『バス』|洒落怖名作まとめ【短編・中編】

『バス』|洒落怖名作まとめ【短編・中編】 中編
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バス

 

会社帰りのバスでの出来事。

私は乗車中にウォークマンを聴いているとそのまま寝てしまい、降車するバス停を
乗り過ごしてしまうことがたまにある。

その日も起きているつもりが、いつの間にか寝てしまった。しかし唐突に、まるで
人に起こされるかのようにガバッっととび起きた。金縛り状態から無理矢理脱出す
るようなあの感じ。瞬間我に返り、あ!また乗り過ごしたか?って思ったら、幸い
まだ降りるバス停の2つ手前だった。次のバス停では、けっこう人が降りていく。
俺はその背中をボンヤリ眺めながら、ああ次降りなきゃって眠いのを我慢していた。
バスが走り出した途端、真後ろの席で女性(声の様子で)が喋りだした。

「・・で・・・おねがい・・ね・・でね・・・ね・・おねがいしますね・・ね・」

携帯か・・って思った。私は携帯のお喋りがきこえるのが余り好きではない。
ただ俺の住んでいるところは東京の田舎だから、バス停からさらに遠い人は、降り
るバス停が近づくと携帯で家に迎えの要請をすることが多い。

次が降りるバス停だから、私は降車ブザーが鳴るのを待った。いつも降車ブザーを
自分で押さないタチなのだ。でも誰も降りないらしく、いっこうにブザーが鳴らな
い。後ろの女性は相変わらず喋っている。声のトーンはますます下がり何を言って
いるかはわからない。俺は少しだけムッとしていた。

仕方がないので自分で降車ブザーを押そうと手を伸ばしたその瞬間、ハッキリと
「お前にだよ」と言って声が止んだ・・・・。
ん?と思って振返ると、乗客は私だけだった

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