山奥の神社
田舎の、特に島っちゅーのはなかなか謎が多いわけなのよ。
実際そうじゃなくても横浜育ちの俺としてはその田舎の島ってだけで妙に興奮を覚えるのさ。
まあ、今回は島の話じゃないんだが・・・。
オカ板なんぞに出入りしてるような人間だからね~、その興奮も人一倍なわけね。
だから、田舎に帰るとデジカメもってなんか曰くありげな場所に足を運ぶわけで、
流石に爺様死んだ時はそんなことしてる余裕はなかったけど、その前、俺が高校生の頃の話。
夏休みに入ってバイト初めて小金持ち始めると移動範囲がえらくふえてな~、
そんな俺が始めて一人で旅行に行ったときのお話。
目的地は出雲ですよ、その頃は伝奇物のエロゲとかに中てられてて神話とかそういうのに興味深々
だったからね~。
まだ若かったからスカイメイトなるものに入ってて飛行機がベラボウに安い価格で乗れたし、
財布に現金15万だけ突っ込んで鞄手荷物一つで羽田に向かったのよ。
いや~、島じゃない田舎は凄いね!田畑面積が島の比じゃない、見渡す限り畑、田んぼ
あれは壮観だった。
で、かなり早い時間に着いちゃった俺は空港から出てるバスで出雲市までむかいましたとさ。
その後はお決まりの観光パターンに従って出雲大社観光・・・正直あそこは詰らん!
完璧に観光地で俺の好奇心を満足させるような場所じゃなかったのよ。
もう何かがっかりしながら宿に行こうかとバス停に行ったのね。
大社横のバスターミナル?(亭?)に着くととても素敵なことをおもいついたのさ。
田舎の中の田舎に行ってみようと、早速調査に入る俺、バスの時刻表を見る、
一番本数の少ないバスを探し出す。
ありましたよ、ウドサギウラなる地名、この時点での時間14:30まだ夏なので日は高かった。
次のバスまでの時間も丁度10分ほど、迷わずバスを待つおれ、乗るおれ。
いや、車中浮きまくり、乗客もそれなりに(ご老体ばかり)いたが皆知り合いのようで
バスの皆で雑談、運転手まで雑談。俺は完璧に不審者でしたよ。
ちら見されること数十回、やっと終点まで着いた。
着いてビックリ世の中は広い、超田舎想像以上の田舎!自分の認識の低さにもビックリ。
さて、着いたはいいがどうしたものか、特に明確な目的もないからウロウロする俺、周りは鬱蒼たる山々、海、その海に沿って山に
入る小道を発見した。
迷わず登山を開始する。道はあるが、進むにつれてどんどん狭く険しくなってくるし、右手は海に真っ逆さまの崖っぷち、しかも鹿注意の立て札。
相当歩いたと思うんだがね、もうその頃には道なんかなかったね~。
それでもドンドン歩く、森の暗さで視界が狭くなり始めたころに、目の前に神社が出てきた。
急に視界が開けたわけではなく、鬱蒼とする木々と草叢の中にかろうじて鳥居と解るものと、その奥に確実に最近誰も来てないボッロボロの建物あったのさ、いや、流石に怯えるわ
だって怖いでしょう、自分一人なうえに周りは超森林、むしろジャングル、しかも帰る道も地獄道。
気持ちを落ち着かせようと思って近場の岩に腰掛けて一服。
で、多少落ち着いてくると色々回りもよく見え始めるさ。
さっきまで怖かっただけだったけど、耳を澄ませば海の波音が遠くから聞こえて真夏の太陽をいい具合に遮ってくれる木々、鳥たちの
囀り、鹿の足音。そんな爽やかさにすっかり落ち着いた俺。
ちょとしたことに気がつく、今、俺が腰掛けてる岩・・・不自然だろ、丁度人が腰掛けるにピッタリのサイズの岩が荒れた境内に自然的に置かれてるのなんて。
思っちゃたら最後、ちょいとかがみ込んで観察開始、表面はコケだか青海苔だかで何も見えない、俺は適当な棒でガリガリ表面を削るケズル。
岩の表面からは・・・何も出てこなかった。まあ、そんなもんですよ。結局ただの岩かと思って、屈んで痛くなり始めた腰を上げると、その岩の向こう側まっすぐ行ったところに同じような岩が置いてある。
ピンときた俺は直ぐに右を向く、あった右の視線上にも同じように岩がある。
どうやらこれは社を囲むように置かれてるみたいね。
その時はさして深く考えなかったけどね。これ、後々大切になってくる。
周囲の調査が済むといよいよ本丸、社の探索にとりかかる。
進入は簡単、扉ボロボロ両方腐り落ちててフルオープンのウェルカム状態だったから、一応入る前に手を合わせてお邪魔しますと呟いてからおじゃまする。
中はそんなに広くなかったけど、まだ御神体の鏡が残ってた。
床に無造作に捨てられるように落ちてて埃やら泥やらで見るも無残だった。ちょっと可哀想に思った俺はそれを拾ってもともと備え付けてあったであろう台の上に戻してやったのよ。
でさ、神社ってさ大体その御神体置いてある部屋の奥に細い通路があってその先にもう一つ小さい部屋があるものじゃん、それ、ご多忙にもれずしっかりあったからさ、入ろうかな~と思って近づいた。
その瞬間、その通路への扉がガコンて音立てて揺れたのよ。
風かも知れないし、気のせいだったかもしれない、しかし、俺はビビッたとにかくビビッた。
脱兎のごとく逃げ出した。入り口の扉も押せば開くのになぜか人間焦ると引っ張るんだよね~。
最終的には長渕キックで扉開けて脱出、そのまま山を転がるように疾走、もしあの姿を誰かに見られてたら確実に通報されてる、
だって誰もいない山道を男が凄い形相で走りぬけてるんだもん。
命からがら?やっと人里まで降りてきた。もうくたびれてヘトヘトだったから早くお宿に着きたかった。
が、ここで大変なことに気がつく時刻18:30
田舎のバスの最終は早い、何を隠そう自分でそういうところを選んで来たんだから。
通る車も、人もなし、しょうがなしにその町で唯一大きい建物のJAに入って事情を説明、タクシーを呼んでもらうことにした。
タクシーを待ってる間、JAのおっさんから色々と聞いてみた。
どうやらあの神社は、むか~~~しから或る土着の神社らしい、が昨今老朽化が激しく、これもまたかなり昔に町の直ぐ近くに新しく社を建てて御神体から何から全て移したんだそうな。
でも長年使った社自体に神様がいると思った村の人たちは社を壊さずにそのままにして、岩で四方を囲って神様が怒らないように封印までかけて、神様が祟神にならないように崇めてたんだと。
でも、今じゃそんなことは忘れられて誰も行かないような開かずの空間というか知らずの空間になったたんだとね~。
おっさん曰く、「久しぶりに人が来たからうれしくていたずらしたんじゃね~か~?」
と笑いながら言っておりました。
タクシーに揺られ市外にでるまでの間、落ちついた脳みそでよく考えると、色々不可解なことに気がついた。
ま、そんなお話。
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