優しい話 短編10話【1】
1
昼食に寄ったファミレスでの話し。
俺の隣の席にお母さんと3~4歳ぐらいの男の子が座った。
あーうるさかったら嫌だなーと思いながら、自分の
オーダーを待ってた。
すると、その隣に座った親子の会話が聞こえてきた
母「○○は、お子様ランチでいい?」すると、子が
内緒話をするように母の耳に手を当てて(丸聞こえな訳だがw)
子「そいでいい」
母「もう少し声出してもいいよ。」
子「そいにする(笑顔)」
全ての子供がうるさいと思った俺謝れと自分に言ったよ。
で、料理が運ばれてきて食べてると
子「楽しいねお外でごあんは楽しいね」
と母とニコニコお行儀良く料理を待ってた。
親子の所に料理が運ばれてきて、
子「かあしゃんいたあきますするよ」と母を促しててホノボノ。
俺は食事が終わりコーヒー飲んでそろそろと思った時、隣の席から
子「ごちそうめちた」って元気な声が聞こえた。
こうやって、子供育ててるってスゲーななんて思ってたら、
母「今日はデザート半分こしようね」とデザートをオーダーしてた。
最後までちょっと親子を見てみたいと思い、ゆっくり新聞読みながら
コーヒーを飲んだ。
親子の元にデザートが届き、チラ見すると子が「あんまとめした」
とウェートレスにお礼してて、キューンとなった。
母「きれいだね。楽しく食べようね」
子「あんまとめした。かあしゃんあんまとめした」
と母親にもお礼を言ってた。
すると、母親が「帰ったら、とうちゃんにもありがとうって言おうね」
子「うん、とうちゃんあんまとめした」
ってデザートに拝んでて、あー躾って素晴らしいなと思ったよ。
ここらへんまでしか見てないけど、今日ほど結婚したいと思ったことは無かった。
2
大学でこんな風に何人か座ってたんだ
1 2 3
4 5 俺
この1~5は明らかに友人のグループ
3の男前が2や4,5に飴を配りだした
そしたらそっと俺の前に飴を置いて前を向いた
ありがとう
3
池袋駅で歩いてたら後ろからすみませーん!あのーって声
自分ではないだろうと思って歩いてたら、女性が前方に回りこみ
これ、落としましたよってハァハァ息切らしながら私が落としたハンカチを渡してくれた
ありがとう
走らせてごめんなさい
4
去年、電車の二人掛けの席に座りながら英単語本を読んでいた時、隣のおばさんが座ってきて、「頑張ってね」と言いながら、飴を3つもくれた。
びっくりして一つはとっさに食べたけれど、残り二つは今でも冷蔵庫の中にある。食べれないよー
5
いつも寄るコンビニに新しく入ったバイトが、見たところ65歳くらいのおじいさん。
おにぎりを買う時にいつも温めてもらっているけど、時間がない時に何も言わないままレジに行くと
「今日はおにぎり温めなくていいの?」と訊いてくれる。
朝行くたびに「今日は寒いねー」「風邪ひかないようにねー」と声をかけてくれる。
お弁当を買って割りばしを断ると「はいはーい♪」と返事をする
けどこの前入ってたw
今はそのレジに何となく足が向く。でもその人の手はいつも冷たいので少し切ない。
6
トイレで手を洗おうと思って、鏡の前の荷物置き場?に携帯を置いたら、
つるっと滑って洗面台に落ちた。あげく、落ちた携帯にセンサーが反応し携帯にもろに水がかかった。
コントみたいな出来事に唖然としてたら、隣で身なりを整えてた人が素早くハンドタオルをさしだしてくれた。
笑顔が可愛かった。
7
俺がケーキ屋で支払いをしていると
自動ドアが開いて、幼稚園児ぐらいの女の子がひとりではいってきた。
女の子は一人で買い物に来たらしく、
極度の緊張からか、ほほを赤く染め真剣なまなざしで店員に
「けえきください」と声を発した。
いかにもバイトといった感じの女子高生らしき店員は、
「一人で来たの?ママは?」と問いかけた。
すると、女の子は、
どもりながら必死で、一人で来たこと、今日が母親の誕生日なので
驚かせるために内緒で自分の小遣いでケーキを買いに来た、
という趣旨のことを長い時間かけて何とか話し終えた。
店員は戸惑いながら
「そうー、偉いねー。どんなケーキがいいの?」
と一応注文をとった。
「あのねー、いちごがのってるの!」
どう見ても女の子が大金を持っているようには見えない。
手ぶらだ。財布が入るような大きなポケットもついてない。
まず間違いなく、小銭を直にポケットに入れているだけだろう。
俺はハラハラしながら事態を見守った。
店員も女の子がお金をたいして持っていないことに気づいたらしく、
イチゴが乗っているものの中で一番安いショートケーキを示し、
「これがイチゴが乗ってるやつの中で一番安くて380円なの。
お金は足りるかな?」と問いかけた。
すると、女の子の緊張は最高潮に達したようで、
ポケットの中から必死で小銭を取り出して数え始めた。
俺は心の中で神に祈った。どうか足りてくれ!
「100えんがふたつと・・・50えんと・・・10えんがいち、にい、さん・・・」
俺は心の中で叫んだ。
ああっ!ダメだ!280円しかないっ!!!
店員は申し訳なさそうに
お金が足りないからケーキは買えないという趣旨の説明を女の子にした。
それはそうだろう。店員はどう見ても単なるバイトだ。
勝手に値引いたりしたら雇い主に怒られるだろうし、
女子高生にこの非常事態を大岡越前ばりのお裁きで丸く納めるほどの
人生経験はなくて当然だ。
かといって、赤の他人の俺が女の子のケーキの金を出してやるのも不自然だ。
女の子が自分の金で買ってこそ意味があるのだから。
女の子には買えないことが伝わったらしく、
泣きそうなのを必死で堪えながら、
というより、声こそ出してないが、ほとんど泣いていて、
小銭を握ったままの手で目をこすりながら出て行こうとした。
すると、ろくに前を見てないものだから、
自動ドアのマットにつまづいて転んだ。
その拍子に握っていた小銭が派手な音を立てて店内を転がった。
きっと神が舞い降りる瞬間とはこういう時のことを言うのだろう。
俺は女の子が小銭を拾うのを手伝ってあげた。
小銭をすっかり集め終わった後で、女の子にこう話しかけた。
「ちゃんと全部あるかな?数えてごらん」
女の子は「100えん、200えん、300えん・・・?あれ!380えん、あるーっ!」
俺が「きっと最初に数え間違えてたんだね。ほら、これでケーキが買えるよ。」
と言うと女の子は嬉しそうに、
「うん!ありがとう!」としっかりお礼を言い、
イチゴショートを一つ買っていた。
俺はそれを見届けてから店を後にした。
先日、数年ぶりにその店の前を通りかかったが、今はもうなかった。
8
どうしても絵の世界で食べていきたくて、大学出てから東京の大学院に進ませてもらった。
しかしそんなに間口の広くない世界、ここで培った知識とかは応用が利きにくいし、
関連する求人も殆どない状況だった去年の暮れ。卒業も近かったし、帰省した際に
親からはいい加減にして帰ってこいと説得された。
ただ、東京の方が地元よりも環境に恵まれているのも事実で、バイトしながらでも
留まりたいと訴えても通用しない。
親の言うとおり、働きながら勉強が容易でない事は分かってるつもりだったし、
仕送りして貰ってるのも申し訳ないと思っていた。
でもやっぱり諦め切れなかった。どうしてもこの道に進みたかった。
結局話はまとまらず、私は向こうのバイトの都合でまた出て行く事になっていたのだが、
その前日の夜に弟が部屋に入ってきて、黙って封筒を突き出した。
中は後で数えたが30万入っていた。
「何これ。どうしたん。受け取れんよ」と突っ返そうとすると、
「お前はやりたい事があるっちゃろーが。まだその気持ちが挫けとらんっちゃろーが。
なら、お前はお前のやりたい事ばとことんやって、どーしてもダメやったら帰ってくれば
良かろーもん。その為に手段とか選んどらんめーが。お前が定職に就いたら返してくれれば良か」
言うだけ言って封筒置いてとっとと出て行ってしまった。
2つ下の弟は既に会社に勤めていたが、悪くも良くもない兄弟仲でここまでしてくれたのに涙が出た。
その後、弟が両親に進言してくれたらしく、翌朝、両親も渋々ながら出来るとこまでやってみろと
言って送り出してくれた。
早いもので1年。来年から弟に返済が出来そうです。
9
昨日の大晦日。
自動車が側溝に落ちた。走行中に左側に寄りすぎてタイヤがふたつとも。
あわあわしながら実家近くだったので父に連絡して来てもらい、二人であわあわ。
どうにも持ち上がらないし、JAF呼ぶかなと思っていると車が停まってくれた。
男性二人が「どうしましたか」て来てくれて、あーでもないこーでもないとしてくれた。
それから通りかかりの原付バイクのおにいさんともう1台車の男性も来てくれて、
みんなで持ち上げてくれて助かった。
大晦日の忙しいときに馬鹿な自爆を助けてくれて本当に感謝の気持ちでいっぱい。
でもテンパってたし、車が持ち上がったら、「よかったねー」でみんなスーって行ってしまったから
「ありがとうございますありがとうございます」ばっかりで連絡先とか聞くの忘れてしまった。
なにか御礼しないといけなかったのに。
本当に優しい人たちだった。大晦日に最悪だと思っていたのに、人に助けられてなんだかふわふわした気持ちになった。
私も道で誰か困っている人がいたら絶対力になれる人になろうと思う。
10
数年前の豪雪の時期、車のタイヤが雪に埋もれて動かなくなりました。
北国ではよくある事で、微妙なアクセルの踏み加減やハンドルの切り加減で自己解決出来る事も多いのですが、その時に限っては何をやっても逆効果。
もがく程に埋もれていく車を操作しながら、まるで自分の人生のようだと途方に暮れていた時、中年女性が「動かなくなったんだか?今うちの父さん呼んで来るからな」と。
そこから、女性→夫→隣家の男性→その妻→騒ぎを聞き付けた近隣の男性などなど助けに来て下さいました。
全員スコップ持参、中には古いスキー板を持って来て、「折れても大丈夫だから、踏み台みたいにしてタイヤで踏んでみれ!」という方まで。
みんなで力を合わせて格闘する事およそ20分、ようやく車が動きだし、雪からの脱出?に成功しました。
誰かに「車おかしいとこ無いかグルッと見てみれ」と言われ、簡単に確認して、「お騒がせしました、本当にありがとうございました」と顔をあげると、あんなにいた人々が、ひとりもいない。
みんな当たり前に助けて、終わったら当たり前に帰っていく。見事な連携プレーに放心状態でしたが、それからは私も、困っている方に躊躇しないで話し掛けるようになりました。
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