『突然別れ – 知らされた真実』【長編 感動する話】

『突然別れ - 知らされた真実』【長編 感動する話】 感動

 

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突然別れ – 知らされた真実

 

 

昨日、1年付き合った彼氏に振られた。
あっけなかった。
電話で彼が

「はる。ごめん、別れてほしい。」
「けいちゃん。どうして…?」
「ごめん。」
「わかった…」

それからは、仕事にも趣味にもやる気が起きなくて、ぼーっとすることが多くなった。
職場の同僚にも

「はる、最近痩せたんじゃない?大丈夫なの?」
と、心配される始末。

その時、同じ会社の部署の小川さんが、ちょっといいかな?と私を個人的に呼び出してきた。
小川さんは私にけいちゃんを紹介してくれた人で、けいちゃんの高校の時の部活の先輩。

「もしかしてけいと別れた?」

「どうして小川さんが知ってるんですか。」

 

「あー…やっぱり。けいね、実は今入院してるんだよ。最近、はるちゃんにけいが会えなかったのは、その頃にはけいが入院してたからなんだ。俺が言っていいのか分からないけれど、ここまでは説明しておくね。あとは今日病院に連れてくから、そしたらちゃんと本人から話を聞いてほしい。」
嘘だと思った。

小川さんは私をからかってる。
でも、真剣に話をする小川さんを見て、私はようやく事実を受け入れた。

「わかりました。けいちゃんに直接聞きます。今日、病院までよろしくお願いします。」

とだけ小川さんに伝え、仕事に戻った。
仕事終わり、小川さんと病院に向かった。

 

けいちゃんが入院しているのは、3階に上がってすぐの個人用の病室だった。

「俺は外で待ってるから、けいとちゃんと話しておいで。」
小川さんにそう言われたので、私はゆっくり頷いて病室に入る。

「けいちゃん。」

「はる…?なんで。なんで来たんだよ」

「ごめん。小川さんからけいちゃんのこと聞いて。それで病院に連れてきてもらったの。別れようって言ったのは病気だから?」

「・・・」

「私、それで別れてほしいって言うなら別れない。ちゃんと話もしないでばいばいなんて、けいちゃん卑怯だよ。」

「ごめん。でも怖かったんだ。はるが病気のこと知って、それから前みたいに楽しくやれないんじゃないかなって思って。だったら、何も言わないで別れようって思ったけれど、それがだめだったんだな。ごめん。はる。ごめんな。」

それから、けいちゃんと2人で病気のこと、これからのことについて話をした。

 

けいちゃんは白血病だった。
かなり進行しているらしく、もう転移も見つかっているとのことだった。

「俺は助からない。だから、ずっとはると一緒に居られない。それでもいいの?はるには辛い思いさせたくない。」

けいちゃんは、この日ずっと謝りながら泣いていた。
だから、私は別れようって言ったのは自分も辛い思いをするけれど、私に辛い思いさせることがもっと辛いから、そんな風に言ったんだと改めて思った。

それから私は、毎日けいちゃんに会いに病院に行った。
仕事の日は夕方に行って、休みの日は1日一緒に居た。
闘病生活をして2か月を迎えた頃、けいちゃんは無菌室に移動になった。
面会ができなくなった。

 

病室が窓ガラスになっているから、そこから手を振ったり、電話をすることで繋がっていた。

「しんどいな。でもしゃあないから頑張るけれど、はるに直接会いたい。窓ガラス越しに見えるけれど、遠いよなぁ。」

「私もけいちゃんに会いたい。会いたいよぉ…」

この頃から、私はよくけいちゃんと会った後、1人で廊下で泣いていた。
我慢するのが精一杯だった。
入院して3か月。
とうとう、けいちゃんの容態が急変した。

 

夜中に病院から電話があり、急いでけいちゃんのところに向かう。

「けいちゃん。お願い死なないで。まだ1人にしないで。」

病院に行く間、ずっと泣きながら繰り返した。
病院に着くと、けいちゃんの病室の前に担当医が立っていた。

「けいさんはもう長くないと思います。今は落ち着いていますが、明日までは持たないかと…辛いでしょうが、最後のお別れをしてください。」

「わかりました。」

嘘だ。嫌だ。
なんでけいちゃんが死ぬの。
神様は嘘つきだ。
いい人が死ぬなんて不公平だもん。
けいちゃんを助けて。

そんなことが、頭の中をぐるぐる巡って泣きそうになる。
そっと病室のドアを開けると、けいちゃんが静かに横になっていた。

「ねぇ、聞こえてる?いつもみたいに寝たふりしないでよ。」

けいちゃんは何も言わない。
ただ、握った手がまだ温かいことから生きてるんだと伝わってくる。

 

けいちゃん。
私ね、けいちゃんが一緒に居てくれて嬉しかったよ。
最後がこんな形でも、それでもけいちゃんと会って恋をして、私を全部受け入れてくれたけいちゃんが、ずっと好きだよ。
だいすき。

心の中で言い終えたと同時に、けいちゃんの不規則だった心音が一定になった。

「けいちゃん。やだよ。なんで死んじゃうの。」

担当医や看護婦さんが病室に入ってきて、けいちゃんの様子を見ると静かに首を横に振った。
けいちゃんは24歳で亡くなった。

 

もう帰ってこない。
そう思うと涙が止まらなかった。
もう会えないことが、こんなにも辛くて寂しいことを私はこのとき初めて知った。
けいちゃんが亡くなって3年が経ちますが、私は24歳で独身です。

小川さんとは、けいちゃんが亡くなってからも職場でお世話になっていて、毎月けいちゃんの亡くなった日に一緒にお墓参りに行っています。
大切な人を早く亡くす。
それはとても考えられないくらい辛いです。

もっと一緒に居たかった。
好きって言っていれば…そう思う前に、今一緒に居るあなたの大切な人を大切にしてください。

後悔はしないでください。
読んでいただき、ありがとうございました。

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