『夢で息子を抱きしめてた』など短編5話【69】 – 感動する話・泣ける話まとめ

『夢で息子を抱きしめてた』など短編5話【69】 - 感動する話・泣ける話まとめ 感動

 

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感動する話・泣ける話まとめ 短編5話【69】

 

 

夢で息子をずーっと抱きしめてた

数年前、事故で1週間近く意識が戻らなかった私。

当然、その一週間はなんにも記憶はないんだけど、
夢で2歳半の息子をずーっと抱きしめてた。
とても暖かくていい匂いがして、心地よかった。

気づいたときにはベッドの上だったんだけど、
後で聞いた話によると、息子は毎日私の母に連れられて病院に来て、
私の横で
「おかあたん、おかあたん、ぱっちりあけて(目を)」
と延々と言ってたらしい。

それが夢と関係あるのかどうかは分からないけど、
息子の存在が私の意識を呼び覚ましたのだと思う。

あの事故以来、なるべく穏やかに子供に接するように心がけてます。
人間、いつ死ぬか分からないから。

 

 

父親のメール

俺は今高3なんだけど、10月26日に父親が死んだ。
凄く尊敬できる素晴らしい父親だった。
だから死んだ時は母親も妹も泣きじゃくってた。

それから2ヶ月くらいたった最近は、まだ元の生活には戻れてないけど多少はみんな落ち着いてきてた。
そして今日、俺はなんとなく父親が母親にどんなメールを送っていたのかと思って、
少し悪いと思いつつも、タンスの引き出しにしまってあった今年の8月まで母親が使っていた携帯を手に取って、
父親のメールを見た。

メールの内容は、恥ずかしがり屋な父親らしく、
「めしはいるか」だとか「何時もの時間に帰る」だとか「どこにいる」だとか、「?」もついていなくてすごいそっけないものだったので笑ってしまった。
どれも同じ内容ばっかりだなーとか思っててきとうに流していると、母親の携帯のメール一覧の一番下に、
保護しているメールが一件だけあった。
それは去年か一昨年の8月3日の父親からのメールだった。

「今日も、1日がんばれ」

ただそれだけのメールだったし、8月3日がもうなんの日だったかは覚えていないんだけど、
その短い文章に、照れ屋な父親の優しさが物凄く現れてて、
そしてそれをもらって凄く嬉しかったのかそのメールを保護してある母親のことも考えたら、
胸が熱くなって思わず泣いてしまった。

どうしてもこの気持ちを誰かに伝えたくて、
だけど友達にわざわざ電話する内容でもないしって思って書いちゃった。

 

毎日必ず食卓にあったカマボコは

私が小学1年生の時に事故で両親が死に、それ以来おじいちゃんと2人で暮らしていた。
おじいちゃんは料理などできなかったけれど、私のために毎日質素ながらご飯を作ってくれた。
ご飯と納豆、とかご飯と缶詰め、とか。

そして食卓にはいつもカマボコが2~3切れ置いてあった。
カマボコは必ず毎日食卓にあった。
私はカマボコがおじいちゃんの好物だと思っていた。
中学生になり、私が食事の用意をするようになっても、必ずカマボコを2~3切れ食卓に出し続けた。
4年前、おじいちゃんが亡くなった時、霊前にカマボコを供えた。
おじいちゃんの好物だと思っていたから。

叔母さん(父の姉、おじいちゃんの長女)に
「おじいちゃんカマボコ大好きだったから…」 と言うと
「違うんだよ」 と言われた。
「違うんだよ。あの人は子供が喜ぶ料理なんてつくれないから困ってたんだよ。」
「カマボコはピンク色だから、女の子が喜ぶと思っていつもカマボコを用意してたんだよ。」

その他にも、両親が死んで叔母さんが私をひきとると申し出た時
おじいちゃんが「俺が育てる」と言って私を離さなかった事などを聞いた。

おじいちゃんはいつもしかめっ面で寡黙でちょっとこわい人だった。
でも両親がいなくなった私に寂しい思いをさせないように一生懸命だった。
参観日に死んだお父さんの服を着て来てくれたこともあった。(サイズ合ってない)
ハンバーグが食べたいと言ったときに挽き肉を丸めて焼いただけのものが出てきたこともあった。
口にも態度にも出さなかったけど、おじいちゃんはすごく一生懸命に私を育ててくれた。

ピンク色のカマボコを見るとおじいちゃんを思って切なくなる。
もちろん今でもお仏壇にお供えする品には、必ずカマボコをそえています。

 

 

毎回こんな感じになってしまうけど

俺は福岡で働いてるけど地元は大分。
今日、福岡で仕事の集まりがあるらしく昨日から母親が来てた。
久々に俺に会えて嬉しいらしくいろいろ話してくれるんだけどさ、俺は適当に「ふ~ん」とか「へぇ~」とか相づちうつだけでほとんどまともな会話とかしなかった。

で今日の朝、俺は仕事があるから母さんより早く家を出た…
心の中では悪いことしたなぁっていつも後悔するんだけど、毎回こんな感じになってしまうんだよね。

で、今家に帰ってきたら米とかみかんとかが玄関に置かれててビックリ。
冷蔵庫を開けてみたらほとんど空っぽだったのに、卵とかサラダとかいろいろいっぱい入ってた。
他にもおかしとかなんか冷蔵庫に入りきれないくらいいろいろ買ってくれてた。

車もないし1番近くのスーパーまで歩いてそこそこの距離があるのにこんなに重いの持って買ってきてくれたのかと思うと涙がでたよ。
親孝行しないとなぁ…と思った。

今度会ったときはいっぱい話をしよう。

 

 

祖母の脳内で

呆けてしまった祖母の話。

1~2月に1回の頻度で、伯母2人が祖母の様子見に行っているそうだ。
4人兄弟で末っ子の母は遠距離のため伯母方から電話で様子を聞いている。
…が、その話が(不謹慎だが)面白い。

1番上の伯母が行った時は『○○(2番目の伯母)が死んじゃって……』
2番目の伯母が行った時は『△△(母、末っ子)が死んじゃって……』

次々と祖母の脳内で(祖母の)娘達が死んだり生き返ったりしているのだ。
そんな中、お盆にようやく母と私が会いに行けた。
1年半ぶりに会った祖母は、とても小さかった。

「ばあちゃん、来たよ。私のこと、わかる?」
ベッドの横で母が祖母の手を握りながら聞くと、「ん~▲▲だっけ?」
「違うってば~△△でしょ?貴方がお腹痛めて産んだ娘よ、忘れないでよ~」

こうして目の前で言われると結構辛い。少しだけ母の顔が歪んだように見えた。
次は私の番。ちょっとだけ覚悟を決めた。

「ばあちゃん、今日は私も来たよ。分かる?」
「あらあら、

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