お前も…
これは私の友達が体験した本当の話です。
最初この話を投稿するか大変迷ったのですが…話したいと思います。
私の友達(仮にAとする)が友達三人と体育館で遊んでいました。
暫く遊んでいると、Aがおびえるように「おい…あれみろよ…」とあるところを指差していました。
そこは、ステージの横にある小さな窓でした。
Aが言うにはそこに、凄い形相でこっちを見ている血だらけ女がいたと、言うのです。
「気のせいだろ」
と他の三人は言うのですが、やっぱりAは気になるというので、四人で見に行ったそうです。
ステージにいくための階段を上り、問題の窓を見てみたのですが、女らしき人は見つかりませんでした。
「やっぱり気のせいだったろ! そんな深く考えんなよ!」
と少し馬鹿にしたように三人は去っていきました。
Aも、あれは気のせいだったんだ、とステージを降りようとしました。
その時、後ろに気配を感じたことにドキッとしたAが恐る恐る後ろを振り向くと、生首を持った血だらけの女が立っていて一言。
鼻歌
現在も住んでいる自宅での話。
今私が住んでいる場所は特に曰くも無く、昔から我が家系が住んでいる土地なので、この家に住んでいれば恐怖体験は自分には起こらないと思っていました。
ここ最近ですが、リビングにいると昼夜を問わず、女性の低い声で鼻歌が聴こえてきます。
「ん~…ん~ん~…」
最初はよ~く耳をすまさなければ気づかないほどに遠くから聴こえてくるのですが、放っておくとどんどん近づいてきます。
「ん~…ん~ん~…」
それでも放っておくと、意識を集中しなくても聴こえるほどに近づいてきます。
「ん~…ん~ん~…」
なので私は、その声に気づいたらいつも般若心経の最後の部分を繰り返し唱えるようにしています(これしか知らないもので……)。
とにかく般若心経の「ぎゃーていぎゃーてい」のくだりを唱え続けると、声はだんだん遠ざかっていきます。
このリビングではテレビにも集中できません。
声が聴こえ始めるのは完全に不定期ですし、早く声に気づいて般若心経を唱え始めなければ、時としてそれは部屋にまで入ってきます。
「ん~…ん~ん~…」
そういえばこの前、大好きなバンドのニューアルバムが発売されました。
発売日を楽しみにしていたので、お店で買った時はもうテンション↑↑
さっそく家に帰ってヘッドフォンで聴いて、一通り聴き終え、よかったな~と余韻に浸りながらヘッドフォンを取ったら耳元で
「んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
彼女の復讐
友人Aの彼女が殺された。
報道こそされなかったものの、かなり無惨な殺され方だった(Aが直接私だけに教えてくれた)。
数ヶ月が経ったある日、気晴らしにと、Aと別の友人Bと三人で食事する機会があった。
その帰り道、三人で人通り少ない道を歩いていた時に、前方から女の歩いて来るのが見えた。
その時突然Aが「ぁあああ…」と、頓狂な声を発して震えだした。
その女は殺されたAの彼女だった。
恐怖で固まる私達三人を無言で見つめる彼女。
何を訴えたいのだろうと私が考えているとBが震えながら小さい声で言った。
「舌だ、舌が無いからしゃべれないんだ!」
そうだ、と私は思った。
無惨にも彼女は舌を切り取られて殺されたのだった。だから喋れないのだと気づいた。
その瞬間、凄まじい形相になった彼女が、何かを訴えるかのように激しく口を動かし始めた。
…確かにその彼女には舌がなかった…!
何も無い空洞のような口からニチャニチャという血糊の音が聞こえた。
私は気を失った。
十数分後、野次馬の人だかりの中で気がついた私は凄まじい惨状を目撃した。
Bは包丁で自分の舌を切り取って絶命していた。
目撃者の話によると、発狂したように自分の口に包丁を突き刺していたらしい。
Aは恐怖のためか、急に車道に飛び出して車に引かれたという。
幸い、Aは骨折程度ですんだ。
しかし事故を起こした車の運転手の話によると、車道に飛び出すAの後ろにシャツを引っ張っている女の姿を見かけたが、いつの間にかその女は消えてしまったということだ…。
影が影を呼ぶ
嫁のちょっと不思議な能力について。
嫁は幽霊は見えないんだが、時々『影』が見えるらしい。
人の後ろにぺったりくっついているものや、電柱の影でひたすら人を見ているもの、また、溝のなかからじーっと何かを見ているものもあるとか。
ある日、嫁と散歩中、Aさん家の前で、嫁が「あの家の玄関先に影がいる」と言いだした。
「誰か待ってるのかな。なんかわかんないけど、中に入りたそう」だそうな。
気になるので翌日も見にいったら「影が増えてる」らしい。
「二つ影があるの?」
「そうじゃなくて、影の大きさが増えてる。んで濃くなってる」と。
しばらくAさん家の前を通って散歩にいくようにしたが、毎日のように増えていき、やがて、玄関が見えなくなるくらい黒い影が増えていった。
そしてその影は少しずつ少しずつ玄関のほうに近づいていった。
嫁が「気持ち悪い。もう見たくない」と言いだしたので見に行くのを止めた二日後、Aさんが焼身自殺し、その家と隣の家が延焼した。
「影って死神なの?」
と聞くと、
「違うと思う。そういうんじゃなく、なんか悪い『モノ』なんだよ。で、多分Aさんが自殺を考えたから寄ってきてどんどん寄って来たんじゃないかな…」だそうな。
しばらくして嫁とAさん家の近くを歩いてみたら、焼け跡に最初の頃見たまだ小さい影が残っていて、じーっと空を見上げていたそうだ。
数日したらそれも消えてしまったが、なんだかとても寂しそうだった…と。
赤い服の釣り人
ある時、3人で沢登りに行ったが、15メートルほどの滝が、状態が悪くどうにも直登できなかった。
やむを得ず、滝の左側の斜面を大きく回りこみ、滝の頂上に出ようとした時、先頭を行く友人(A)が突然落下した。
滝つぼには岩が突き出ており、Aはその岩に顔面をぶつけたように見えた。
苦労してよじ登った斜面を別の友人Bとふたりで転がるように駆け下りたが、その時、俺の耳に甲高い笑い声が響いた。
そして眼前に哄笑する男性の顔。
その顔に構わず突っ込んだ刹那、足がもつれて俺は転んでしまった。
とにかく、そんな事は気にせず起き上がり、下まで降りると、先に下りたBがAを滝つぼから引き摺り揚げている所だった。
Aの顔は腫れ、膨れ、鼻と目から出血していた。
鼻といっても完全に潰れて顔の中に埋まっている。のっぺらぼうというのは、あのような顔の事を言うのかもしれん。
麓のキャンプ場で救急車を呼び、救急隊員が滝に到着し、Aを担架に固定した。
滝までは獣道があるだけなので、救急隊員と俺とBの4人が交替で担架を持ったが、顔面からの出血がひどく、その血が流れてくるので、担架を持つ手が何度も滑り、その都度担架は大きく揺れ、Aは痛みを訴え続けた。
ようやく救急車にAを乗せ、Bは病院まで同行する事になった。
俺はもう一度滝まで引き返し、散乱している荷物を回収し、麓まで戻った。
Aの車で出かけた為、仕方なくヒッチハイクしたが、あちこちに血をつけた俺を良く乗せてくれたもんだと妙な感心をしている。
退院後、Aは落ちる直前に滝の上に赤い服を着た釣り人の姿を見たと言い、それから後の事は良く覚えていないらしかった。
病院に担ぎ込まれた直後、赤い服を着た人が居るとか、その人を滝で見たとか、大騒ぎしたらしいが、それも本人にすればうわごとで、一切覚えていないとの事。
Aはかなりの手術の末に一命を取り止め、結婚し子供にも恵まれた。
そして2年ほど前、仕事中の事故で高所から落下し、死亡した。
<追記>
見えたのはほとんど肩から上だけで、服装までは良く覚えてないんだが、Aが赤い服の釣り人…と言い出した時、同じだ、とぎょっとした事は覚えている。
コメント