山にまつわる怖い話【63】全5話
どれが現実なのか
山といえば山梨だ、といって、一人で山梨県に行ったことがあった。
ただ、山は好きでも登山は好きではなかったので、車で際どい山道をずっと走ることにした。
県境を越え、いざ山梨県に入ったかと思うと、いきなり大雨が降って来た。僕の車ではワイパーを最速に動かしても、とてもじゃないが前が全く見えない。できるだけスピードを落とし、ライトをハイビームにしてゆっくり進んでいると、急に雨がやんだ。
一休憩しようと思って、道沿いに大きなラーメン屋を見つけて入り、店の人に「さっきは凄い雨でしたねぇ」と言うと「雨?雨なんて降ってませんけど…」と言われた。山の天気は変わりやすいというが、局地的でもあるのかな…?と思って店を出たあと、ほんの少し走っただけなのに、道に迷ってしまった。
近くにガソリンスタンドがあったので、給油がてらそこに寄り、「ラーメン屋さんの方から来たのですが」と道を訪ねると、「この近くにそんなラーメン屋はないですけど」と言われた。
そして、「今日はさっきまで大雨が降っていたし、この先の山道は通行規制で通れなくなる」と言われた。仕方なく、ガソリンスタンドから少し走ったところで旅館が見えたので、まだ少し早い時間ではあったがチェックインすることにした。
旅館の女将さんのような人が「今日はお天気も良いし、お夕食までの間、この先のパノラマラインをドライブしてみてはいかがでしょう」「この近辺にはガソリンスタンドがないので、給油はその先になりますが」と言われた。
確かに雨は降っていたし、ラーメンを食べてお腹いっぱいだったし、車のガソリンは満タンである。次に訪れた先でこの旅館のことを話し、「そんな旅館はないですよ」と言われたくなかったので、宿泊をキャンセルし、東京に戻ることにした。僕が行ったあの地域は、一体何だったんだ・・?
「もくもくさん」
トンネルの突貫工事の時に出ることのある妖怪(現象?)
目に見ず、反発力の高いマットレス程のやわらかさの壁のような物質(?)で、
ドリルの刃やダイナマイトが効きにくくなってしまう。
それでも無理に作業を進めると必ず事故が起こり人死にが出るので、
「もくもくさん」が出ると、みんなさっぱりと作業を諦めるらしい。
「警告してくれている」というのが定説なそうだ。
土の中系の妖怪なのかなぁ
クイゴン
広島の比婆郡に「ヒバゴン」ていうお猿さんの怪物みたいのが出るとか出ないとかってのは、きっと既に多くの方々が御存知の事と思いますが、御調郡久井町の「クイゴン」の事は聞かれた事ありますか?
何でも、久井の人達に聞いた話だと、見た目はヒバゴンそっくりのプチキングコング風で「お弁当のオニギリや畑の作物を取られちゃった」とか「バカって言ったら怒って追い掛けて来た」とか…。マジか?(w
あと、前に雷鳥さんが書かれてた、猿を操る不思議なオジサンの話。あれとよく似たお話が、漏れの住んでる町にもあります。
うちの町内には、昔から「庚申原」(コウシンバラ)と呼ばれている場所があって、何でも、そこには昔、猿たちを子供のように可愛がって一緒に暮らしていた人がいたとか。その人のお墓らしきものもあるっぽいです。
言い伝えでは、一年に一度、その人の命日になると、かつて庚申原で暮らしていた猿たちがお参りにやって来るとの事なのですが、
確かに、近年まで、その場所には春になるたびにいつも猿が出ていました。不思議。
□ □ □
もしもクイゴンが山の動物じゃなくて「人間」だったら…、って考えると、妙にリンクするエピソードがひとつあるんです。
キャンプや天体観測がご趣味の方はもしかしたら御存知かと思いますが、久井の真ん中、岩海のあたりに、宇根山っていう山があるんですが。
その名前からも分かるように(「壟」→墓や塚、「采」→貢ぎ物や生け贄、という風に、「うね」という言葉には昔からそういった祭礼的な意味がある)
そこは昔、俗に言う姥捨山だったらしく、周囲にはお地蔵様やお堂が多くて、霊を見たとか霊障を体験したとかの噂が今も絶えない場所なんですよ。
んで、ここでさっき思い出したのが、昔から言われている「ヤマンバ=山姥≠捨てられた老人の生き残り」説。
ひょっとしたら、クイゴンもそれだったのかも知れないなあ、と…。
今から25~20年くらい前なら、小さな頃に実物を見たり親から話を聞かされたりした人達がまだ何人かご健在だったはず。
んで、ちょうどその頃に巻き起こってた比婆郡のヒバゴン騒ぎを知って、その人達が「ああ、そう言えばこの辺にも昔そんなのがいたよな…」とか何とか言い出したのが、当時の騒ぎに乗って広まって、今のクイゴン伝説になったのでは、と。
まあ、これはあくまで漏れや一部の人達の推測なんで、あんまりアテにはしないで下さい。
やっぱ、クイゴンは、正真正銘の「クイゴン」として、今でも山の中でノンビリとオニギリ食べて神秘的に暮らしてる、と思いたいでつから…。その方が夢があると言うか。
あんまり見るな
5年前、家族で山間の温泉宿に泊まった時。
露天風呂から見える山の表面で何かが移動しているのが見えた。
背の高い木で覆われている山、つまり木の上を何かが移動しているのかと思い
目を凝らして良く見ると、人だ。
木の上に頭が出るほどに細長い、人。
あまりに不思議すぎて目をはなせずにいると、
男湯から弟の声がした。
「あんまり見るな。」
あわてて目をそらしたが、気になってしかたなかった。
おっさんでした。目が白くて奇妙でした。
その旅行の時に、帰路の途中の谷川に行ったとき。
少し大きめの池のようなものを見つけ、眺めていると、
池のちょうど真ん中辺りから、すうっとなにかがあがってきた。
正座した日本髪の女。すっと立ち上がると舞始めた。
5,6分すると舞終わったのか、また正座してふかぶかと頭を下げ、
吸い込まれるように帰っていった。
舞ってる間、弟には三味線の音が聞こえていたらしい。
白襦袢の女
自分の体験ではないのですが…
友人が地元で有名な心霊スポットに行ったときに体験した話です。
心霊スポットと言っても、夜景が綺麗なので
デートスポットとしても有名な山(H山とします)でした。
ある日、友人は彼氏と一緒に夜景を見にいこうとH山へと向かいました。
目的の場所は、H山でも隠れスポット的所で
道が狭い為、バイクで行くことにしたそうです。
山の中腹辺りまでは、他のカップルの車もありますが
中腹をすぎ、村中道に入ると車の通れなくなるので
友人と彼氏の乗ったバイク以外は皆無だったそうです。
友人は、そろそろ目的の場所だなぁーと思い
何気なくサイドミラーを覗きました。
彼氏のバイクは少々改造してあるらしく
テールの部分がぴかぴかと光っています。
おかしい
ライトの光のなかに何かがあるのがミラー越しに見える。
不審に思った友人は良く目を懲らしました。
だんだん光に目が慣れ、見えたものは
在り来たりな描写かもしれませんが
顔色は青白く、長髪を振り乱した、白い襦袢のようなもものを着た女が
彼氏と友人の乗ったバイクを追っ掛けて来ていたそうです。
友人は恐くなり、彼氏の背中にギュッと顔を埋め
サイドミラーを見ないようしたそうです。
しばらく、走り目的地へと着きましたが
(あの女、まだ追っ掛けてきてるんじゃ?)
と、思いしばらく彼氏の背中に顔を埋めたままでしたが
彼氏が「もう大丈夫や」と。
彼氏もあの女を見たそうなんです。
友人1人なら見間違いで済むのですが、彼氏も見たとなると、
いよいよ、怖くなってしまい、夜景ところではなくなってしまったそうです。
直ぐ様、山を降り彼氏の友人に
「どないしょう。俺等H山で幽霊みてもた。」
と言うと
「おぉ!H山かぁ~。俺も幽霊見たことあるわぁ。
白い着物きた女が、追い掛けてくんねん、めっちゃ怖かった」
と返事が返ってきたそうです。
コメント