通ってはいけない裏道
何年前かは話せませんが、2/25日、アルバイトのコンビニで向かう時の話です。
テレビに取り上げられるほどではないのですが、私の町の駅前は多く飲食店やデパートなどあり賑わっています。
で、私はコンビニの夜勤のアルバイトを時給1200円で見つけました。
夜勤もぶっちゃけ4人も居たので楽勝で一年は余裕で働いて居ました。
そこでコンビニのオーナーから
「深夜1時過ぎると、ここら辺は治安が悪くなるから注意しなさい」とよく言われていました。
また、もしも遅刻した場合は『■■の裏道を絶対に通るな』と言われました。
その■■の道は、飲食店の裏、ゴミが出ていたり酔っ払いが倒れていたり、イカツイ兄ちゃんたちが歩いて居たりする道です。
で、そう言うのにビビらない人なら分かると思いますが『大抵、関わらなければ問題が無い』訳です。
同じ夜勤クルー仲間も何度か其処を通ったこともあるし、喧嘩の場に居合わせたなど言っていました。
その日は大学のサークル活動で疲れていて、出勤するのを1時にしてもらいました。
もちろん他に3人居るし「イッスヨー」の一言で、私はゆっくり眠りました。
ですが、目が覚めたのは2時。
遅刻してしまった!っと思いクルーに電話して、自転車を飛ばしました。
そして、日頃なら■■の裏道は通らないのですが、その日は通りました。
理由は■■から通った方が店につくのが早かったからです。
で、最初にある程度進んだ所で違和感に気が付けばよかったのですが、
自分が進む方向から、イカツイ兄ちゃんや、飲食店の人(かな?)、OLやリーマンが、
今考えると足早に私が来た道へ歩いて行きました。
ですが、遅刻していたのを焦っていた為か、私は特に気にもかけず進みました。
そうすると、10人ほどの人だかりと、道を塞ぐようにナナメに止めたワゴンがありました。
「オラァ!」って声と、「ううぅ……」って泣いている声がいて、直に不味いと思いました。
なのに、私は『 関 わ ら な け れ ば 』と思いました。
それにワゴンの前の隙間から通れそうですし、昔、■■ではないですが、ヤ●ザ同士の喧嘩の場の横を普通に通った事も有ります。
だから平気だと思い、自転車をゆっくり漕ぎながら人だかりに向かいました。
私は「すみません……」とか小声で言いながら、人だかりの横を通りました。
怖い人達は「おう……」「チッ」「普通通るかよ……」とか言いながらも、道を開けてくれました。
「おいッ!!!?○○(←私の名前)だろ!?高校の時、同じクラスだったAだよ!!!!」
ハッと私は名前を呼ばれたので、反射的に振り返ってしまいました。
「助けてくれッ!こ、殺される!!!助けてくれェ!!!お願いだ!!!助けてぇ!!!!」
そこには高校の頃、同じクラスに居たDQNのAが居ました。
暗くてよく見えていませんが、頬あたりから血を出し、目元も晴れていたと思います。
一斉に十人の怖い人達が、私の方を見ました。
直に私は逃げようと立ち全力ペダリを踏み、ワゴンの前を通り過ぎようとしましたが
ワゴンが急発進し、私を引きました。
その時、右足の脛を見事に折り、痛みから動けなくなりました。
後ろからワラワラと怖い人たちがやって来て、私の肩を持つと乱暴に引き摺りながら横になり呻いているAの横に並べられました。
ズガガガッて自転車を引き摺りながら私を轢いたあのワゴンは、車を切り返し再び元に戻ります。
自転車はそのまま置かれていました。
「お前、コイツのAの仲間なのか!?あぁ゛!?」
「ち、違います!」
私の髪の毛を掴みながら、タバコの苦い口臭が分かるほど顔を近づけて怖い人が訪ねてきました。
「○○……○○……」
「テメーはうっせぇーんだよ!」
何故か私の名前を何度もつぶやきながら、Aは蹴られたり殴られたり、鉄パイプ(?)みたいな棒で肩を叩かれていました。
「ただ、私はAとは同じ高校だっただけで、その時も全然仲良くしていません!」
「本当だなぁ!?」
痛みとか恐怖から回らない呂律で必死に訴えます。
Aに尋ねに行きますが、Aは何も言わず「うぅぅ」って呻いているだけです。
「っちくしょ……余計なゴミまで増えちまったじゃねーか」
そんな事を怖い人達は言っていたと思います。
それと「金はどこに」とか、「アレは何処に隠したんだよ」とか。
DQNは高校の頃も、何度か私や友人のカバンを開け、ゲームやサイフをパクって居ました。
恐らくそれをやばい人にやったんだと、思います。
その後も全然返してくれず、Aが指おられる様や、殴る蹴るの暴行を見させられ。
私も、「なんでコイツ喋らねーんだよ!」っと私に八つ当たりなのか四回ほど蹴られました。
その時、肩の一部を骨折し、四十肩になりました。
それから何十分か、もしくは何分かもしれませんが、
ワゴンのドアが開き、一人がガムテープを取り出しました。
私は(ああ……拉致される、殺されるんだなぁ)とか、他人事のように思いながら傍観していました。
Aは「助けて」とか「殺さないで」とか、「すみません」とか言っている。
私の事は忘れ、命乞いばかりしていました。
ビリッと言うガムテープを破る音に、恐怖を覚え目を閉じました。
ですが、それが私の目や口に張られる事はありません。
男は地面にしゃがみ込み、何度もペタペタとガムテープを貼って居ました。
「おーし、準備できたぞ!」「誰かジェットもってこい!ジェット!」
その突然の英語に私は「ジェット?」と呟きました。
それを聞いたのか私を監視していた一人が「ゴキジェットだよ」と態々教えてくれました。
たぶん、勘が良い人なら場所と、状況を理解して、この人たちが何をするのか分かるのではないでしょうか?
私は残念ながらわかりませんでした。
「良いから口開けろ」「うんぬん!」「オラ!開けろやァ!」「~~~~!」
Aはそんな感じで口に何かを入れられていました。
「おい、コイツにもどうなるか見せてたれ」
俺の横に居る監視の人が言い、Aをコッチに向けました。
その顔はパンパンに腫れ上がり、何度も涙と鼻水と、嗚咽の様に呼吸をしています。
そして口にはギャ○ボールのような奴の、丸い輪っかの奴がはめ込まれていました。
口を閉じれなくする奴です。
そこから何度も口から吐き出そうともがく、Aの舌がウネウネしていました。
それを見させられたかと思うと、Aは引き摺られ、先ほど男がペタペタとガムテープを貼っていた地面のあたりで
主っきり顔を叩きつけられました。
「ガーン」と言いますか、あのマンホールの鐘の様な音が聞こえました。
Aは必死に抵抗して、顔を左右に振って「ふふへへ!(助けてかな?)」と叫んでいました。
Aの顔を確りと男が二人掛かりで、地面にキスさせるように押し付けました。
それを確認すると一人の男が手にゴキジェットを持ち、Aの傍に歩いて行きました。
「シュゥウウウ!」
誰もしゃべることなく、そんなスプレーの音と、Aの喚き声だけが聞こえます。
「ぬぶぶ!うぬうううう、うぬぅるうあああああああああ!」
みたいな叫び声をあげたかと思うと、Aの髪の毛を掴み顔を持ちあげました。
そのまま怖い人は急ぎ足で私の方に来て、Aの状況を私に見せました。
その口の中にウジョウジョと大き目の黒い何かが蠢いて居ました。
Aはペペッとそのいくつかを吐きだし、私の腕に突きます。
「キタねぇ!」とか言いながら、頭を掴んでいた人が腹をけり上げたので、
ゴクリとAが呑み込んだりしたかもしれません。
私はゆっくりと腕を確認しました。
ゴキ○リでした。私の腕を拘束で這い上がってきて首元に迫っている所でした。
私は生理的な拒否反応と、恐怖から、
「うあぁああ!」っと情けなく腕についた奴らを振り払おうとしました。
ですが、その腕の掌を容赦なく革靴で踏まれ「おいっ!!」と怒鳴られました。
その間にAは、またあの地面の場所、恐らくマンホールの所に戻され顔を地面に押し付けられていました。
「お前が本当に仲間じゃねーのか!?」
「本当です」←こんなハッキリと言えませんでしたが……
「本当だなぁ!?次はオメェの番だぞ!!」
「本当です!!信じてください!!仲間じゃありません!友達でもありません!」
どうして友達でもありませんとも言ったのか分かりませんが、とにかくAとの関係を否定する言葉を吐きまくりました。
もしかすれば「フリました!」とか叫んだかもしれません。
手の上の靴が退かされ、代わりに冷たい物を乗せられました。
「やってこい。歩けねーのか?」
私の足が腫れているのを見たのか怖い人は私を引き摺りAの傍に寄らせます。
その手にはゴキジェットを持っていました。
未知の周囲には至る所にゴ○ブリが居ましたが、流石に気にしている場合ではありません。
「このテープの隙間から入れるんだ、そうだそうだ」
と、私の意思とは関係なしに腕と手を操る怖い人。
「お前が違うって言うんなら、できるよな?」
そう言われ、私は人差し指に力を入れました。
Aの見開いた目が私の方をマジマジと見ていましたが、
そんなのお構いなしにスプレーのトリガーを只管引きました。
その後、どうしたのか分かりませんが、
周りの人達は拍手していて「へへへ、やるじゃねーか」とか「これで共犯だな」と言っていました。
その後、Aを置いたまま私は最初に■■に入った所に止められていたワゴンに乗せられ、そこで記憶が無いです。
目が覚めた時には、どこか病院みたいなところにいて態度の悪いオヤジが私の目にライト当てていました。
その横には、私を監視していた男と他二名の怖い人が立っていて、何か話をしていました。
その後、私の方に気が付いたオヤジに注射を打たれました。
次に目が覚めた時は、四つも隣の県の病院に居ました。
目が覚めた後、どうにかこうにかでナースコールを押すと、直に看護婦さんがやってきて、その後先生が来ました。
言い忘れましたが、先生は態度の悪いオヤジではないです。
それから程なくして警察が結構大人数やってきました。
どうやら喧嘩している声がすると言う通報があり、駆け付けた所に私が倒れていたそうです。
また、ポケットから、アウトな薬が発見され、身元不明と言うこともあり警察の厄介になりました。
警察に全部を話ましたが、ゴキ○リの所は話せませんでした。
Aの暴行現場に鉢合わせ、逃げた所を轢かれ、意識を失ったと言いました。
その件は話したくなかったのと、私もやってしまったので無意識のうちに隠したんだと思います。
検査の結果で私の体内から反応も無かったので、事は静かに進みました。
またオーナーと両親から、帰ってこないと警察に相談されていたそうで、誘拐事件の被害者として警察は認識してくれました。
足の方なのですが、先生に聞いた所、
骨にボルトが入れられており、結構完璧だそうです。
ただ、縫い方は失敗したそうで、酷く膿んでしまい再手術しました。
変な散策して「ボルトに盗聴器入ってません?」と聞いたら、先生は笑っていました。
私がヤ○ザ者と思われていたようで、最初こそ看護婦さんも先生も警戒していたので
余り色々話もせず、先生ぐらいが「精神治療」と言いながら話し相手になってくれました。
近所で、私が行方不明になったあと、
怖い感じの人や、セールスマンの男が何故か私の家にだけセールスしに来ていたと知り背筋が凍りました。
何より怖かったのが、私の夜勤の同僚であるBさんが自殺したことです。
あの晩、イカツイ人、と言ってもコンビニにはよく訪れますが、来店し、私の名前とBの名前を呼んだそうです。
Bさんは顔を青くしながら何かを話し、
その後、ほぼ強引に早退したそうです。
その後、住むマンションから飛び降りたと言います。
話しによると、AとBさんはイトコだったそうです。
そんなの全然私は知りませんでした。高校の友人もBさんの名前なんか、Aから聞いていないと言います。
そして我が家が、そんな事があって引っ越しの準備をしていると
オーナーから電話がありました。
私はもう駅前、特に■■には近寄りたくなかったため、オーナーに来てもらいました。
「○○さんのお蔭で助かりました」とだけかかれ封筒を、オーナーは渡しました。
「少し中を見てしまった。どうか、許してほしい」
オーナーは私に土下座して、私は訳も分からず封筒を受け取りました。
結構ズッシリしています。
開けられた封の中を見ると、人生で見た事もないほどの額の札束が入って居ました。
また、小分けする薬を入れるビニール袋の中に、ゴキブリの潰れた死体が入って居ました。
直に私はわかりました。
私が捕まり、私の職場をあの人達は洗い、そしてBさんを見つけたです。
恐らくBさんは、Aと何等かの事を行っていた為、殺された。
そんな想像が一瞬で過り、失禁しました。
そこは正座をしごまかしましたが、恐怖がフラッシュバックし息は荒くなっていたと思います。
オーナー曰く「こういうのは届けず、貰った方がいい」と言われ、私は家族に内緒で貰いました。
深夜アルバイトして大学に行く身……と言えば分かると思いますが、
決して裕福ではなく、その額は魅力的だったんです。言い訳ですが。
ゴキブリはオーナーに頼み、適当な場所で捨てて貰いました。
後に夜勤仲間から聞きましたが、
オーナーは、私は結構人相は悪いので、ソッチ系と繋がりがある子と思っていたらしく、
「○○君の封筒を開けてしまった……」と呟き、老衰から店を息子に譲ったと言います。
「○○さん封筒の呪い」として知らない後輩たちは、夜勤の怖い話として話しているそうです。
長々と失礼しました。
今では名前も変え、大学も卒業し、住む地域も全然違う所で暮らしています。
ちなみにゴキブリ所か、ゴキジェットは使えなくなり、ゴキブリ自体が無理になりました。
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また、書き忘れましたがAの安否は不明です。
どこかで目撃したと言う情報もあり、もしかすれば生きているのかもしれません。
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