適当に話をしていた

案の定、3駅進むと学生は結構降りた
それでも乗ってくる人と足し引きすると
まだ座れそうになかった
3人バラバラになるならもうちょっとたってようかってなって

そこからさらに数駅進むと同僚のAが
「俺、今日彼女んとこに泊まるんでwwwwww」
と言い出して降りることになった
「>>1も早く相手見つけろよwwwwwwww」
とか言ってくるし本当にうざいやつだ
フラレて風邪ひけって言っといた

Aが降りて、先輩と二人になった
「>>1、駅ついたらどうやって帰るんだ?」
「タクシーにしようかなぁと」
「羽振りいいなww俺、嫁さん迎えに来てるんだけど乗ってけば?」
「え、でも悪いですよ」
「気にすんな、>>1の話したら会ってみたいって言ってるしっw」

いったいどんな恥話をされていたのかと思うと心当たりがありすぎて嫌になるので
細かいことは考えずに、お言葉に甘えることにした

そんなことを話しながら考えながら電車に揺られていると
いつの間にか寝てしまったようだたt

電車が止まった感じがして目が覚めた

隣を見ると先輩がいなかった

寝過ごした!っていうか起こしてくれればいいのに!
とか思って慌てて電車を降りた

他にも何人か降りた人がいた
駅名を探して見てみたけど、見たことない駅だった
乗り過ごして偉いとこ来ちゃったよ、と思った

とりあえず携帯を取り出して時間を見ると
帰りの駅の到着時間を10分くらい過ぎてた

1駅か2駅くらいならタクシーでもそんなにお金かかんないな
とか思った

先輩に電話をかけた

呼び出し音は鳴るけど一向に出ない
何回かかけてみたけどダメだった
しかたがないので、乗り過ごしたんでどうにかして自分で帰ります
と先輩にメールを送った

ところが、何度やっても送信できませんでしたって出る
圏外でもない
メアド変えられたのか?とか
なんだか先輩への不信感が募った

周りを見ると、誰もいなくなっていた
無人駅
降りた客ももう去ったあとみたいだった

街頭の明かりもかなり暗い
無人駅なだけあって誰もいないし車もない

乗り過ごしたのが1駅だけだったとしても
東京みたく歩ける距離ではなくて、10kmくらいはあると見て間違いない
さすがに歩いてたら死んじまうと思った

隣の駅くらいならタクシー呼べばきてくれるはずと思い
たくしー会社に電話してみた
先輩みたく呼び出し音だけナルり続けるわけじゃないよな
とか思っていると割りとすぐに出た

「はい、○○ハイヤーです」
「えーと、△△駅(そこの駅名)に1台お願いしたいんですけど」
「はい?」
「△△駅です」
「それは~…どのあたりですか?」
「え、○○駅から下りで1駅か2駅くらいだと思うんですけど」
「○○駅の次は□□駅で、その次は○△駅ですよ」
「え…」

いや、確かに考えてみればそうだ
いくら普段、電車に乗らないとはいえ
近くの駅の名前くらいだいたい見当がつく
普通に考えて△△なんて地名はこのへんじゃ見たことがない

それに気づくと急にこわくなった
とにかく人のいるところに行きたかった
大きい国道に出れば、田舎とはいえトラックくらい走ってるはず

耳を澄ませてみてまた気づいた
なんの音もしない

9月だってまだまだ虫が泣いていていいはずだし
風で木が揺れる音や近くに車が走っていれば音が聞こえるはず
それがなにもない
聞こえるのは自分の呼吸と足音だけ
足と息をとめると本当に無音
静かすぎて、キィィィィィンって耳鳴りが聞こえてくる始末

周りを見渡すと、月の見える方向はすぐ山になっているよう
その反対側は少し離れたところに山があるように見えた

○○も山に囲まれてるところだからそんなに離れたところじゃなさそうだけど
その雰囲気というか空気は明らかにおかしい

とにかく、月の反対側に方に向かって走りだした
きっとそのうち大きめな道路に出るはずだと思った

走ってる間も音がしない
風の音はする
でもなんだか、空気がいつもと違うような
やけに冷たくて、やたらと体に絡みつくような気持ちの悪い感覚があった

少し走ると、大きな鳥居が見えた
うっすら明かりも見えてかすかに物音も聞こえてきた

やっと人がいたと思って一目散に鳥居をくぐった

すると、それまであった明かりやかすかな物音が消えた
急に消えたというより
元から何もなってなかったような感じ

何がどうなってるのかさっぱりわからない
「すみませーん!!」
と声を上げても反応はなし

諦めて鳥居をくぐって戻るとまたうっすら明かりでついていて
物音も聞こえる

それも、急に再開したという漢字でなくて
元からそうでしたって感じでそうなってる

わけがわからなくて数回鳥居を通っては戻ってを繰り返した

数回繰り返すうちにひらめいた
鳥居くぐんなきゃいんじゃね?

で、鳥居の外を通ってみると
案の定明かりも音も消えなかった

そのまま明かりの元に行きたかったけど
なんだかこの鳥居が気になってしまった
鳥居の外を通って境内へ
そのまま境内から鳥居をくぐるとどうなるんだろう

境内から鳥居をくぐって出てみると
なんか空気が変わった
周りの景色の色味がなくなった
夜だしもともとわかりにくかったけど
明らかに灰色っぽい空気になった感じがした

慌てて戻って、そのまま明かりの下へ行った

明かりの見える建物の扉の前に行ってみると
ワイワイガヤガヤと聞こえてくる
宴会のような感じで笑い声とかも混ざってる

そーっと扉を開けて顔を出してみると
中には中年の男性が4人しかいなかった

そしてその4人が4人とも怪訝な顔をしてこっちを見た

「あのー、○○に行きたいんですけど」

4人は返事をしてくれず
同じ顔でこっちを見ている

「ここはどこですか?」
「なにしてるんですか?」
「日本ですよね?」
いくつか質問をしてみたけど
それでも4人は返事をくれずこちらをじっと睨むように見ている

苛立ちとこわさでその場を立ち去ることにした

鳥居の外を通って道へもどり
すぐに鳥居をくぐって境内へ入った
さっきと同じで明かりも音もない

さっき4人がいたところへ行って扉を開けた
「誰かいませんかー!!」
返事はないが、何かがいる気配を感じた
動物か人間かわからないけど絶対になにかいる
でも暗くて見えない
携帯の明かりで照らそうと携帯を出すと
すぐ後ろにも気配を感じた
何かが動いて後ろにきたような風を感じた

「なにをしている」
「あ、あ…ここは、あの、○○に」
「閉めろ」
その声がとても低くて、怖くて慌てて扉を閉めた

扉を閉めて、後ろを向くと
人がたってた

でもその人の顔には紙が貼ってあった
ちょうど、夏目友人帳のやつみたいな感じで

それがとても怖くて鳥居に向かって一目散に走りだした
その人が追いかけてきたかはわからないけど
鳥居をくぐって振り向くと明かりが戻っていて、その人はいなくなっていた

神社は怖くて、他に民家や道路を探そうと道を進むことにした
なんだか一気に疲れが襲ってきて歩いてた

しばらく歩いても民家はないし、大きな道路にもぶつからない
もういい加減泣きそうだ

その場にしゃがみこんで途方にくれていると
後ろから人の声が聞こえてきた
足音も複数聞こえる
走ってるみたいだ

誰かきた!助かる!と思ってそっちへ歩いた
暗くて姿は見えないけど、まだちょっと距離がありそうだ

「こっちに行ったはずだ!」
「絶対捕まえろ!」

そんなことを叫んでいた

そんなのを聞いてしまったら逃げなきゃいけない木がして
道路から外れて茂みに隠れた
足音がどんどん近づいてきて
話してることも聞こえてくる

「あっちがわから迷い込んできたらいいことがねぇからな」
「さっさと捕まえて役場に渡しちまおう」

とかなんかいろんなことを話してる
息を潜めて隠れていると
どうにかやり過ごせたようだった

念のためもう少しそこに隠れてて
本当にさっきの4人と思しき音が聞こえなくなるまでそこにいた

もう大丈夫だろうと道路に戻った

4人を追いかけるような形になるけど
そっちに行かないとさっきの神社や駅に戻ってしまうからそっちに進んだ

歩きながら考えた
さっきの4人が捕まえろって言ってたってこと
4人が何かやらかしてるところを見てしまったからなのか
役場に渡すってことは、それはないだろう
なんで捕まえられなきゃいけないのか
さっぱりわからない
でも、誰彼かまわず助けを乞うわけにはいかなさそうだなぁと思った

そんなふうに歩いていると、反対側の山についた
行き止まり
途中、交差点なんかはなかった
あったのは神社だけだ

どうしていいかわからなくった
携帯を見ると圏外になってた

とりあえず携帯がつながるところまで戻ろう
それから警察なりどこなりに電話して助けてもらおう

そう考えてきた道を引き返すことにした
その時点で、駅から歩き出して1時間半たってた

ある程度歩いては携帯を開く
というのを繰り返していると
30分くらいで神社についた

なんかやけに近いなぁと思った
と同時に、なんかおかしい
さっき、駅から出てきた時は右側に神社があった
今引き返してきたんだから左側にあるはずなのになぜか右側にある
空を見上げると、月が後ろにあった

携帯は圏外のまま

子供の頃、ばあちゃんがよくしてくれた話の一つに
キツネに化かされるっていうものがあった
もしかして今キツネにばかされてるのかと思うくらいに現実離れしてる現象

もうさっきから涙が止まらない

神社の明かりは消えていた

もう本当に何がなにやらわからない
もうなんか諦めが強くなってた
さっきの4人に捕まって
殺されるなりしてしまった方が楽な気がした

鳥居の足元に座って誰かが通るのを待つことにした
きっとそのうちさっきの4人か誰か通るだろうと

情けなくもメソメソ泣いていると
境内の方からだから歩いてくる音が聞こえた

あぁ、これで人生おしまいか
なんでこんなことになったんだ

なんて考えたりしてると
「あんた、何してる?」
なんか少しかすれたような声で話しかけられた

見ると、着物を着た老人だった
老人に促されるがまま境内の建物の中に入った

そこでその老人はいろんなころを教えてくれた

ここは、元の世界とはちょっと違う場所らしい
たまに私のように迷い込んでくる者がある
そういうのはこっち側の人に害があるらしい
それを捕まえて役場に出すとお金がもらえる
鳥居をくぐると何か変な感じがしたってのは老人もわからないらしい
確かに、今境内に来るときはなんともなかっった
顔に紙を貼った人も何のことかわからないよう

駅から電車に乗っても戻れるかわからないという
でも戻る方法はいくつかあるらしい

一番てっとり早いのは
神社の奥の森に小さい祠があって
そこが元の世界とこっちがわの通り道になっているらしい

そこに案内してもらえることになった
祠が見えてきたところで老人が足を止めた
「こっちがわの人間は、あの祠に近づきすぎると気が触れちまう」
という
祠の扉の開ける手順やしきたりやなんかをその場で教えてもらった

老人にお礼をいうと
「お互い関わりっこなしでいこうや」
と苦笑いをしてた
迷い込んでしまったのだからしょうがないけど
なんか申し訳なくなった

言われた通りにその祠の扉を開けて中を見ると真っ暗だった
なんか吸い込まれる感じがしたと思ったら気を失った

気がつくと、電車の中だった
○○駅に着く直前だった
「あ、起きたか、起こしてあげようと思ったのに」
「あ…私ずっとここにいましたか?」
「ん?うん、ずっと寝てたけど?」

携帯を見ると、確かに時間も戻ってた
発信履歴には先輩とタクシー会社が残ってた
先輩に着信いってないかと聞くと
「来てないけど」といいながら携帯を取り出すと
私からの着信が残っていた

靴にも茂みに隠れたときについたような
雑草の緑色の汚れがついていた

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