『人魚の悪夢』|厳選 怖い話 まとめ

『人魚の悪夢』|厳選 怖い話 まとめ 厳選

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人魚の悪夢

764 ME ◆KCYjPGrG56 sage New! 2011/04/09(土) 04:17:53.98 ID:aSp2s4b20

 

1

外国に駐在する日本の子どもが夏休みなどに一時的に日本に帰ってくると小学校に一ヶ月間だけ「体験入学」出来きるんです。
私の遠縁にあたるM家と縁あるスピリチュアルな(霊能者の)L家は、I市よりも少し離れた都市A市にありました。
そのA市にも、毎年体験入学を希望するハーフの児童エヴァンジェリン(以下エヴァ)が7月にやってきていました。その話を投下。

「おそらく、L家の祖先もエヴァの祖先も大元は同じかもしれない。あるいは、L家は他の流浪するシャーマンより早く定住に切り替えたんだろう」
私はL家でエヴァと出来るだけ過ごし、夏休み明けにA市を離れ、実家のある地元へ戻ることになった。
地元の親友みこちゃんはL家の遠縁だ。エヴァの家系と繋がってはいないだろうか?エヴァのように悪夢に苦しんでいないか?
それを早く確かめるために、私は家路を急いだ。

駄文&中途半端な終わり方で、申し訳ありません。(ちなみに、みこちゃんは人魚の悪夢を見たことが無いそうです)

毎年八月になると、A市の特定の地域の子どもがお払いして欲しいとL家に殺到するという。
ただ、事情は皆話さない。
とにかく、除霊でもお払いでもお清めでもして子どもをどうにかしてくれと泣きついてくる。
昨年までに百人単位の被害が出たため、L家も不測の事態に備えて、騒動の根本を駆除する事にしようかーとなった。
興信所並みのM家の使用人カイさんを中心とする男衆も、問題の顧客の住所を頼りにA市を調べまわった。
こうして、L家とM家は五年前から、エヴァという少女がA市立AAA小学校に7月の一ヶ月間だけ「体験入学」している事を突き止めた。

そこで、L家とM家は私にAAA小に潜り込んでくれと無理難題を吹っかけてきた。
期間が前回の借り子の時の転校と比べて、一ヶ月というのは短い。
しかし、何も真相が解からないまま転校なんてあまりにも怖い。
エヴァも小5。私も小5。L家の人間が近づくよりも、私が適任だったそうだ。

転校した初日、私は校長室でエヴァと遭遇した。
とても、きれいな子だった。日本離れした顔。髪。目。雰囲気、オーラ。
校長室を出ると、全校生徒が集まる勢いで廊下は子どもであふれかえっていた。
皆、一年ぶりにエヴァに会えて嬉しそうだった。

 

2

エヴァには、人をひきつける魅力があった。もう、どこかの宗教の教祖様みたいだ。
授業時間以外エヴァは常に次から次へとやってくる相談者の児童を占っていた。
私もすすめられた。断ると、エヴァに腕をつかまれた。
「うちに、きて。おねがい」
つたない日本語というより、何か重大な決断をして言葉を選んで言っていた。
ふと、エヴァに重なるようにして何かが視えた。魚?いや・・・人?

私は、一番信頼出来るカイさんに同伴してもらって、エヴァの家へ向かった。
日本人の母親の親(エヴァにとって祖母に当たる)の家にエヴァは滞在していた。
母親はエヴァを一人で日本に帰国させたそうだ。まだ、若い五十代のエヴァ祖母は困っていた。
「L家には伺おうと思っていたんですよ。でもね、そうなると私もA市から出なくてはならないんです」
「どうしてですか?」とカイさんは聞いた。
「L家のご先祖様に我が家のご先祖様は守ってもらって、ここの土地に住まわせてもらったそうです」
「だから、絶対にL家には迷惑をかけないようにというのが家訓です」
「お気づきでしょう?この家系は男子が早死にする女系一族なんです。この家柄に、男は酷です。だから、娘も今辛い思いをしています」
「娘、つまりエヴァの母親サリは外国でエヴァの父親の看病をしています」
「悪いんですか?」
「サリが側を離れなければ死ぬのは目に見えています。我々は男とは暮らせません。そういう宿命ですから」
「そして、異国の血と混じって生まれたエヴァにはもっと重荷を背負わせてしまいました。力のすごく強い子に生まれてしまったんです」

 

3

「毎年八月になると、死相の出た子どもがこの地域に急増するのと関係がありますか?」とカイさんは尋ねた。
「はい。男も女も見境なく、日本人の子どもであればエヴァの影響を受けてしまいます」
「エヴァはA市の大きな病院の産婦人科で生まれました。故郷はここです」
「しかし、エヴァと一緒に寝かされた赤子は皆衰弱していきました。エヴァ一人のせいで赤子全員が死にかけたんです」
「サリは奇異の目で見られる前に、無理やり退院してエヴァを連れたまま日本を出国しました」
「エヴァの力は日本の外では無力化するようです。だから、夏の間だけ私は孫と日本での暮らしを唯一の楽しみに生きてきました」
「エヴァを殺しますか?」エヴァの祖母がカイさんにそうはっきり問いかけた。
「どうしてです?」カイさんは驚いていないのに、そう返した。
「だって、エヴァは危険でしょう?それなら、血の繋がった私も一緒に殺して下さい。孫を失うくらいなら、心中した方がマシです」
大人たちの話を横で聞きながら、エヴァと私は縁側で涼んでいた。
「はじめてあったとき、うれしかった。ME、わたしとにてる」
「うん」と私は肯定した。
「でも、あのゆめはMEみない。わたし、いきててだめ?いきてていい?どっち?」エヴァは縁側にごろんと寝転んだ。
エヴァは確かに、人を魅了する力がある。
だが、人の命を弱め奪うなら無意識のうちでも、嫌なオーラが漂うはずだ。しかし、一切漂わない。
「生きてて良いに決まってるよ。生きてるんだから、生きてて良い」
そう言って、私はエヴァと親友にる約束をして帰る事になった。
まただ。魚の鱗や人のイメージが「バイバイ」と手を振っているエヴァに重なって視える。
魚のイメージがエヴァに重なって視える事をカイさんに話すと、「エヴァは八百比丘尼かもしれない」とぽつりとつぶやいた。
「ヤオビクニ?」
「人魚の肉を食べた女の人の事だよ。人魚の肉を食べると、不老不死になるって伝説があるんだよ」
「それって、ここA市の伝説ですか?」
「いいや、ここは海に面していない地域だから、人魚の肉を食べたら鮮度が落ちて腐ってて腹を下してただろうな。不老不死どころじゃない」
カイさんはそう言って、私を車に乗せた。

 

4

海の日の翌日。
エヴァは遅刻した。ものすごい具合の悪そうな顔で、先生が保健室へ連れて行った。
それが始まりだった。
急に、猛暑で蒸し暑い教室で私は悪寒がして震えていた。プールにつかって身体が冷えてしまったような感覚だ。
でも、実際は教室で他の皆はと一緒に先生が戻ってくるのを待っている。
教室の中だけではない、廊下も息苦しい。

いつの間にか、サイレンが聞こえ出して、救急車が突然学校の前に止まった。
どうやら、学校の保健室から119番通報があったらしい。
私は嫌な予感がして、保健室へ行った。歩く度に、足が重くなる。
目の前で、救急隊員が保健室から児童と教員を引きずり出し、人工呼吸をしている。
窓辺のベッドが一つだけカーテンで仕切られている。
「エヴァ!」私はカーテンを開けると、エヴァがうなされている。
「エヴァ、起きて!起きてよ!」エヴァの頬をぱんぱんと叩いて、早く起こしてあげようとした。
その瞬間、地球がひっくり返ったようにこてんと私は転倒した。
世界がねじれていく。身体が切り刻まれるように痛み、しびれていく。怖い。殺される。助けて。
「ME?・・・わたし、またわるいことした。ごめんなさい、ごめんなさい」
エヴァがベッドから離れ、窓に足をかける。
駄目だと叫びたかった。でも、手を伸ばそうにも、全身が動かない。
人魚が私の方を向いて窓辺に腰掛けている。何故、人魚がここにいるのだろう?
人魚が飛び降りた。いや、人魚じゃない。あれはエヴァだ。

 

5

エヴァは二階の保健室の窓から芝生の上に飛び降りたため、脳震盪ですんだ。
保健室を利用していた五人と人魚の錯覚に混乱している私、飛び降りたエヴァは一緒に病院へ運ばれた。

私は駆けつけたカイさんに「エヴァは悪夢にうなされていた」事をすぐに話した。
「エヴァが悪夢を見ると、周りの子どもに影響を与えてしまう」と伝えた。
しかし、エヴァは祖母に連れて行かれ現在失踪中。
L家とA市の住民に迷惑をかけたので、消えたそうだ。

カイさん達M家の男衆はL家から頼まれ、エヴァの祖母宅を調査した。
すると、エヴァの部屋から人魚の絵がたくさん見つかった。
そして、部屋の奥から人魚が解体される残酷な絵が次々と出て来たそうだ。
エヴァはおそらく、人魚として殺される悪夢を見ていたんだろうとカイさんは話してくれた。

私の考えは外れているかもしれないが、L家の霊能者・真子さんに以下を伝えた。
エヴァの祖先は風変わりなシャーマンだったのではないか?
当時の社会にとらわれず、シャーマンをしながら日本を流浪していた。
その力は(古代からのものだったか全く新しいものだったか不明だが)異様だった。
人を癒すだけではなく、人から生気を奪うことも出来たがその力をひけらかす事なく政にも干渉しないし、後ろ手にもならなかった。
いつしか「八百比丘尼(人魚肉を食べた人)」と定住する同業者(霊商社や宗教家)から揶揄されていく。
多くが特異なシャーマンを廃業していく。
しかし、そのうちの一人の女がL家に庇護を求めた。

 

6

そうして、ひっそりシャーマンとして生きたのがエヴァの母方の家系のルーツではないだろうか?
そのシャーマンは力の影響か何かでとにかく「人魚の悪夢」をみるらしいのは間違いない。
それを同業に知られると「人魚の肉を食べて力を手に入れた愚か者だからだ」と戒められたり、さげすまれたりする。
また、同業者でなくとも「自分まで人魚に祟られるのは怖い」と普通の住民にも恐れられてしまう。
全て、言いがかりだ。妄想。でも、人魚の悪夢ばかり見続ける怪しい集団。
それを恐れて、エヴァもエヴァの祖母もその祖先も誰にも打ち明けて来なかったのではないか。

失踪してしばらく経って、エヴァの祖母は夫の墓の前で息絶えているのが発見された。自殺だった。
A市を離れる決意をしても、夫を置いてはいけなかったのだろう。
エヴァは一人L家にやって来て、自分が「人魚の悪夢」を見る度に周囲の日本の子どもが生気を失う事をカミングアウトした。
そして、一日も早くこの力を消して欲しい。それが出来なければ、誰にも迷惑をかけないように生きる術を教えて欲しいと頭を下げた。
「L家は大歓迎だから、安心しなさい。ただし、それまでL家からは出られないよ。それでも、良いのかい?」とL家の霊能者はエヴァに問う。
「はい」エヴァは了承した。
どうして、L家はそこまでエヴァの家系を庇護するのか。純粋に、疑問に思った。
すると、(何でも詳しい)物知りなカイさんは教えてくれた。
やたらと、L家には人魚や八百比丘尼の資料が多いらしい。

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