歴女との修羅場
数年前にあった修羅場。
もしかしたらオタクよりの話なのかもしれない。
私は地方都市の旧家に嫁いだ。っていっても今は普通の家。
しかし、うちの地方出身の歴史有名人と同じ名字なので、時々勘違いした歴女さんがピンポンしてくる。
本当にピンポーンて来るんだよ。
「〇〇さんのご子孫ですか」って。
もちろん何の関係もない。
どうやらどこかのサイトにうちが子孫だと書かれていたらしい。
トメさん達は彼女たちが理解不能らしく、対応はいつも私任せ。
ある時、墓参りに行くと見知らぬ女性が墓石を束子で磨いていた。
40代くらいで、快活な都会のOLさんて感じ。
びっくりして固まっていると、
「あ、ご子孫様ですよね。お気になさらず。私はお供え放置して帰るようなマナーのなってない歴史ファンとは違いますから。敬愛する方のお墓参りにはまず掃除が基本。それから線香。お供えは持ち帰ります。」にこっ。
いや、そういう事じゃないから…しかも束子とか。
止めてください、うちはその方とは関係ない家なんですよ、と言っても聞いてくれない。
ひたすら、マナーですから、お参りだけは許してください、と笑顔。
とにかく束子は墓石に悪いことを言って、止めてもらった。
彼女はなんか変なお菓子をお供えして
「今も昔も変わらぬ好物ですよね」
と言って良い笑顔で帰って行った。
一連の経緯をお寺の方にお話しして、厳しく注意して貰う事にした。
それだけならまだ笑い話で済むけど、真の問題はここから始まった。
彼女と、何人かの歴女はその後もうちに現れた。
史料を見せてくれ、話を聞きたい。
関係ないって何度言っても駄目。
でだ。
うちの近所にはニート義兄が住んでいる。年は40前半。
そいつ(以下A)が、その歴女(以下B)に手を出してしまった。
Aは地元で歴史ボランティアガイドのような事をしていて、自分は子孫だとか大物にコネがあるとか言って歴女を釣っていたそうだ。
相当良い思いをしていたみたい。
ついてく女の子の方もどうなのか…。
家族みんな、そういう事は全く知らなかった。
Bは妊娠したと言っている。
証拠もあると。しかし、Aは既婚(小梨)。
とにかく話をするという事でウトメ参加で席を設けた。
こちらとしてはAの不出来と、それからうちは子孫ではないという事をはっきり話すつもりで専門家の方にも来て頂いていたんだけど、
Bは「結婚できなくても良い、一人で〇〇家の子孫を生み育てます、〇〇だって元々は本妻の子ではなかったのに、結局は家を継いだでしょう?私も、優秀な子に育ててみせます」
とドリーム全開。話を聞かない。
そして、とある女性(聞いた事も無い人)の悪口をまくしたててきた。
彼女に関わってはいけませんよ、マナーが無いですからね!って。
とにかく、次は妊娠証明と、ご両親を連れてきて下さいと言い、解散。
あ、もちろんAはフルボッコ&勘当予定ですよ。
更にしばらくすると、若くて奇麗な女性(以下C)がやって来た。
自分はこの家の復興をしたい、観光客を呼び込んで盛り上げたい。
その為のプロジェクトも用意している、お任せあれ。
まずは講演をするから場所と人を用意して貰えないだろうか。と。
まーたーかーよー と、多少耐性がついてきたので、落ち着いて説明。
すると彼女は、本当のご子孫の家はどこですか、と聞いてきた。
知らないと答えた。
本当は知ってるけど。
数日後。
近くの男性宅にパトカーさんが来た。
Cがストーカー行為をし、それを更にストーカーしていたBと殴り合いの喧嘩になり、住んでいた男性が24したそうだ。
その男性は〇〇姓で、20代だった。
元々BとCは同じ人物が好きで、知り合いではないけどネット上で啀み合っていた。
で、途中から、ご子孫に近づく競争が始まったらしい。
ネットにCが
「本当の子孫を見つけた、勘違いしてる奴pgr。もっと勉強しなさいね☆」
と書いた事でBがストーカー開始。
お祭りやイベント?などで顔と住まいは知ってたらしい。
Cがその無関係な男性宅(見た目や住まいがイメージ通りだったと)に押し掛けようとし、Bが「正義感から止めた」そうな。
凸前だった為にその男性に被害は無く、その時の大暴れでBは流産したと。
Bの両親が「責任とれ、慰謝料!!」と怒鳴り込んできたが、結局狂言妊娠だった。
そして経緯をお話ししたところ、大変恐縮してBを連行して帰って行かれた。
Aは離婚&強制労働でタコ部屋行きになったが、Cに一目惚れしたらしく、どうにか付き合えないかと手紙を送っているようだ。
Cは今はイケメン声優の追っかけをしているから、俺も声優になると言っている。
私からウトメに、もっと僻地に飛ばした方が良いとやんわり伝えておいた。
最近、知り合いのお店に頼まれてFacebookを登録してあげていたら、その歴女たちが所属?していたグループを見つけてしまった。
今でも同じようなメンツが集まって、同じようなおっさんに騙され、意味の無い使命感に燃え、同じような事を繰り返しているようだ。
さすがにうちみたいな問題は無いみたいだけど、でも思想がそっくり。
BもCも、社会人だったんだけどね。
姉御肌でしっかりしてる感じだったけど。怖い。
当時、トメさん達はやっぱり私任せの対応で、文句言う癖に話し合いの時は超逃げ腰。
旦那が頑張ってくれてたけど、結局私が嫌な役を全部やって仕切った。大変だった。
事件収束後にのんきに
「これさ~面白い話じゃない?嫁子ちゃん小説にしなよぉ」
と言ってきたのでなんか切れて怒鳴り飛ばした。
一時間。お前も当事者だろうがと。
それが一番の修羅場だったかもしれない。ウトメにとっては。
蛇足かもですが、Aは元々病弱な子でウトメが過保護にし過ぎた。
大人になったら元気になって、そして立派なニートになりましたとさ。
しかし結婚は早く、Aの女版みたいな嫁さんを連れて来た。
それでもウトメは喜んで、家(元々所有していた家の一つ)を用意してあげたら、ニート夫婦の完成です!時々バイトしてたみたいだけど。
子供が出来なかったのは不幸中の幸いとしか言いようが無い。
それでも、A奥には慰謝料と詫びを誠心誠意…と思っていたら、奥様いつの間にかいなくなってた。
慌ててご実家に電話したら
「はぁー。離婚しなきゃ慰謝料はもらえないんですか?なら離婚しますー。」
ある意味最も訳分からん人だった。
いつもカントリーマァム食べて寝そべってた。
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