『9年間に渡るメンヘラとの戦いを書いていく』- 【長編】洒落怖名作まとめ – メンヘラ系

『9年間に渡るメンヘラとの戦いを書いていく』- 【長編】洒落怖名作まとめ - メンヘラ系

 

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9年間に渡るメンヘラとの戦い

 

少し長くなりそうだが、やっと決着がついた。
愚痴のようなものだが、聞いてくれ。

 

始まりは俺が高校二年のころだ。
俺はバスケ部に所属していたんだが、やつも女子バスケ部に所属していた。
便宜上、やつをAとする。
Aは当時高校三年生で引退を間近に迎えており、かなりかわいい部類に入る女の子だった。
かわいい系というべきか、身長は低くてよく笑う子だった。
部活内どころか、学校内でも有名な方だったのではないだろうか。
とにかく俺を含めた男子バスケ部員にとっては憧れだった。
俺の高校ではバスケ部は男女でコートをハーフで分けて使っていたから、練習中に目が合うことなんてザラだったんだが、それだけでも優越感に浸れたものだった。
そして、ある日Aからメールが入ったんだ。

 

当時、俺はAのアドレスなんて知らなかったが、突然メールがきた。
俺と同じクラスのバスケ女子バスケ部員に聞いたと言っていたが、今になって考えればそれの真偽も定かではない。
俺はがたいが良く、体格の良い男性が好きだというAは俺に好意を抱いているらしかった。
まあ、それだけかわいい女の子が俺に好意を抱いているんだ。嬉しいよな。
そこからメールをしていくうちに仲は深まって、ついに俺は告白した。
「一生、大切にしてくれる?」Aはそう言ったのを確かに覚えている。
これは完全にフラグだったんだな。

 

それから、一緒に帰るようになった。
俺は自転車通学でAは電車通学だったから、学校から少し離れた駅まで自転車を押しながら歩いて帰った。
そして、付き合って二か月たったころからだろうか。Aの奇行が始まった。
最初は、俺が同級生の女子バスケ部員と話していたとき。この同級生はBとする。
Bはそんなにかわいい子ではなかったんだが、同じクラスで部活も一緒ともなればある程度仲が良くなるのは当たり前だよな。
帰り道、その子とは仲が良いのかと聞かれた。
嫉妬されてるんだなとなんとなく感じた俺は、「たまに話す程度だよ」と答えた。
そのときは笑って「そっか」と言われたんだ。

 

そして次の日、Bの上靴がなくなったと問題になった。
俺は特に気にせず、かわいそうだなくらいにしか思ってなかった。
そして、Bに不幸の手紙のようなものが届きだした。
不幸の手紙というよりは「殺す」とか、「不細工が」みたいなことをノートに書かれてそれが靴箱にあったりしたようだ。
それは段々エスカレートして、ひどい日は猫の死骸が見つかったこともあった。
この時点でも、俺は仲の良いBにそんな嫌がらせがあるなんてと辛い気持ちにはなっていたが、Aとの関わりは全く気付かないでいた。
そして、Bは学校に来なくなった。
AはBがそんなことになって本当にかわいそうだと言っていた。

そして、今度はまた別の俺と同じクラスのCが被害にあった。
Cは本当にただクラスが一緒なだけで、たまたま掃除の担当が同じだった。
それで何かの話で笑っているところをAに見られた。
その後はBのときとほとんど同じ流れ。
Cは学校にこそ来るものの、元気がなくなり、明るい性格が嘘のように喋らない女の子になった。
ここで、やっと俺はAの関係性を疑いだした。
学校全体で問題になってて、全校集会のようなものまで開かれた。
この事件のことは周知の事実だった。
俺の耳に直接来ることはなかったが、Aとの関係性なんかも噂されていたかもしれない。

 

そして、俺は遠まわしにAに切りだした。
「BとCって子が、すごい嫌がらせにあったのは知ってるよね?
気を悪くしないでほしいんだけど、Aは何も知らないよね?」
「どうしてそんなこと聞くの?」
「俺と同じクラスのやつだったからさ、少し心配になっちゃっただけだよ。
ごめん。知ってるわけないよな」
「あいつらが悪いんだよ。私の俺君にちょっかい出すから。。。」
俺は言葉を失った。
あれだけ学校を騒がせた、俺の友人を苦しめた、その犯人がAだったのだから。

 

そこからは本当に苦しかった。
Aの笑顔が怖かった。
無邪気な笑顔の奥に何を秘めているのか、本当に怖くなったんだ。
そしてついに、俺は別れを告げた。
当時の俺は本当にAに恐怖心を抱いていて、会うことにすら恐怖を感じていた。
恋愛経験も少なかった俺は、電話で別れを告げた。今考えると、最低な行為ではある。
何時かは忘れたが、夜に電話で切り出した。
Aは電話の向こうで泣きじゃくり、「別れたくない。別れたくない」と連呼していた。
二時間以上は話したと思う。
痺れを切らした俺は、明日、学校で話そうと言って電話を切った。
で、すぐに就寝。

 

当時の俺は朝5時半に起きて走りに行くのが日課だった。
長電話をしたせいで辛かったが、毎日のリズムを変えたくなかった俺はその日も早起きした。
俺の部屋は窓際にベッドがあり、朝起きるとブラインドの隙間から天気を確認して走りに行っていた。
ブラインドに指を当て隙間を作り、外を見た。
その時間、まだ外は暗かったんだが、家の前の街頭の下に誰かいる。
目を凝らしてよく見ると、Aだった。
このときの恐怖は本当にやばかった。
Aの家は俺の家から車で30分はかかるようなところだった。
そして、電話を切ったのは終電もなくなっているような夜中。
歩いて家まで来ていた。
そのときは自転車で来たのかと思ったが、後々聞いた話では歩きだったようだ。

 

恐怖でどうしようもなかった俺は走りに行くのを諦め、共通の友人であるDに連絡を取り、迎えにきてもらう形をとった。
あくまで俺とは関係ない風を装ってもらった。
俺は風邪をひいてしまい走りには行っていないという設定にした。
Aの奇行を知っていたDは快く引き受けてくれた。
ブラインドから様子を伺っていると、だいぶしぶってはいたようだがようやく二人で歩き出した。
あれは本当に怖かった。
学校の昼休みに二人で話した。
案の定、号泣されたが、なんとか別れることができた。
だがな、ここからが本当の地獄だった。

 

俺は部活を辞める覚悟だったんだが、Aが辞めた。
俺は内心ホッとしたのだが、罪悪感のようなものもあった。
Aがバスケを好きなのは知っていたからな。
たしか別れて3日程たったある日、Aからメールが入った。
アドレスを消したりはしていなかったが、もう連絡はこないだろうとタカをくくっていた俺は焦った。
内容はめちゃくちゃ長文。

 

少しは需要があるようだな。ありがとう。

「まだ1のことが大好きだ」
「どうして別れなくちゃいけないの」
「他に好きな人ができたんでしょ」
「1と一緒にいれない世界なんて必要ない。死んでやる」
「どうせ死ぬなら1を殺して天国で幸せになる」
「今、手首を切った」
「迎えに行く」
こんな内容のメール。
当時はメンヘラなんて言葉知らなかったし、あったのかも謎な時代。
怖かったよ。純粋に。
本当に来るわけなんてないのに、俺は家の鍵を閉めて怯えていた。

 

俺はメールを無視し続けたが、ほぼ毎日のようにメールが届いた。
ほとんどさっきのようなメール。
あるときは朝起きるとメールが20件なんてこともあった。
俺がアドレスを拒否すると、アドレスを変えて送ってきた。
完全にいたちごっこだったな。
怖すぎて仕方なかったが、そんな日々も終わりが近づき、Aは卒業した。

 

学校では俺はAを避け続けており、会うことはほとんどなかった。
俺は学校で一人の時間を作らないようにしていたため、向こうからのアクションもなかった。
卒業式の日、俺は座って卒業生入場を見ていたのだが、Aが来た。
俺はとっさに目をそらしたんだが、Aはずっとこっちを見ていた。
睨まれてはいなかったと思う。
俺の記憶では、Aは笑顔でこちらを見ていた。

 

Aは卒業し、俺はバスケ部のキャプテンになった。
アドレスを変更してもなぜかAからのメールは続いており、半分諦めていた。
実際に家に押しかけてくるなんてことはこの時点ではなかったしな。
朝おきてAからのメールを消す。これが日課になっていた。
そして俺は専門学校に進学した。
やりたいことがあったわけではないが、事務とか楽だろうなーぐらいに考えた俺はビジネス系の専門学校に進んだ。
そして、俺は専門学校で彼女ができた。

 

Aがどういった進路に進んだのかは知らなかったが、大学に進学したということだけ風の噂で知っていた。
彼女と付き合い始めた次の日、Aからメールが届いた。
「なんで私というものがありながら彼女なんて作ったのか」
「浮気は嫌だってあれほど言ったのに」
「それもあんな不細工な女と」
「あの女は殺してやる」
そういった内容だった。
唖然としました。
なぜ俺に彼女ができたことを知っているのか。

 

mixiにも載せてないし、知っている友人も高校とは関係ない専門の友達だけ。
本当に恐ろしかった。
そして、Aから彼女へのアクションも起きた。
彼女に大量のメールを送ってきたのだ。
内容は早く別れろだの、俺は最低の人間だの、そんな内容。
彼女からは浮気を疑われ、結果的にその彼女とはすぐに別れてしまった。
さすがに頭にきた俺はAにメールをした。

 

「いい加減にしてくれ。俺はもうAのことなんて好きじゃない。
それどころか恐怖すら覚えているし、顔も見たくない」
そんな風なメールをした。
Aからは1分も経たずに返信がきた。
「1君、久しぶりだね。1君に会いたいな~」
「俺は会いたくないし、気持ち悪い。いい加減やめてくれ」
「1君、この前髪切ってたよね。似合ってるよ」
そういった感じ。会話が噛み合わない上に、おそろしい。
俺は卒業依頼一度もAのことは見ていない。
なのに、俺が最近髪を切ったことまでAは知っていたのだ。
俺はAが諦めてくれるのを待つしかない。そう悟った。

その後も、Aからの嫌がらせ?は続いた。
友人と宅飲みをしていると、メールがきて「楽しそうだね。私も行っていい?」とか。
さすがにこれだけストーカー行為が続けば気づくと思うんだ。
でも全然気づかなかった。
盗聴器の可能性すら考えて、親父に頼んで盗聴器を探してもらったりもした。
それでも、何も見つからず・・・。
それからさらに数年が続き、俺は就職した。
就職した会社は某大手企業で、俺は営業になった。
営業とは言ってもバリバリ飛び込みではなく、決まったところに訪問して新しい商品をすすめたりする、いわゆるルート営業。
自分で言うのも変な話だが、会社が大きい分入るのはけっこう苦労する会社だった。

このころは、もう恐怖とかではなくてネタになりつつあった。
友人に見せて「これやばくね!?」とか言って笑いを取ったりしていた。
そして、この件は訴えれるレベルであることにも気がついた。
俺はメールを消さず、残しておくことにした。
何度か警察に行こうかともしたんだが、なんだかんだで元カノをそんな風にはしたくなかった。
そんなこんなで一年がたち、俺も先輩になって後輩が入社してきた。

 

入社式があったんだが、俺たちは普通に仕事があったため入社式には参加せず。
入社式後しばらくは新入社員が各部署に挨拶に来ていた。
そして、俺は衝撃を受ける。

経理課にAが入社してきたのだ。
メールにもそんな内容は一切記載されていなかったし、俺は数年ぶりにAの姿を見た。
見た目は普通の女の子。
ていうかめちゃくちゃかわいい。
同僚や先輩も「あの子めちゃくちゃかわいくね?」なんて言っていた。

 

もう俺はしどろもどろになりながら「え?ああ、そうっすね・・・」なんて言っていた。
前述したが、うちの会社はでかいしそれなりに優良企業で通ってたから入社は難しい。
そんなところにAが入社してきたのだ。明らかに俺目的で。
「でも、あの子彼氏いるっぽいな」と先輩が口にした。
「ていうか左手の薬指に指輪してるし・・・」
そう、Aは結婚指輪をしていた。
無論、俺はそんなものあげてないし、そんな男がいるなんて話も聞いていない。
俺は楽観的なんだろうな。
「今までのは本当にただの嫌がらせで、本当は彼氏がいるんだな」とか思っていた。

 

だが、次のAの一言で俺は現実に引き戻される。

「初めまして。Aといいます。ここで営業で働いている1さんとは近日中に結婚する予定です。
ふつつかものですが、1同様、よろしくお願いいたします」
そう言って深々と頭を下げた。
周りの先輩や同僚は「なんだよそれ聞いてねーよ!」とか、「てめー、羨ましいぞ!」なんて騒いでる。
俺は何がなんだか分からず、冷や汗をだらだら流しながら何も答えることができなかった。
今考えれば頭にくることだが、それすらも感じなかった。
何が起きているのか理解することができないでいた。

 

Aが出て行った後、俺は質問責めにあった。
「あんなかわいい彼女がいるなんて聞いてねーぞ!」
「彼女いないって言ってたじゃねーか!」とか騒いでる。
俺はそこで、恐怖から涙が出た。
みんな固まって、
「いや、冗談だよ・・・」「どうしたんだよ。言いすぎたか?」なんて言っている。
覚悟を決めて、全てをその場にいた同僚、先輩に話した。
みんな唖然として何も言えず。
普段はふざけあっている職場だが、そのときばかりは空気を読んでくれた。

 

全てを話し終わって、みんな仕事に戻った。
先輩は気を遣ってくれて、「今日は休むか?」なんて言ってくれたが、迷惑をかけるわけにもいかず、仕事をこなした。
仕事が終わったところで、俺をかわいがってくれているDさんから飲みに誘われた。
Dさんは30手前のイケメンサラリーマンで、仕事もできるし優しくて俺は尊敬していた。
居酒屋に入って話していると、Dさんは神妙な顔つきで俺に切り出した。
「1、今日のことだけどな、お前はこれからどうしたい?」
「どうしたい。と言うとどういうことですか?」
「俺はな、このままじゃ本当にお前がやばいんじゃないかって思ってる。
あの子が危害を加えるとかではなくて、お前の心が心配だ。
どうだ?異動願いを出してみたら。
○○県ならここからさほど遠くないし、人が足りていないらしいからおそらく通るぞ。給料も上がるw」

 

地元にさほど執着が無かった俺は大喜びでその話に乗った。
今の会社は好きだが、Aと同じ職場なんて考えられない。
毎日怯えながら仕事をするなんて嫌だった。
そして、無事申請も通り、俺は転勤した。
転勤するまでの間、何度か会社でAとすれ違ったが、俺は完全に無視を決め込んだ。
Aはそれでも笑顔で「おはよう」とか声をかけてきた。

転勤した後、俺は新天地で働いた。
初めての土地で分からないことだらけだったが、みんないい人で、なんとか街にも仕事にも慣れた。
そんなこんなで1年以上が経って、最初はAからのスパムメールが届いていたが、ある日を境に来なくなった。
「やっと解放された・・・」
そう思って俺は数年ぶりに平凡な日々を過ごしていた。
そして、俺はEという女性と知り合う。
その子は身長は低いけど、綺麗な顔立ちをしてて、冗談ばかり言う子だった。
次第に俺はEさんに恋して、頻繁にメールのやり取りをしていた。
Eさんもまんざらではない感じで、二人で遊びに行ったり、飲みに行ったりしていた。

 

ある日、Eさんと二人で俺の家で飲んだ。
Eさんは酒が弱いらしく、すぐに酔っ払っていた。
ニヤニヤしながら、1君は~かわいいんだよ~と言っている。
そして俺の隣に来て抱きついてきた。
俺もドキドキしだした。
Eさんの唇がすぐそこにある。
「キスできる・・・」そう思ったときにはキスしていた。
自然に舌が絡み合って、そういう雰囲気になる。

どうしよう。
人もいなさそうだし、細かいとこは省くか?ww
一応ホラーみたいな感じだし。

んで、まぁ、自然と関係を持った。
俺はAと2回程やってたんだけどな。
まぁ、ほとんど童貞と変わらんかったな。
Eさんにあれこれ指示されながら終わって、Eさんの方を見ると泣いてるわけ。

「え!?やっぱ告白もなしはまずったか?」と思ってたら
「実は、1君が前いた支社で働いていたAさんって人からメールが届いてて、脅迫されてるんだ・・・」
頭が混乱した。
Aからのストーカー行為はもうなくなったはず・・・。
「1君にちょっかいかけたら殺すとか、話しかけるなとか、あんたなんか相手にしてないとか言われて・・・
私、1君が本当は私のことなんか嫌いなんだって思って・・・」
それを聞いた瞬間、俺ははらわたが煮えくり返った。
今まで、Aに恐怖を覚えることは多々あったが、本気で頭にきたのは初めてだった。
それくらいEさんに惹かれているのもあったし、ストーカー行為がなくなったことで冷静さを取り戻していたのかもしれない。

 

俺はAに電話をした。
が、出ない。何度かけても。
「ちょっと話がある。メールでもなんでもいいから連絡しろ」
そんなメールを送るとすぐに返信がきた。
「1君、久しぶり♪1君からメールくれるなんて嬉しい」
「どうでもいい。お前、Eさんに嫌がらせのメール送っただろ。
いい加減にしろ。俺はお前が嫌いだし、転勤したのもお前から避けるためだ。
気持ちが悪い。消えてくれ。警察に行くぞ」
そんなメールを送った。
本当にこのときはキレていたんだろう。
その場にAがいれば本当に殺していたかもしれない。
「1君が何言ってるのか分からないな。
ねえねえ、それより、私に会いたい!?
私もね、転勤願い出しちゃった!!
また1君に会えるって考えたらドキドキする~」
俺の中の怒りは消えて、恐怖が再び芽生えた。
また、あの生活が始まるのか・・・そう思った瞬間一気に力が抜けて、Eさんが心配そうに俺を見ていた。

 

翌日、俺は会社を休んで警察に行った。
無論、Aのことを相談するためだ。
PCに移していたメールを警察に見せて、なんとかしてもらおうと考えた。
近所の交番に行って「ストーカー被害に遭ってます。証拠はこのPCにあります」
そう言うと警察は「こんながたいの良い男が何言ってんだ?」って顔をしたが、
俺があまりにも真剣な顔をしていたためだろう、奥の部屋に通された。

 

そこでメールを見せた。
全部、日付もしっかり残ってる。
最初は半信半疑だった警察もやっと信じてくれて、事情を色々と聞かれた。
「先日、色々あって連絡をしたんです。
今度こっちに来るって言っていました。本当に怖いです。助けてください」
が、警察ってなんであんなに役立たずなんだろうな。
「半年以上も実害がない上に、それはただの脅しかもしれません」
だとさ。
脅しじゃなかったらどうすんだ、とか言ってもなんやかんやで避けやがる。
「何かあったら連絡してください」
とだけ言われて、俺はやむなく交番をあとにする。
昼から出社するつもりだったが、それもやめた。

その日はDさんに連絡をした。
俺に転勤を勧めてくれた先輩だ。
「Aが転勤願いを出したって本当ですか?」
「本当だよ。俺も連絡しなくちゃって思ってたんだ。
1、逃げろ。あいつは異常だ。
俺たちが真実を知っているって言ってもあいつは遠距離だって言い張ってた。
あいつはマジでヤバイ。そのうち殺されてもおかしくないぞ」
そんなことを言われた。
その日のうちにEさんに電話して、夜会う約束を取り付けた。

 

「Eさん、俺は九州に転勤しようと思ってる。
そうでもしなきゃAからは逃れられそうにない」
Eさんは涙目で聞いてくれた。
「でね、考えたんだけど、俺と一緒に九州に来てくれない?」
Eさんは驚いた顔をしたけど、その後笑って、
「それってプロポーズ?」と言った。
「プロポーズをするには俺もEさんもお互いを知らなすぎるよねww
でも、一緒に居たいとは本気で思ってるんだ。一緒に来てくれない?」
Eさんは少し考えた後、頷いてくれた。
次の日、俺とEさんは二人で転勤願いを出した。
九州に新しい支社ができて、異動の募集みたいなのがかかってたんだ。
言い忘れてたが、Eさんも俺と同じ会社な。

そしてなんやかんや済ませて、俺とEさんは福岡に転勤した。
俺は同棲するつもりだったが、Eさんも俺のことを知りたいってことで、同棲はしなかった。
その後はAからの連絡もなく、平凡な日々が続いた。
福岡は修羅の国なんて言われてるが、普通に生きている分には住み心地が良かった。
夜中にバイクと警察の追いかけっこなんかを見ることはあったけどな。

ある日仕事が終わって家に帰っているときだった。
車も買って、もう俺は福岡でEさんと結婚するつもりだった。
運転中にメールが届いた。
信号停車中に携帯を見ると、Aからだった。
アドレスで分かった。
アドレスは
「forever love ○○(俺の名前)0428」というアドレス・・・。
0428ってのは、高校のとき俺とAが付き合い始めた日だった。
その時は気づかなかったけどな。

 

おそるおそるメールを開いた。
内容は
「1君、久しぶりだね。
私と入れ違いで転勤になっちゃうなんて、つくずく私達ってすれ違いばっかりだよね・・・
でもね、安心して。私は、今でも1君が大好きだから。
でも、もう疲れちゃった。
私、福岡に行くね。そして、1君のこと、殺してあげる。
そうすれば、ずっと一緒に居れるよね。
大好きだよ」
だった。

俺は怒りよりも、殺すという単語に恐怖を覚えた。
だが、これは完全な殺人予告だろう。
さすがに警察も動いてくれるはず。
俺はその足で警察に向かった。

 

警察には昔のメールを含めて、そのメールを見せた。
さすがに数人の警官が来て、「これはやばいな」とか話していた。
Aのことを色々聞かれて、会社にも連絡が行ったようだった。
だが、Aは仕事を辞めていた。
それもひどい辞め方だったようだ。
俺の名前をスプレーでロッカーに書いたり、俺と仲の良かった女の子に嫌がらせをしたりしたようだ。
俺に連絡が来なかったのはDさんの計らいで、会社が気を遣っていたようだ。
正直、そんな気は使わないでいいから警告してほしかった。

 

たしかその日は金曜日だったので、次の日仕事は休みだった。
家に着いたのは日付が変わってからだったと思う。
Eさんは心配してくれたが、警察が動いてくれるってことで、安心しきっていた。
家に帰ると、俺の部屋の電気がついていた。
俺は馬鹿だよな。
Eさんだと思ったんだ。
俺の部屋は暗証番号式のロックで、その番号を知っているのはEさんだけだった。
元気よく「たっだいま~」と扉を開けると、部屋のソファーに誰かが座っていた。
だが、返事がない。
説明し辛いんだが、俺の部屋は扉を開けてキッチンがあり奥に居間がある。
今には扉がついているんだが、ソファーが見える位置にあるため影だけは見えた。
返事が無いので心配ではあったが、夜中だし寝かけてるのかな。と思った。
居間の扉を開けると、A笑顔で座っていた。

ソファーの前のテーブルには包丁が置いてあった。

 

Aは笑顔で「おかえり」と言った。
ソファーの上で体操座りをしている。
俺は声が出ない。
ただ、テーブルの上の包丁に釘付けになていた。

Aは一瞬悲しそうな顔を浮かべて、包丁を手にした。
「ごめんね。私は1君が大好きなんだ。
他の方法が思い浮かばないよ・・・。
大好き。大好き。大好き。大好き。大好き。大好・・・・!!!!!」

狂ったようにその言葉を叫びだした。

俺は固まりながらも、これはヤバいと感じ、バッグを投げつけて走った。
靴も履かず、扉を開けようとした瞬間、Aが俺めがけて包丁を突き刺してくる。
間一髪で避けて、Aの腕を掴んだ。

 

「ああああああああ!!!!」
Aが叫んでいる。
力には自信があったが、喧嘩なんてしたこともないし、格闘技の経験も無い俺は落とし方なんて分からない。

それでも命の危険を感じた俺はAを思いっきり殴った。
とは言っても、本気では殴れていなかったと思う。
でも拳がめちゃくちゃ痛かった。
Aは倒れてうずくまる。
本気じゃなかったとしても、相手は小さい女の子だ。
男に殴られれば倒れるだろう。

俺は包丁を拾って、部屋を飛び出した。
部屋から300メートルほど離れたところで息を整え、110番して状況を伝える。

5分もたたずに、サイレンの音が聞こえた。
何台も。

Aは俺の家にはすでにいなかったそうだが、近くをフラフラしているところを警察に逮捕された。

その後、Aは罪に問われた。
俺は起訴しなかったが、ことがことなので警察から起訴された。
殺人未遂、脅迫罪など。
結局、精神不安定状態だっただのなんだので、執行猶予つきの判決が言い渡された。
俺は一度だけ、証人尋問で裁判所に行った。

そこからは、「もう、関わりたくない」の一点張りで裁判の傍聴にも行かなかった。

 

そして、Aは現在東北で暮らしている。らしい。
両親が身元引受人として面倒を見ているんだとか。
もう今後一切俺たちに関わることはないだろう。
俺もEさんも福岡内だが離れた場所に転勤になった。
これでさすがのAも俺たちの居場所を知ることはないだろう。
今でも分からないことは多いけどな・・・。

そして、先日俺はEさんと結婚の約束をしました。
まぁ、いわゆるデキ婚ってやつだな。
恥ずかしい話だが。
それでも、望んでいた結婚だ。式も挙げられる。

そんな感じで、幸せな生活を今ではやってます!

では、長いグダグダ話を聞いてくださってありがとうございました!!

読んでくれたやつらありがとう。
メンヘラには気をつけろよ。
本当に付き合った当初は気づかん。

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□ □ □

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