山にまつわる怖い話【40】全5話
遭難した人の霊魂
よく聞く話しなんだけど、俺も山岳部で冬山専門で攻めたよ。
谷川岳は10回以上アタックして、やっぱり初回から視ました。
三人目を登ってるはずなのに、吹雪とガスの向こう、前に三人歩いていて、『ありゃ誰だ?』でも、みんな気付いてるけど何も言わない。
かかわりたくないからな。あ、誰かまだ埋もれてるんだな。と思うだけ…。
ガスの中、15メーターぐらい離れて下山してくるパーティがいる。
でも生きた人のパーティではないんだよ。
ガスのかかってるところは崖の下のはずなんだから。
遭難した人の霊魂は本当によく視たよ。
はじめのうちはビビッてたけど、そのうち慣れっこになって気にしなくなり、むしろ絶対に相手にしない。誘われると困るからな。
そんな俺も40近くなり、冬山はやめた。先日、谷川岳に単独アタックといっても夏だが、深夜に冬装備で登ってるグループを視た。
もちろん、生きた人であろうはずはないんだけど、腕っぷしにも自信がなくなってきた今、正直ビビッたよ。
膨大な量のネガフィルム
神奈川県丹沢。写真部の貴重な財産は保存されてる膨大な量のネガフィルム。その中でも忘れることができないものもある。
私が駆け出しの昭和45年6月。西丹沢を縦走中の東京の高校生グループが遭難し、女生徒1人と、引率の先生が沢に転落し死亡する事故があった。
豪雨で現場へ入れず、ふもとで足止めされていた時、支局の記者が救助された生徒から1本のフィルムを入手した。
直ちに写真店の暗室を借りて現像処理したが、プリントした写真を点検しているうちに背筋が寒くなった。
というのは、山頂での記念写真、途中のスナップ、いずれも亡くなった2人の表情は悲しげだった。1コマも笑顔がなかった。
さらに遭難直前、鍋割峠の草つきを下るところでは、その女生徒だけが祈るような姿でたたずんでいるではないか。
単なる偶然の一致なのか、それとも私の思い過ごしだったのか。
今もってわからない。
大河原雅彦 出典「神奈川新聞」1985年8月9日付
瘤
現場監督に聞いた話。
林道の工事にあたって木を伐採することになった。
手配師が連れてきた人夫が、切り倒した木をチェーンソーで小切ってゆく。
中に背丈ほどの高さに瘤のある木があり、その瘤のところに切り込みを入れた。
途端に凄い音がしてチェーンソーが止まった。チェーンに何かが絡みついている。
錆びた鉄釘を巻き込んだ恐ろしく長い髪の毛。
人夫が恐る恐る鉈で瘤を割ってみると、中から大量の黒髪がぞろりと出てきた。
その日以来、人夫は現場から姿を消した。
手配師に尋ねても「知らない」の一点張りで、理由も消息も分からずじまいだった。
お山に連れてかれる
関東在住で親の実家が東北の山の中
お盆には両親と俺と妹で帰省していた
で、妹は小さい頃は霊媒体質だった
関東では特に問題は無かったが田舎に行くと酷い
気を抜くと、どんどん山の方へ行こうとする
好奇心とかでは無くて、明らかに様子がおかしかった
一番に怖かったのは川での出来事
父と叔父と俺と妹が家の近くの川で水着で遊んでいた
魚を捕ったり水を掛け合ったり少し深い場所で泳いだり
ふと気付くと妹が深い場所へ足を進めていた
叔父が気づいて妹の傍へ行ってくれたから溺れたりはしなかった
妹は胸くらいの水深の場所で止まって、じっと山を見ていた
叔父が話かけても、あまり反応しない
俺は俺で妹を見ながら
ああ、妹がお山に連れてかれるって思いながら妹を見ていた
何故か妹がオカしくなると俺もオカしくなって上記の考えが浮かぶ
俺の傍には父がいたらしいが、俺もあまり反応しなかったらしい
で、俺は妹がお山に連れてかれるって分かってるんだけど、それを誰かに言えない
別に身体が動かなくなったり声が出せなくなる訳ではないが
何故か妹を連れ戻そうとか誰かに言おうという気になれない
心配した叔父が妹を抱きあげて川から出ると妹が火のついたように泣きだした
それで俺も大丈夫だと安堵して、普通に動けるようになった
何が怖かったって言われたら終わりだけど、その場の空気とかも明らかに違ったし
俺は本当に怖くて未だに思いだすと鳥肌が立つ
で、そのお山なんだけど、俺は悪いものでな無いっていう確信を持っていた
どうしてか分からないが、凄く神聖で人間が関わっては駄目なものって感じた
これも当時は何故か誰かに伝えようっていう気にはなれずにいた
ちなみに、妹が田舎でオカしくなるのはデフォだったから必ず大人が近くにいた
そのお陰で大事に至ったことは無いけど、楽観する家系で
七歳の七五三をやったら治るんじゃね?ってことで様子をみることに
それでも駄目だったらお祓いか病院って話だった
まあ、それが的中して年を重ねるごとに様子がオカしくなることも減って
小学校低学年を抜けた辺りから、完全にそれが無くなった
俺もその頃から、お山が妹をって思うことも無くなったし、
それを普通に話せるようになったから書き込みしてる
小さな人形
場所は書けません、下山中の事です。
「おい○○お前、変なもの連れてきたな」と急に友人に言われて
ポカーンとしていると、彼は私のザックの底の方から
小さな人形のような物を取り出しました。
彼に力一杯草むらに放り投げられたそれは
「.ぁぁぁ...ちくしょう..ぁぁぁ..」と叫びながら、
凄い音で草を掻き分け、走り去って行きます。
叫びたかったのですが、声も出ませんでした。
指で今のアレ何?と彼に問いかけると、
「あれを連れて帰ったら死ぬよ、俺と一緒で良かったなw
今の事あんまりしゃべるんじゃねぇぞ!?」
と言われました。
その後、彼にアレは何なの?と何回聞いても
笑っているだけで未だに教えてくれません。
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