『バイト先に強盗』本当にやった復讐 – 修羅場【長編】

『バイト先に強盗』本当にやった復讐 - 修羅場【長編】- 実際に行動した体験談

 

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バイト先に強盗

 

4年前にバイトしていた某チェーン系レンタルビデオ屋(●UTAYAではない)である事件が起こった。

以下その模様。

うちの店は午前2時の営業終了後、普段は売上と翌日の準備金をあわせて店の事務所の金庫に保管しておくのだが、連休中や夏休みなどの大量の売上が見こめるときは、近所の銀行の夜間金庫に預けることになっている。

事件が起こったその日も、大型連休の初日で売上,翌日の準備金等全額合わせて140万くらいの金額になっていた。

深夜になり、通常通りの閉店作業が行われた。

その日の遅番は店長含む社員2人とバイトが5人の計7人(男5、女2)によって行われ、午前二時の閉店時間から30分も経つ頃には、掃除、レジ閉め、本社へのデータ送信を終え、後は金庫に預けて帰宅するのみとなっていた。

その日は連休の初日と言うこともあり、普段の3割増の客が入っていたのだが珍しくレジの最終計算もきっちりと正確で、店長(38歳既婚、ピン●ロ好き)は安心して帰宅しようとしていた。

「家に帰ってゆっくり酒でも飲みながら風俗雑誌を読もう」

恐らく店長はそんなことを考えていたはずだ。

他のバイト達もそれぞれ休日の過ごし方に思いを巡らせていたはず。

その時はまだ誰も気がついていなかったのだ。4人の男達の怪しく光る目を・・・・。

「じゃあH君、金庫頼むわ」

店長は客からクレームのあったビデオを廃棄する作業をしていた社員のH(27歳、男)にそう声をかけた。

うちの店の方針では、金の持ち逃げ防止や強盗対策の為に、夜間金庫へは社員とバイトの二人で行くことになっている。

「わかりました」と答えたHは、そばで掃除をしていた古株のバイトM(23歳、男、フリーター)を連れて店を出ていった。

店に残った我々は、彼らの帰りを待つ間にロッカールームで着替えを始めた。

余談だがこの店のロッカーは男女兼用で、不可抗力ながら何度かバイトの女の子の着替えに遭遇したことがある。できればまたバイトしたい。

店のエプロンを脱ぎ、ズボンを履き替え、さあ帰るぞと思ったそのときだった。

「た・・・、大変です!。警察を!」

店の入り口から悲痛な叫びが聞こえ、店長と4人のバイトは二階のロッカーから一階の入り口に向けて全力で駆け下りていった。

そこで見たものとは・・・!

なんとHとMが顔面から出血して倒れこんでいるではないか!。

駆け寄る店長に息も絶え絶えにHが答えた。

「強盗です!。殴られて金を奪われましたア!」

「うそ~ん」

それがそのときの俺の正直な感想。

なぜかかなり冷静だった俺(当時19、大学生)は動転して店が契約しているセコムに電話しようとする店長をなだめ、代わりに警察に電話した。

近所に警察署があったため、3分も待たずにパトカー2台、バイク2台に分乗した8名の警察官がかけつけた。

まもなく救急車もやってきて、それほどの怪我ではなかったが大事を取ってMとHも運ばれていった。

我々は警察官に状況説明を求められたが、現場に遭遇したわけでもなく何も答えることができなかった。

結局、帰宅したのは午前6時を過ぎ朝日を浴びながらになったしまった。

それから4日後、営業終了後に店長の号令で事件当夜に働いていた6人が集められた。

勤務中に不幸な出来事に巻き込まれた我々に対し、店長がささやかながらポケットマネーで飲みに連れていってくれることになったのだ。

この店長は普段はかなりキレやすく、バイトの名前を覚えないで勝手なあだ名で呼んだりする(男女関わらず太ってるとブーちゃんとか)かなりの嫌われ者で、故S=キューブリックの「フルメタルジャケット」にでてくる軍隊の教官のような男なのだが、機嫌が良いときにはポケットマネーから数万だして飲み会開いてくれたりする、「根は良い奴」タイプの憎めない男なのだ。

俺は事件以来、HにもMにも会っていなかったので、生の強盗事件の話しが聞ける事を非常に楽しみにしていた。

4日ぶりに会った二人は特別変わった様子も無く、むしろ普段より機嫌が良いくらいだった。

顔の怪我も、当日に見た時ほどのひどい様子ではなく、Hが軽く眼の下に青あざを作っていたぐらいで、Mにいたってはほぼ無傷と言って良かった。

最初は事件に巻き込まれた二人に気を遣って、我々は関係の無い話しで盛り上がったが、飲み会が始まって1時間程たち、皆がほろ酔いになった頃を見計らって俺が切り出した。

「良かったですね。大した怪我じゃなくて」

そう俺が声をかけると、

「顔は出血しやすいから大げさに見えるんだよね」

とHが上機嫌で答えた
「いったいどんな感じの奴に襲われたんですか?」

俺はHが気を悪くしないように慎重に質問してみた。

すると、気を悪くするどころか、むしろ待ってましたとばかりにHが事件の概要を語り出した。

要約するとこうだ。

「犯人は二人組みの男で覆面をつけていた。

身長は共に180前後。外国人風で、片言の日本語でマネーと叫びながら突然つかみかかってきた。

抵抗すると黒い棒状の物で殴りかかってきた」

と言うものだ。

うちのビデオ屋は飲み屋街に隣接していて、中南米系やアジア系など様々な人種が出入りしている。

その事件の前にも不良イラン人に店のショーウインドウを石で割られると言う出来事があったので、話しを聞いた店長は勝手に「あいつ等の仕業だ。今度来たら絞め落とす」などとほえていた。

その後は、おしゃべりのHがバイトの女の子にパトカーの乗り心地だの、警察署の内装だの他愛も無い話しを延々と語り、俺は店長とビデオ屋の店員らしく新作ビデオの話しなどをしてその日の飲み会はお開きになった。

その飲み会から3週間が経った頃、ある一本の電話で事態は思わぬ方向に急展開を迎えた。

その頃俺は大学のテスト期間を迎えようとしていたので、普段週4回のバイトのシフトを日曜日の昼間だけの週1回に減らしていた。

バイトが無かったその運命の日も、単位のヤバかった俺は必死に机に向かっていた。

そんな時実家の電話が鳴った。受話器を取った母が俺を呼ぶ。

「店長さんから電話よ~」

なんだ?まさか今からバイトに来てくれとか言うんじゃないだろうな。

うちの店はバイトが総勢25名程いて、そのうちの半数が学生なのだ。

この時期人手が足りなくて困っているのは明白だ。

バイトの中で実質ナンバー3の位置にいる俺は、他の奴よりも面倒を押し付けられることが多い。

一瞬、居留守を使おうかと思ったが母が俺の名を呼んでしまった以上、無駄だろう。

俺「もしもし」

店長「この前の強盗の件なんだけどな、ちょっとそれで今から警察行くからお前来てくれないか?」

俺「は?俺ですか?MさんやHさんじゃなくて?」

店長「当日いたものなら誰でも良いんだけどな。どうせまた後で呼ばれることになるよ」

俺「呼ばれるってどう言うことです?。もうこないだ警察に話したじゃないですか」

店長「HとMが捕まったんだ。呼ばれてるからすぐに来てくれよ」

俺「!?」

店長と駅前で待ち合わせた俺は警察署に向かった。
道すがら店長に色々と質問したが、よくわからんと歯切れの悪い答え。

普段の威勢の良い店長とは別人のように、沈鬱で顔色も悪い。

俺は警察に行けば全てがわかるだろうと、店長に声をかけるのをやめ黙々と歩き出した。

警察の受付で店長が刑事さんの名前を言うと、俺と同年代の警官が4階の応接室のようなところへ案内してくれた。

てっきりドラマの取調室のような狭い部屋で、デスクライトの灯りの下で話しをすると思っていたから、中学の校長室のようなその部屋の内装に拍子抜けを食らってしまった。

5分ほど待つと初老の塩田丸男のような刑事と、30台半ばの元オリックスの木田のような刑事、それとルーズリーフのようなものをはさんだバインダーを抱えた禿の刑事の3人がやってきた。

「わざわざご足労願ってすいません。次からはお迎えを出しますから」

丸男のその言葉に、次もあるの?と俺はがっくり肩を落とした。

「じゃあまずそちらのお兄さんからいきましょうか」

丸男が満面の笑みを浮かべながら俺に話し掛けてくる。

俺から?俺からってどう言うことよ?俺パクられるの?

軽いパニックに陥っている俺を尻目に、店長は木田に連れられて部屋を出ていってしまった。

どうやら俺の話しを聞くのが丸男で、それを書きとめるのが禿の仕事のようだ。

丸男「じゃあ、当日の彼等の様子から話してもらえるかな?」

俺「あの~?そのまえにどう言うことか聞かせていただけると嬉しいんですが・・・」

丸男「え?ああ、なんだ聞いてないのか。悪かったね。あのね、この前のタタキ。あれお宅の社員のHの狂言だったんだよね。」

俺「Hさんが?。それとタタキってなんですか?」

丸男「ああ、ごめんね。タタキってのは強盗のこと。要するに全部Hと仲間のしでかしたことなの」

俺「仲間ってMさんのことですか?」

丸男「そうそう、全部で4人。前から計画してたみたいね。なんか知らない?。色々聞かせてよ」

俺「4人て残りの二人は誰ですか?。それもうちのバイト?」

丸男「未成年がいるんで詳しくは言えないんだ。こっちが一方的に聞くけどごめんね」

俺「・・・・・・・・はあ」

午前11時に警察に行って出てきたのは2時ちょっと前でした。

店長はその後も引き続いて話しを聞かれてる様子。

パトカーで送ってくれるとのことでしたが、丁重にお断りして帰宅しました。

結論はこうです。

以前から店長のやり方に反感を持っていたHは、店の金を盗む計画を立てます。

最初は単に営業終了後に店に忍び込んで金庫の金を盗む予定だったのですが、セコムのセンサーにどうしてもひっかかってしまうためやむなく断念。

その話しを親友でもあるMに持ち掛けたところ、Mの弟(19歳、土木作業員)の発案で店の外で強盗に見せかけて盗むと言うことなったのでした。

その後バイト始めて間も無い地元のDQS工業高校に通うY(17歳)も共犯に組み入れ、当日は目撃者がいても不自然ではないように、きっちりと覆面をかぶりMとHを襲った振りをしたのでした。

馬鹿の癖に細かい彼等は「無傷だと不自然だ」と言うことで、きっちりとMとHの顔を一発づつ殴り鼻血を出させるというこだわりを見せたのです。

全てはうまく行き、後で聞いた話しでは警察もMとHにはなんら疑問を感じていなかったそうです。

ですが、悪いことはうまく行きませんね。

バイトもしないDQS高校生のYがなぜか服やCDを大量に購入することにYの両親が疑問を感じ始めます。

そしてついに、高校生の癖にデリ●ルを自宅に呼んで本番しているところYは親に見つかってしまうのです(w

剣道用具を扱う店を経営し、自身も達人のYの親父はブチキレてYに金の出所を問いただし、ついにはMとHとMの弟と仕組んだ狂言強盗の件が明るみに出てしまったのです。

それと俺がちょっと驚いたのはこの事件はほとんど報道されなかったことだな。

この程度の事件はどこにでも転がってる世の中なんだろうね。

唯一サンスポだけが紙面の五分の一くらい使って記事を載せてたけど。

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