【優しい話】『ガキの頃、世話になったんだよね』など短編10話【14】 – 心温まるちょっといい話 まとめ

【優しい話】『ガキの頃、世話になったんだよね』など短編10話【14】 - 心温まるちょっといい話 まとめ 優しい話

 

スポンサーリンク

優しい話 短編10話【14】

 

 

1

ある日地下鉄に乗ったら、誰かが置き去りにした空き缶が床の上に転がってた。
電車が揺れる度に、あっちへコロコロこっちへコロコロと、耳障りな音を立てて転がる。
みんな目障りだと思ってるんだろうけど、自分は関係ないとばかりに知らんふり。
自分も触るのが嫌で同じように知らんふりしてた。
そしたら、途中の駅から乗ってきた女の人(20~30代?)が、
乗った時はチラリと一瞥くれただけで興味なさそうにしてたのに、
降りる時にすごく自然な仕草で缶を拾って、駅のゴミ箱に捨てていった。
ずっと誰も触らなかったのに、その人はわずか数駅乗っただけなのに。
小さなことだけど、なんかすごく感動した。

 

2

こないだ空席がちらほらある電車に乗ってたら、リクルートスーツの女の子が乗ってきた。
細身長身でかわいい子。
席に座ると、ちょっと疲れた顔で手帖ひらいてた。
俺も氷河期に就活した身だから「こんな時期まで、たいへんなんだなーがんばれよ!」とか思ってみてた。
その車内にはコーヒーの空き缶がずっとコロコロ転がってて、
みんな自分の足下に缶が転がってきたら、足で軽く蹴って他の方向に転がしてた。
何回か空き缶が行ったり来たりしてるうちに、そのスーツの子の足下に行った。
その子は手帖をパタンと閉じて缶をサッと取り、ちょうど降りる駅だったらしく、缶をもったまま降りてった。

なんかそのさりげない所作が美しくてポカンとしてしまった
内定でてるといいな。

 

3

姉が私の高校の文化祭に来たときの話。
姉は祭り好きだから楽しんでるだろうな~とか思ってると、姉から電話が。
「妹~今どこにいる~?」と何だか涙声。
え?は?食堂だけど?と言うと、これまた涙声で

「酸素スプレー貸してー!!」

ワケのわからないまま、とりあえず姉を迎えに行くと、
金魚の入った袋を抱えた姉が立っていた。

・・・・姉の得意なことは、金魚すくい。
夏祭りとかでお店の人泣かすほど、上手い。
しかも好きだから、見るとついついやってしまうんだろうね。
でもさ、手の平サイズの袋に15匹も金魚詰めたらイカンと思うのよ。
更に、袋×3つ。
「あんな水質管理がずさんな所に置いて行けなかった」
って言うけども。
そんだけ入れたら、袋の中の酸素もすぐに尽きるわ・・・。

その後、部室のクーラーボックスを借りて
金魚を移して即席の水槽を作って、姉は家に帰った。
楽しみにしてた創作劇もステージライブも見ずに、
あと2つで全部埋まったスタンプラリーも諦めて。

姉に保護(?)された金魚達は、完璧に管理された水槽の中を
今ものびのびと自由に泳ぎ回っているよ・・・。
ちなみに未だに一匹も死んでない。

 

4

小学生の頃のこと。
近所に大きな本屋があって、文房具なんかもたくさん売ってた。
ある日友達と一緒にそこへ買い物に行った。
消しゴムやら定規やら、それぞれ欲しいものを見つけて買おうとした時。
所持金確認したら10円足りない。
「おわ~、10円たりねぇ!」
「マジで?俺ピッタリしか持ってねえぞ?」
「ちくしょ~~~なんでだよ~~~」
別のにするかあきらめるか、どちらも選べなくて困り顔で立ち尽くしてたら、
横からポンポンって肩を叩かれて、見れば綺麗なお姉さんが。
「これ、使って」
ニッコリ笑って10円玉一枚、すっと俺の肩の上に置いた。
あ、落ちる、と思って慌ててそれを掴んだ瞬間、
「じゃあね」
声だけ残してどこかへ消えてしまった。
一瞬のことで、あっけにとられて、お礼も何も言えなかった。
「せっかくもらったんだし、使えばいいんじゃね?」
友達の言葉におされて、感謝しながら買い物を済ませた。
それからしばらく、毎日10円玉持ってその本屋へ行ってみたけど、
お姉さんに出会えることもなく、やがて本屋もつぶれて無くなった。
ずっと昔のことだけど、今でも覚えてる。
あのお姉さん(今はもうおばさんだろうな)、今もどこかで元気にしてるかな。

 

小学生怖い。

 

5

ロサンゼルスへ旅行に行った時、とある所まで行こうとバスに乗りました。
乗り換えをしなければならないのに気づいて、隣に居た地元のおばちゃんに「どこで降りてどのバスに乗れば良い?」と尋ねました。
「途中乗り換えをする時は運転手に5セント払えば乗り換えチケットを貰える」と聞いて、財布から硬貨を探しているとバスは目的地に到着。
急いで5セントを探すけれど焦ってどれがどの硬貨か分からない。
するとおばちゃんが「これあげるから早く行きなさい。あのバスに乗るのよ!」と5セントを私に渡して、乗り換えバスを教えてくれました。
慌てていたのでまともにお礼も言えず、急いで外に出てもおばちゃんはバスの中から「あのバスよ!」と指図してくれて。

見ず知らずの外国人に親切にしてくれたおばちゃん、「今頃どうしてるかな」と思うときがあります。
もしどこがで会うことがあれば、あの時頂いた5セントを返し、「本当に有難う」と今度こそきちんと丁寧にお礼を言いたいです。

 

6

仕事から帰ってきたら不在票があったんで取り寄せたら、実家の弟からだった。
何かと思って開封すると、5万円分の商品券が入っていた。
驚いて電話した。

私「何これ」
弟「何が?」
私「商品券!」
弟「ああ、届いた?誕生日やったろ。何が欲しいのか分からんし、ガキでもねーから
そーゆーのがいいかと思って」
私「それはいいけど、5万円って…。」
弟「何かと物入りやろ」
私「それに私、あんたの時何もしてないよ」
弟「して貰ったらするとか、されてないからしないとかじゃねーやん。誕生日は祝うもんやん」
私「ありがとう…。私も別にあんたの誕生日祝いたくなかったわけじゃないんよ」
弟「そんな事はいちいち言わんでもわかっとる」

弟の度量の大きさと言ったら。3つも年上なのに姉ちゃんらしいことしてやれんでごめんね。

 

7

私が赤ちゃんの頃の話。
母親が病気で、車で数時間の大病院に入院&即手術。
手術には輸血が必要で、輸血パックはもちろんあるが、出来れば新鮮な血液がいいと医者に言われたらしい。
しかし、地元から遠く離れた街なので知り合いすらいない。
父親は片っ端から電話をかけ、親戚の息子がその街で働いている事を知る。
事情を知った息子は会社の上司に相談し、母親と同じ血液型の社員を大勢連れて病院に来てくれた。

母親の手術は成功しました。30年以上前の出来事です。
いい人とはちょっと違うけど、その時の息子さんや上司、社員の皆さんにありがとうと言いたい。

 

8

お姉さんが両手のひらを包む形(デッカいおにぎり握ってる感じ?)で歩いていたので何となく見ていた
植え込みの側で立ち止まったお姉さんの開いた手のひらには、羽に目玉模様のあるデッカい蛾

あまり虫が得意ではないのでビビりながら通り過ぎた
お姉さんは植え込みに蛾を移したかったらしいけど、なかなか動かないらしく
「さっさと飛べ」とか言ってた

最近の女の人は虫平気なんだなぁ

 

9

女子高生数人が入り口に座りこんでしゃべっててお婆さんが降りれなくて困ってたから
「どいてあげた方がいいんじゃないかな」
と声をかけたら
「あん? 誰だよてめえ!」
と逆ギレされて困ってたら同じ高校と思われる男子高校生が
「いいからお前ら一回どけって」と女の子達の手をひいてどかしてくれた
その後男子高校生が僕に
「××高の○○さんですよね、一度試合したことあるんだけど覚えてますか?」
と声をかけてくれたが思い出せなかった
申し訳なかったな
ありがとう

 

10

先日、通ってる教会(カトリック)で募金やるってんで何人かと街頭に立ってきた。
孤児とか引き取る施設宛の募金。
頑張ってね、と言って募金してくれる人もいたけど、大抵は
お願いしますーって言ってもみんな顔を反らして足早に去っていく。

暫くやってると、近くで男性がこっちを見てずっと立ってた。
特に気にしてなかったらいつの間にかいなくなってた。
んで更に暫くして、その男性が戻ってきて、封筒を差し出してきた。
募金有難うござい…と条件反射で言いかけて、その厚みに驚いた。

え?って顔で男性を見ると、
「俺もさ、ガキの頃、世話になったんだよね」ってニッて笑って募金箱に突っ込んでった。
慌てて遠ざかる背中にむけ、大声で「ありがとうございます!」って叫んだら、
振り返らずに片手上げてそのまま立ち去って行った。

別に俺らに向けられた好意って訳じゃないけど、自分の事のように嬉しかった。

 

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました