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『地方大学医学部』【全3話】|名作まとめ

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『地方大学医学部』|名作まとめ【全3話】 長編
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標本室

873 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/07/23 20:46

 

私は現在、ある地方大学医学部に在籍している者ですが、
オカルトではありませんが、医学部にはいろいろと不気味な場所が
存在します。そのなかの一つ、「法医学研究室第一標本室」のお話です。

私の住む地方には検視監制度がなく、いわゆる異状死体は全て大学の法医学
教室に搬送され、司法ないしは行政解剖が行われます。
それはそれは様々な異状死体が運び込まれてくるわけで、中には練磨の
法医学教室のメンバーでさえ目を覆いたくなるような無惨なものもあります。

これらの異状死体は証拠写真を撮影された後解剖され、遺族のもとに返される
わけですが、まれに、遺族からも引取りを拒否されたり、法医学・解剖学・
病理学上、大変興味深い異状死体が搬入されることがあります。

このような医学上珍重な(そして大変グロテスクな)標本の多くが収容されて
いるのが「法医学教室第一標本室」、通称「穴倉」です。

「穴倉」は地階の教室を数個ぶち抜いた非常に広い部屋です。
しかし広いには広いのですが、地階であるせいか、はたまた
建物が非常に古いせいか、隅々まで照明がいきわたっておらず、
昼間でも電気をフルにつけていないと足元がおぼつかないほどです。

しかし私自身を含め「穴倉」に始めてやってきた人間は、電気が
ついたとたん、非常に驚いてしまいます。なぜなら壁という壁には
異状死体の写真が隙間なく貼り付けられており(しかも多くが
フルカラー)、猟奇殺人鬼の隠れ家に迷い込んだような錯覚を覚える
からです。

それはもう、さながら「異状死体博覧会」の様相です。
轢死体、水死体、刺殺死体、撲殺死体、銃殺死体、事故死体、
病死体、自殺死体、感電死体…そこにはありとあらゆる「死」
の見本がそろっているのです。女性の中には冷や汗をかきだしたり、
デリケートな方は嘔吐されたり、中には貧血で倒れてしまう方も
おられます。男性もやはり、皆さん一様に驚きと、何ともいえない
ような表情を浮かべてしまうようです。

「穴倉」の不気味な所はここにとどまりません。私も未だになれずに
やむを得ずにうかがった際にはできるだけ見ないようにしている一角
があります。そこにはなんとおびただしい数の「縊死体のデスマスク」
があるのです。

昔、ある法医学者の方が「絞首刑にあった罪人の顔はみな一様であり、
もしかすると死体のデスマスクから犯罪を犯すような人間の顔の類型化
が可能なのでは。」とお考えになり、行政と協力なさってデスマスク
の収集を始められたそうです。

収集当初から「縊死体が同じような顔面になるのは、窒息とその後の
過程から当然である。」との反論が大勢だったのですが、その先生は
反論には一切耳を貸さず、ひたすら刑死人のデスマスクを全国から
集めて回ったそうです。その先生は平成になってからお亡くなりになり
ましたが、死の床に伏せられるまで、この主張を変えられなかったそうです。

このような経緯で、現在「穴倉」には表に出ているだけで十数体、研究棟のどこかには
まだ数十体のデスマスク標本が眠っているそうです。
やはりこのような標本があると、オカルト的な話が様々に沸いて出てくる
のですが、私はあまりそのような話は気にしないようにしています。

夜中にデスマスクの目が開く、涙を流す、断末魔の叫び声を上げる…
しかし噂は噂に過ぎず、法医学教室のメンバーでそのような経験を
したという話は聞きません。

ただ、「穴倉」にはまだまだ不気味な場所があり、
ふざけ半分で「開かずの間」などと呼ばれています。
大きな南京錠が二個かけられた、おそらく細長い部屋なのですが、
教授をはじめ誰も中をのぞいたことがないのはおろか、中に
何が収納されているのも知る人がいないのです。

過去に何度も開けようとする試みがあったらしいですが、
当人たちが尻込みしたのか、実際に開けてみたという話は聞きません。
しかももはや鍵そのものがどこかに失せてしまっているのです。

その部屋いつから「開かずの間」になったかと言うと、件の「先生」
が大学を退官なさってからだそうです。それまでは個人的な標本、
おそらくデスマスクを収納していたという話ですが…

来年、とうとうその研究棟も建替え工事が行われ、「穴倉」も
消えてしまいます。そのときあの部屋からは何がでてくるのでしょう?

医学部にはオカルトではありませんが不気味な場所がまだまだたくさん
あります。「穴倉」の話もその一つに過ぎません。
また機会があれば、お話できればと思います。スレ汚しの駄文、
失礼致しました。

 

 

中庭 (基礎研究棟)

162 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/10/18 20:49

 

以前、「標本室」という話を投稿させていただいた者です。
今回も、私が所属するある地方大学の医学部にまつわる
不思議な話をさせていただきます。

私どもの医学部キャンパスには、その長い歴史を物語るように、
新旧様々な建物が混在しています。
敷地内にある大学病院も三度目の移転新築工事が行われており、
それまでの建物はそれぞれ他の目的に使用されています。

旧病院の中で最も古い建物は、現在基礎医学研究棟として使用されて
いるのですが、ここが、この話の舞台です。
基礎研究棟は明治期に建築された、キャンパスの中でも最も古い部類に
属しています。

当時の建築様式を踏襲し、古風な噴水跡のある中庭を囲んで、
上から見ると「口」の字になっている、五階建ての建築物。
当時を偲ばせるなかなか風格のある建物ですが、手入れもされず
雑草が伸び放題になっている中庭、ところどころ剥げているリノリウムの床、
光の届きにくい廊下と、うら寂しい雰囲気も漂っています…

その建物の研究室に籍を置く講師のある先生は、その日も夜遅くまでご自身の
研究に精を出しておられました。もう夜もふけ、周りの研究室の電気も消えて
いましたが、先生はちょうど定期的に数字を取らなければならない実験を
なさっており、その時期は休日も返上で臨んでおられました。

やっと今日の分の数字も取り終わり、やれやれ帰ろうと研究室の電気を消し、
月明かりに照らされるのみの暗い廊下を、コツコツと階段に向かわれました。

その夜は実に月明かりが美しく、先生はふと、窓辺から月でも眺めてみようかと
思いつかれたそうです。廊下の中庭側の窓辺にふらりと近づき、窓を開け、上を眺める…
澄んだ月明かりは冷たく、連日の勤務に疲れていた先生も、我を忘れて射さす光に
魅入られてしまったそうです。

ふと、建物の反対側の窓辺に目を移すと、そこにも自分と同じ白衣姿を認めました。
先生は、まだ残っている人が自分と同じように月明かりに誘われて…と思い、愛想に
手でも振ろうかと思い、手を上げかけたとき…先生は眼前に広がるたくさんの窓辺に、
同じような白衣姿がポツリ、ポツリと見えることに気がつかれました。

こんな時間に研究員たちが大勢残っていることも不思議ですが、さらにおかしなことに、
誰も月明かりなどには目もくれず、一様に「下」を眺めているのです。
つまり…「中庭」を。

先生の背中に急に冷たい汗が流れました。「中庭」は雑草が生い茂り、見るべきもの
などはなにもない…いや、彼らは見ている…いやちがう…

見たくもないのに視線が中庭に降りていく。
月光に青白く照らされる中庭。真ん中には朽ちかけた石造りの噴水。生い茂る雑草。

誰もいない。何もない。何も、「見えない」。
しかし「彼ら」は見ている。いや「看ている」?誰を?誰もいない中庭。
見えない、いや、見える。「中庭」にいる、たくさんの、人。あの人たちは…
寝巻き姿、浴衣姿、咳き込む少年、車椅子の老女、うつむく青年、佇む看護婦…
それを見下ろす、白衣姿の、あれは、医師たち?
見えないのに?見える、看られている、もう二度と、家には帰れない、あの人たち。
それを見下ろす、白衣姿の、満足げな、笑み。

「あの人たちは帰れないのだ。帰りたくても、「彼ら」がそれを許さない…」
この話をなさった時の先生は、とても悲しそうなお顔をなさっていました。

医学部ではさまざまな不思議な話が語り継がれています。
機会があればまた、お話させていただきたいと思います。

 

受け継がれた血

867 名前: ◆m2/JIAzxUM 投稿日:03/11/09 14:31

 

以前、「標本室」「基礎研究棟(まとめサイト未収録)」という話を投稿させていただいた者
です。今回は、私が所属する地方大学医学部の忌まわしい過去にまつわる話を
投稿させていただきます。

太平洋戦争も終わりを迎えようとしていた頃、
K大学医学部では、世にも忌まわしい、ある「実験」が行われていた。
敵兵捕虜の「生体」を利用した解剖実験である。

S博士を中心とした研究班は、まるで実験動物か何かのように、
軍から送られてくる敵兵を生きたまま切り刻み、器官・臓器を摘出。
ホルマリン漬けにしたそれを大量に並べ、他の研究班員らと共に悦に入っていたという。

しかしこの狂気の沙汰も終戦と共に終わりを告げる。
辛くも戦犯追求を逃れたS博士は大学を辞し、開業。医学者として名声を得ていた
S博士の病院はたちまち市民の好評を得て、現在まで存続している。

S博士は終戦後、数年して亡くなり、その息子であるS氏が院長に就任した。
S院長には二人の息子と一人の娘がおり、代々医師の家系である名に恥じず、
二人の息子は医師に、娘も医師は断念したが、教員の道を選んだ。

…しかし順風満帆かに見えたSの一族に「過去からの影」が迫り始めたのは、
実に戦後半世紀近くを経てからであった。

S院長の長男は、その日も、朝食もそこそこに、市内の高層マンションから慌しく出勤していった。
妻とまだ小学生の息子、そして最近やっとよちよち歩きを始めたかわいい娘。
殺人的に多忙ではあたったが、長男にとって家族はかけがえのない存在であり、
心の癒しだった。

祖父が設立し、自分の勤務先でもある病院に向かった彼は、勤務先のいつもと違う雰囲気に
違和感を覚えた。顔なじみの看護師が彼を見つけるやいなや、青い顔をして駆け寄ってくる…
急変か?嫌な予感がする。

彼女の話を聞き終わるか終わらないかのうちに、衝撃で彼の頭の中は真っ白になった。

…妻は泣きじゃくるばかりで、警察の事情聴取にもまともに応じられない有様だった。
彼とて同じ気持ちだ。「なぜ息子が…」さっきから同じ思いが去来する。
反抗期だが他の子供と変わったところも感じなかった。
人一倍妹をかわいがっていたあの子がなぜ…?

ようやく妻が語ったところによると、彼が出勤してからしばらくして、台所にいた妻の耳に
「○○ちゃん!パパが帰ってきたよ!窓からおてて振っておむかえしよう!」
という息子の声が聞こえたそうだ。

彼が忘れ物でもしたのかといぶかしんだ妻が、リビングの子供たちのところに
行き眼にしたのは、ベランダで幼い妹に「たかいたかい」をする息子の姿だった。
「危ない!」妻が駆け寄ろうとしたとき、息子がこちらを見て、かわいい妹を抱き上げた手を、
外に向かって離した…
そこまで言うと妻はまた泣きじゃくりはじめた。

S院長の次男は少々放蕩が過ぎる人物だった。
あちらこちらに愛人を作っては捨てるような、そんな男。
次男にとっては、最近付き合い始めたDも、特別な思い入れもない数いる愛人の一人でしかなかった。
…はずだった。

父の病院での当直明け、次男はフラフラする頭を抱えながら、自分がDにあてがっている
マンションにたどり着いた。Dは美容師で、比較的年増ながらもよく気がつく女で、
次男は彼女を気に入っていた。

オートロックを解除し、昨晩洗っていない髪を掻きながら次男はDの部屋のチャイムを鳴らした。
いつもであれば、笑みを浮かべて「お疲れさま」と迎えてくれるD。
…いないのか?次男はノブを回してみる…開いた。…いるのか?無用心にも程がある。
ここは元々俺の持ち物…にしてもなんだよこの臭いは…鈍った頭で次男はそう考えた。

「おい!いるのかぁ!?」…玄関を上がる。それにしてもくせえな…
「おい!!××!寝てんのか?」…廊下をたどる。いやこれは…嗅ぎなれた臭い…
「かくれんぼでもしてるつも…」…リビングに通じるドアを開ける。この錆びたような臭いは…

一面の、血の海。

包丁を握り締め部屋と同じく血まみれになったDは、血の海の中から次男に微笑みかけた。
「お疲れ様…ごめんね部屋、こんなに汚しちゃって…」
一瞬次男は混乱したが、彼も医者の端くれ。血を見て妙に冷静になった。
「お前、俺のマンションで何やってんだよ…」

次男は、普段温和なDが、同僚のGについて語るときだけ、妙に攻撃的な態度になることに
気がついていた。機会があったら殺してやりたいとまで、ふざけ半分ながらも語るDの顔を
見たとき、豪胆な次男も少なからずゾッとした気分になったことが思い出される。

すると…血の海の中Dの前に転がる肉塊は、もしや…Dはうなづくと、泣き出しそうな表情になった。
「あなたに迷惑はかけない!絶対!!」
もう充分巻き込まれている。次男は「バカいってんじゃねえよ。隠す方法を考えろ!」
そう叫びながらDの手から包丁をもぎ取り、肉塊に向かった。

結局、事件は発覚し、Dは逮捕された。
週刊誌は「美容師バラバラ殺人事件!事件の陰に医療関係者の存在!?」と書きたてた。
人体をバラバラにしようとしても、相当な力と、関節の場所を熟知していないと履行できない。
「犯人Dの愛人医師に疑惑浮上!?」次男の必死の努力も、どうやら報われなかったようだ。

しかし、そんなことももはや、次男には関係がなかった。
彼は既に「死んで」いた。「自殺」だったそうだ。少なくとも「書類上」は。

…次男の死亡証明書の署名欄には、他ならぬ父親、S院長の名前が書き込まれていた。

では、教師になった長女は?
長女は教師になった後、同僚の男性教師と結婚。三人の男の子をもうけ、幸せな家庭を築いていた。
後に、「毎日家族で庭に出て運動したり、休日は出かけたりと非常に仲がよさそうに見えた。」
と、近所の住民が証言している通り、絵に描いたような「幸せな家族」だった。

息子たちは成績優秀で、いじめられっこをかばいもする、心の優しい少年に育っていた。
長女は満足し、この幸せがずっと続けばいいのに…そう思っていた。

最近、近所で動物の虐待の跡のある死体が見つかったり、女の子が二人暴漢に襲われたりと
何かと物騒な事件が起こっていた。長女とその夫は息子たちと報道を見ながら、
「親の教育が悪い」などと話し合っていたという。

末の弟の同級生の、少し体は弱いが元気いっぱいだったH君が行方不明になったのはちょうど
その頃だった。三人の息子は皆、行き先に心当たりはないという。彼女も何度か会話を交わした
ことがあっただけに、不安が胸をよぎった。

次の日の報道は世間を震撼させた。
「行方不明児童の遺体の一部、小学校の校門にむごたらしい姿で放置!」
「警察に挑戦状!?犯人は…を名乗り、遺体のそばに挑戦状をらしきものを…」

…それから幾日か、彼女は不安な日々を過ごした。
ショックでなかなか食事が喉を通らない。あんなかわいらしい子供を一体誰が…?
息子たちも憤っていた。家族全員が悲しみ、憤っていた。

…チャイムの音。

彼女はやり過ごそうかとも考えたが、気を取り直して応対する。
「…はい…え?…はい……今、なんとおっしゃいました…?」
世間は二度目の、しかも一度目と比べようもない事実の発覚にパニックとなった。

「少年A、14歳。殺人・死体損壊・遺棄の容疑で逮捕」

現在彼女とその家族は、忌まわしいその地を離れ、父の病院に近いD市に居を
移している

S博士は解剖学の偉大な研究者として、医学史にその名を残し、
また、子孫の血にも、はっきりとその形質を受け継がせ続けている。(了)

 

 

903 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/11/09 21:50
>>867-873
F県のS病院のネタですね。
美容師バラバラ事件に関わったとされる医師とサカ○バラが
血縁だってやつ。地元民なんで次男の件がかなり噂になったの
は記憶してるし、サカ○バラがそこの血縁らしいと言う噂は
聞いたことはあるけど、長男の件は知らなかった。

904 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/11/09 21:57
>>903
え?実話だったの?・・・ガクブル

905 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/11/09 22:05
>903
こんな有名事件が、1つの血族に集中するわけねーだろ!
と思ったのにー(((;゚Д゚))ガクガクブルブル

906 名前:903 投稿日:03/11/09 22:37
いや、完全に実話かどうかは知らないけど地元の噂を
まとめた話ではありますね。
初代S博士の件は小説にも映画にもなった超有名事件のこと
だと思う。

907 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/11/09 22:39
>>867-873
確か、遠藤周作の「海と毒薬」ですね。映画にもなった。

それが、美容師殺人事件の医師にまで繋がってる・・・
それホント?
S病院の話は聞いたことがあるけど、犯人の女Dは確か
当時F県O市に住んでて結婚してなかったっけ?
すると不倫関係?

910 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/11/09 23:11
>907
Dは結婚してたけど、愛人がいたのは確か。
その愛人はS病院の次男ではなかったけど。
住んでいたのはF県D市。>>873に出てくるD市と同じ?

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