墓場まで持っていく話 短編10話【2】まとめ

墓場まで持っていく話 短編10話【2】まとめ

 

 

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墓場まで持っていく話 短編10話【2】

 

1

あれは若かった頃・・・
最初で最後の彼女と一緒に何回目かのデートに出かけたときの話。
公園に行ったんです、ちょうど桜が咲き乱れる頃、お花見に。
桜に囲まれながら二人で将来の事とか世間話なんかを喋りあったりして。
その後、着物や小物を買いに行ったり散歩したりして楽しいデートでした。
でも、彼女が別れ際に言ったんです。「私、仙台に行かなければいけないの
家族の事情で・・・。それで、一緒に来てほしいの」僕達は広島に住んでいた
ので正直戸惑いました。でも全てを理解して僕は彼女について行ったんです。
そしてあれから幾十年が経った現在、今でもあの頃と変わらずのんびり暮らしています。
こういう懐かしい秘密の思い出を一つぐらい持っていたいので墓場に持っていきます。

 

2

俺が小学生の低学年だったころ、親父は週に二日ぐらいしか帰ってこなかった。
親父が家に帰ってきたある日、親父に兄貴と俺が部屋に呼ばれた。
親父「今からはなすことはわかってると思うけど・・・」
俺「わかんな~い。きゃはは」
なんだか知らないが親父は急に泣き出し、部屋を出て母親と話してた。
それからは毎日帰ってくるようになりました。

今から考えれば、離婚話を話そうとしながらも子供の無邪気さに
心を打たれたって感じだったんだろう。
当時の俺にしても、母親から「お父さんが別の女の人と住んでいる電話番号」
というのを教えてもらったにもかかわらず、何で気が付かなかったんだろ。

 

3

大学入試でカンニングしまくって合格したこと。
そこ以外の、全然レベルの低い学校も全て不合格だったのに、
魔が刺して隣の奴のマークを横目でチラチラ見て写した。
俺の学力ではとても行けるような学校じゃなかったので
昔の知り合いでカンニング疑っている奴もいるかもしれんが。

ちなみに、大学でもテストは半分以上カンニングしてパスした。
バレずに4年で卒業できてヨカタ…。

 

4

母親の古い鏡台を何気なく開けたら、
両目をくりぬかれた父親の写真が出てきた。
写真の裏には、母親の字で、えんえんと恨み言が・・・
写真をすぐにしまって、「見なかった事にしよう」と思ったよ。

 

5

前に勤めていた会社で、出社拒否症になりました。
図書館や映画館に行って時間を潰していました。
親と同居してるので、普通に会社行ってる振りしてるのが辛かったなぁ。
今は別の職についてなんとかやってるけど、今でも
図書館とか行くと、当時の事を思い出します。

 

6

友達がサイトで知り合ったメル友とメールをやりとりしていて、写メール交換しようという話しになった。
男の方から送られてきたのだが、「Yちゃん、星が綺麗だよ」とロマンチックな事をいれてくるような男だったが、
友達にとってはその男は生理的に受け付けないブサイク顔だった。
その友達は常正直可愛いので、会おうという話しになったら面倒くさいと言い出したので、
私の友達の本当にブサイク顔のコ(でも何故か彼氏はいる)の写真を送る事にした。
写メール送ったら、最初は男の方も会ってみないと分からないから会ってみようという事だったが、
結局後から「ごめん…俺面食いみたい」という返事が来た。
ごめんよNちゃん勝手に写真送って。
墓場まで持っていきます。

 

7

昔、小さい頃の話。
何故か妹に先に布団に入られるのが嫌で
ある日、走って布団に向かう妹を足ひかっけて転ばせた。転んだ場所が悪くて、妹は鏡台の
角にぶつかり、額をぱっくり割れちゃった。
両親には自分で勝手に転んだと言っておいた。
今はうっすら残ってるだけだけど、その傷を見ると本当に悪いと思ってる。

 

8

父が海外赴任中、母が浮気をしていた。
私は幼稚園の年少の頃の記憶がすっぽりない。
(その前後の記憶はおぼろげだけどある)

去年母がなくなって、親戚が集まった時に初めて聞いた。
年少の時、母が浮気相手の男とどこかに旅行
(ニュアンス的には駆け落ちっぽかった)に行ってしまったらしい。
私は部屋にひとり置いておかれたそうで、
様子をみにきた祖母がしばらく私を育てていたそうだ。

小さい頃から一人になるのを極度に恐がったり、
母は私を叱るとき、決まって
「○○ちゃんが言うこときかないから
ママ蒸発したくなっちゃうんだから」と言ったっけ。
知らない男の人が家に泊まったこともあったし、
どんどん記憶が戻ってきた。
女としての母のいきざまに、悲しいやら情けないやら
やりきれない気持ちでいっぱいになった。

母に恨み言のひとつでも言いたかったけれど、それも無理。
ちょっと違うかもしれないけれど、
私にとっては墓場まで持っていく話です。

 

9

私の母は私が3歳の時に、蒸発しました。
その頃、弟はまだ1歳。写真は父がすぐ処分したので
弟は母の顔を知りません。正直、弟は母に顔がそっくりですが
でもそれは一生言わないでおこうと思います。

 

10

父親が浮気をしていた。
父の仕事が休みの日、6歳だった私は父に連れられて「お父さんの友達」の
女の人の所によく行っていた。
その人は今思い返してみると、母とはまるで正反対のタイプの人だったと思う。

その女の人には私より2つ年上の女の子がいて、遊びに行ってしばらくすると父が
「○○(私)、◎◎ちゃんと外で遊んでおいで。」と言い、私達はその言葉に従って
外(主に近所の公園)に遊びに行っていた。
夕方になって父と女の人が迎えに来るまで二人で遊んでいた。

その人の家からの帰り道、父は決まってこう言った。
「お母さんには遊びに行った事は内緒だよ。」と。
「なんで?」と聞いた私に、父は「お母さんと、お父さんの友達は、前にけんかして
仲が悪いんだ。」みたいなことを言ったと…思う。うろ覚えだけど。
怒ると怖い父親だったから、小さかった私は恐怖心から、その「約束」を守りつづけた…。
約束を破ったら、きっとひどい目にあわされると、思っていた。

両親は、私たち子供が成人したのを境に離婚した。
でも、未だに謎なのは、母は、父の浮気を知っていたのだろうか?と言う事だ。
その「奇妙な父の休日」のこと以外は、うちは普通の家庭だったと思う。
母に、変わった様子は見受けられなかった。
そして、もう1つ、◎◎ちゃんは、もしかして、父の子だったのでは?と、
考えることがある。可能性としては、無いとは言い切れない気がするのだ。

でも、この二つの疑問は20年以上経った今でも、私は両親に聞けずにいます。
多分これからもずっと、聞けないでしょう…。
離婚したとは言え、両親であることには変わりは無いし、今更聞いても埒のあかない事だと思うから…。
下二人の兄弟の為にも、私一人で墓場まで持っていこうと思います…。

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墓場まで持っていく話
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