『不思議嫁』|洒落怖名作まとめ【長編】

『不思議嫁』|洒落怖名作まとめ【長編】 長編

 

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不思議嫁

 

1

俺は運転が下手でいつも嫁が運転してるんだけど
嫁は山に愛されると言うか呼ばれると言うか
山行くとよくナビが狂う
そしてそうゆう時同乗してると

いつも
「またか・・・」て言ってUターンしてる

とある山の頂上付近の小屋に泊まった時も
宿泊してるのは俺と嫁だけだったんだけど
夜眼が覚めると嫁がいない

そしたら嫁が外から帰ってきて
「明日は綺麗な雲海とご来光だよたぶん」
て言って寝た

次の日はすっごい綺麗な雲海と日の出を堪能できたんだけど
嫁になんでか聞いたら

「夜中に山の神様に呼ばれてここに残れと言われた
だけどひとつの山に留まるわけにいかないから
明日綺麗な雲海とご来光見せてくれたらまた来てあげる」

そう交渉したらしい
俺は見えないし聞こえないから
どうゆう事かよくわからないんだけど
嫁曰く

「どこも巫女不足だわ」

て言ってた
巫女って処女がなるもんじゃ無いの?

散々山の中案内されて
ナビが暗転してビックリマーク出て
「エラーです!!」なんて画面初めて見たよ

嫁がN県の山奥の神社に友達と行ったとき
20分で出られる山に3時間も車で山に閉じ込められたってのもあったって言ってた

山に入るときはすんなり入れたのに
出ようとしたら工事中で出られない
工事のおじさんに何度迂回路を聞いても
そんな道見当たらないらしい
工事のおじさんの言ったとおりに進んでも
またグルグルまわって工事現場に来てしまう
そんなのを3時間も繰り返したんだと
最後は出して!!って強く念じて出られたらしいんだけど
その迂回路はどうやっても見逃さないだろっていうくらい簡単なものだったらしいよ

2

もう一個嫁の山話していいか?

嫁はすごい心霊写真?神霊写真ていうの?撮るんだよね
本人曰く思い出に写り込んでくる
て微妙な顔してるけど・・・

それ見た俺の友達が
俺も神霊写真撮りたいから山に連れてって欲しいって言ってきたんだよ
運転するの嫁だし嫁に聞いたらオーケーとの事
そいつを入れて上記で書いた3時間出れなくなった山に3人で行った

で、山の上に神社があるんだけど
御神木っていうの?すごい太い木がいっぱいあって
その中の1番でかい木に嫁が何やらブツブツ話してて
なに話してるんだろって思ったら
「いいって!」と
「何が?」て聞いたら
「え?神霊写真撮りたいってお願いしたら
いいって!」と

俺も友達も何言ってんだこいつくらいに思ってたら
嫁がデジカメで写真撮ったんだよ
そしたらなんか虹と大量のオーブ?が写ってて
現実の世界撮ったのか?て写真になる
それ見て友達も撮りまくったけど
全部普通の写真
どうやったのか聞いたら
「イエスキリストを全部白髪にしたようなやさしいおじいさんが出てきていいって言った」
との事

ただその写真
をトップ画にしようとしたりデスクトップに貼ろうとすると
パソコンやスマホがフリーズするから
結局お蔵入りになってたよ

3

次の山話がブログも書けないし嫁に書き込んだ事バレたくない理由でもあるんだ

嫁は昔から心霊写真がめちゃめちゃ多くて良いものも悪いものもなんでも写しちゃってたんだけど
どっかの神様に言われてベジタリアンになってからはいいもの系のばっかりになったと言っていた

まだラインとか無い時代で
面白い写真がいっぱい取れるから友達とかに見せたくてブログ始めたんだよ
そこに嫁の撮った写真いっぱい載せて体験文と交えてさ

でも変わった写真でしかも神々しかったり明らかに龍じゃねーのみたいな写真載せてたら徐々にアクセス数が伸びていった

嫁は比較的山に呼ばれることが多いから
山の写真が多くて「どこどこ山にまた行ってきましたー!」みたいな感じで書いてたんだけど
もともと友達に見せるためにやってたからアクセス数も気にしてなかったし
コメントを書けないようにしてたから情報を垂れ流すみたいに書いてたみたい
1日2000pvって多い方なんだよな
俺もブログやらないから平均がどれだけかは知らないがそれくらいいってたらしい

そんなブログを更新する日々が続いた
ある日嫁が自宅から100キロくらい離れたアウトレットに買い物に行ってたんだ
そうしたら嫁のいた街だけ局地的豪雨ににあった
四方八方からどんどん水没して
その水から逃げるように車を走らせていたら
結果近くの山に逃げ込むことになったらしい

山に逃げ込んでも山だっていつ土砂崩れが起こるかわからないから安心できない
そんな時山の中に明かりが見えきて近づくと小さなプレハブ小屋だったと
水没の渋滞で時間も夜だし大雨の中の明かりを見たときは地獄の中の蜘蛛の糸のようだと言っていた
車を止めてプレハブのドアをあけて
「ごめんくださーい!誰かいませんかー!」
そうしたら入口に背を向けたソファで寝転んでたおっさんが起き上がって
「ハイハイなんですか」と
嫁は「街が水没してここまで逃げてきました!隣の県のN市に帰るにはどうしたらいいですか!!」と
おっさんは「無理無理!今日は諦めろ」と
嫁も引き下がらず「どーしても帰りたいんです!お願いします!」とお願いし続けるとおっさんはちょっと考えたあと
「この道をまっすぐに上がったところで道が二手に分かれてる。その右の道なら行けるかもしれねえ。賭けだが行ってみるか?」と
嫁は行きます!と行っておっさんにお礼を言って言われた道を行き始めた
でも道っていうより大雨のせいで川を車で下ってる感じだったらしい
長いこと道とも川ともつかない道を通ったあと
ようやく国道に出た
あぁこれで帰れる・・・と泣きそうだったって
後で調べたら嫁が通った1時間後くらいにその道は土砂崩れで潰れたらしい

無事に家に帰れたんだが悲劇は終わってなかった
嫁が局地的豪雨にあってた頃
嫁の場所から何百キロも離れたよく行く大好きな山も局地的豪雨にあっていた
嫁にいた場所より酷く
川は氾濫し道という道が土砂崩れの被害にあい
行きつけの宿は流されていた

おれもその宿の事はよく聞いていた
星空と山が同時に見える露天風呂でよくお風呂につかりながら山や星と話したと
だけど有名じゃなくていつも空いててすごく感じのいい宿だと言っていた

山の被害に嫁は声を上げてわんわん泣いてた
何で!誰がこんなことを!!!とか喚きながら
俺はどうしてやることもできなかった

その大雨事件の後しばらくして嫁はブログのある機能に気づいたんだ
読者からブログ書いてる人にメッセージが送れる機能だった
もともと友達同士で楽しむためのブログだったからコメントも書けないようにしてたし
通知も全部切ってたから気づかなかっただけでかなりの量が来てたらしい

そのメッセージには
「いつも素敵なお写真ありがとうございます!嫁さんのブログみて写真の山に行ってみました」
そんな内容のが何通かあったみたい
メッセージ送ってきただけでこんなにいるんだから相当の人数が嫁の行きつけの山に行っていたらしい
嫁の行きつけの宿にも・・・

それを見た嫁は
「私だったんだ・・私が山を穢したから私も同じ目にあったんだ」と・・
嫁はすぐにブログのすべての文を削除した
そしてしばらくパソコンを触らなかった

今は友達と鍵垢でtwitterとかやるようになったけど
ラインもtwitterも友達にお願いされて渋々はじめたって感じ
だけど自分の写真が不幸を招いたって思ってるから
どれだけしつこく誘われてもお願いされてもインスタだけはやっていない
今でも極度に自分がネットに与える影響にびびってる

だったら書き込むなよって話なんだが
会社とかの飲み会でさ「面白い話ない?」とか言われると嫁の話が喉まで出かかるんだよ
でも話したところで嫁の頭おかしいとか俺がカルトにハマってるとか言われそうで言えない
それでも王様の耳はロバの耳じゃないけどさ話したくなる時があるんだよね
だからガス抜きのつもりで書き始めたんだ
結果、嫌な思いする人も出てきてちょっと後悔はしてる

今回の話書いてて思ったんだが
土砂崩れがいっぱい起きてる山のプレハブでソファで横になってくつろぐおっさんって不自然だよな
嫁に話聞いた時は「良かったな!近くに行くことがあったらお礼言わないとな!」て言ったんだが
おっさんが人間じゃないように思えてきた・・・

4

嫁が俺と出会う前の話なんだけど
今でも嫁は山や自然が大好きだからよく山や森に出かけてる
そんな中なぜか無性に気になる山が3つあってどの山も自宅から数百キロ離れてるんだけど
仮にその山をA山B山C山とするとA→B→C→A→B→Cと行きたくなるんだと
だから何年もこの3つを周ってたって

で、その当時の友達がその山の頂上を結んでその3角形の重心に宝があるんじゃね?て言い出して計算したんだと
そうしたらその山を結んだ3角の重心は嫁の家だったんだ
友達はまさか・・・て思って何回も測ったけどやっぱり嫁の家
当時嫁は賃貸に住んでたからそこに住んでしまったから周らされたのか山が私をそこに住ませたのかわからないって言ってた

AとBはかなり有名な山だから知ってた可能性が高いと思う
Cを知った経緯はよくわからない
そして多分友達と行ってたと思う
サークルぽい話が出た事無いのと過去の写真見せてもらったことあるけど
どれも女友達と嫁ってペアだった

5

嫁がある日コタツで昼寝してたら
急に後ろから羽交い締めにされて起こされたんだけど
いい気持ちで寝てたのに急に起こすからびっくりして吹き飛ばしちゃったんだと
でも起きて冷静になってみると可愛そうな事しちゃったかな
ごめんごめん話聞くよって言ったら嫁の前にムービーみたいなのが現れて動画見たいなのが始まったって
雪が降ってて茅葺屋根のシーンで始まって雪の中に誰かが立ってて
カメラアングルみたいなのが近づくと着物を着た女の子となまはげのお面の顔をでかくして2頭身にしたみたいな妖怪だったと(嫁はナマハゲと座敷わらしって断定してた)
そこで急に視点が上空に切り替わってどんどん遠ざかって日本がまるっと見える上空まで来たかと思うと東北くらいのどっかの山の頂上から光の筋が伸びてどこかの山の頂上に光が到着し
またその山の頂上から光が伸びて違う山にまた違う山に何回も繰り返して光が止まったのが嫁がよく行く山の頂上だったらしい
そしてその2人組は頭を下げて
山から出たら私たちの道が閉ざされて帰れなくなってしまった
貴方はこの山によく行かれると聞きました
この山(嫁のよく行く山)まで行ってくださればわたし達は貴方を明かりにしてついて行く事ができます
そこまで行けば空の道で帰れますと言ったんだと
おそらくあの光が空の道だと思った嫁はその次の週くらいにそこの山に行ってた
「帰れたみたいだよ」って嫁は普通に言ってたけど
山から帰って来た時一緒に行った別に霊感があるわけじゃない嫁友人はその山で冬なのに地面から陽炎みたいなのがユラユラいっぱい出ててるのを目撃したって興奮気味に話してた

不思議嫁 終

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