ほっこりする話 短編5話【8】
お前は血のつながりがないんだ
結婚したい子が出来た、とオヤジに言ったら数日後「大事な話がある」と言われ家族会議になった。
今までにない、真剣な顔で
父「実は、俺と…俺と、お前は血のつながりがないんだ」
俺「…うん、知っ…」
父「でもな! でも! 父さんは、いつだってお前を本当のムスコと思ってきた!」
俺「いや、うん。だから、知っ…」
父「お前は、俺のムスコだぁぁぁぁ!」
父、涙目。
母、号泣。
俺、呆然。
父「うん、わかるよ、いきなりこんな事言われたら… 混乱するよな… 黙ってて悪かった。うん。父さんが悪かっ…」
俺「知ってるよね?俺」
父「うん、そうだよな……… あ?」
俺「いや、だから俺。それ知ってるよ」
父「え?」
俺「え?」
嘘みたいだけど、本当の会話。リアルで 「え?」を言い合うとは思ってもみなかったw
オヤジは、母親と結婚する前うちの隣に住んでた。
3才くらいの時、母親に
「たーちゃん(オヤジ)が、パパになったらあっくん(俺)はどう?」
と聞かれたのを覚えてる。
俺は、確か「すごく嬉しい」みたいな事を言ったはず。
それを母親に言ったら、
「だって… あっくん小さかったし。絶対覚えてないと思って…」
と泣かれた。
オヤジは、そっか。知ってたか。
知ってて一緒にいてくれたのか。と泣いた。
危うく俺も泣きそうになったw
お父さんからのお手紙
結婚式の終盤、サプライズで新婦へお父さんからのお手紙が披露!
その手紙には、こんなエピソードが。
「小学生の頃、いじめに合っていて毎日泣きながら帰ってくる君。学校に行きたくないと、駄々をこねられ、厳しく叱ってしまったこともありました。
けれど、君の寝顔を眺めながらこの子だけは、何があっても守り抜かなくては。どんなことがあっても、この子の味方でいようと、頬を撫でて語りかけていました。」
と語った瞬間、ご新婦は顔を覆って涙されました。
その後の新婦からの手紙に、こんなエピソードがありました。
「私がいじめに合っていた頃、学校に行きたくないと言うと、お父さんに厳しく怒られたこともありました。
でも、泣きながらお布団に入ってしばらく経つと、お父さんはそっとやってきて、私のほっぺたを何度も撫でてくれましたね。とても安心して私は、明日も頑張ろうと思えました。
お父さんは、私が寝ていると思っていたと思うけど…本当は毎晩、起きていたんですよ。」
ママが帰ってくる日曜日
私が4歳の時、父と母は離婚した。
祖父母と同居していたため父が私を引き取った。
母は出て行く日に私を実家に連れて行った。
家具や荷物がいっぱい置いてあって叔母の結婚の時と同じだったので
「わぁ、嫁入り道具みたいだねー」
と嬉しそうに言ったのを覚えている。
家に戻ると母はドアの所で
「おばあちゃんちに又行かなきゃいけないの」
そう言った。
「いつ帰ってくるの?」
と聞くと困った顔をして少し黙り
「日曜日かな?」
と答えた。
疑いもせずに私は笑顔で手を振って送り出した。
日曜日がいつかも知らなかった。
それから私は祖母に日曜日がいつかを聞いては、玄関で待つ日々が続いた。
何回か繰り返したある日、母以外の家族全員が揃う夕食の時間に私は聞いてみた。
「あのね、ママが帰ってくる日曜日っていつだか知ってる?」
食卓が凍り付いた。それまでの笑顔が全く消えてみなが押し黙って目を伏せた。
「私、うっかり聞くのを忘れちゃったのよー」
と笑いかけたが、誰1人笑ってはくれなかった。
それ以来、私はママの話しは絶対にしないようにして・・もう30年が経つ。
結婚式にも呼ぼうとはしなかった。
今では1歳の娘と5歳の息子がいる。
先日、5歳の息子が
「ねぇ、妹と僕を産んだのはお母さんだよね?」
と聞いてきた。
「パパを産んだのはばぁばだよね? ママを産んだのは誰?」
「おばあちゃんよ、でもどこにいるかわかんないから会えないのよ」
「僕会いたいなぁ」
「どうして?」
そこまでは平気な受け答えだった
「ママを産んでくれてありがとうって言わなきゃ!」
(うん、会いたいねぇ)と言うはずだったのに涙が止らなくなってしまった。
ずっとずっと封印してきた言葉。
育てられないなら産まなきゃいいのにって思ったこともあった。
ありがとう息子。私はやっと素直になれそうだ。
とうちゃんのたまご焼き
この前息子の通う保育園で遠足があった。
弁当持参だったのだが、嫁が出産のため入院していたので俺が作ることに。
飯炊くぐらいしかしたことないのに、弁当なんて無理!
嫁にアドバイス貰ったり、弁当の本を買い朝5時から弁当つくりをした。
案の定不細工な弁当が出来上がった。
申し訳ないと思いながらもそのまま持たせた。
夕方子供を迎えに行くと空になった弁当箱と手紙を渡された。
字は書けないはずなのに
「とうちゃんありがとう」
俺の似顔絵付きで。
先生が言うには、午後の外遊びの時間に
教室にこもって手紙をずっと書いていたんだと。
帰りの車中で「なんか食べに行こうか?」と尋ねると「とうちゃんのたまご焼き食べたい!」と。
涙堪えるの必死だったよ。
よくここまで大きくなった
今度の土曜日に息子が生まれて初めての運動会wwwwwwwwwwww
昨日保育園からプログラムもろたwwwwww
先生曰く息子のやつ走るの速いらしいwwwwwwwwwww
しかもリレーの選手とかwwwwwwwwwwww
みwなwぎwっwてwきwたwwwwww
もう実家に電話しまくったwww
俺のオトンオカン気合い入りまくりwwwちょっと引くwww
もち俺の弟と妹も応援にくるwwwwww
たかが4歳のハナタレ小僧に応援に親族8人集合とかwwwwサーセンwwww
4年前。
息子は、生まれたときに肺に水が入っちゃって、すぐ大きい病院に連れて行かないと危ない、といわれた。
俺が生まれて初めて乗った救急車が、生まれたての息子の同伴。
正直わけがわからなかった。
ついさっきまで嫁と「やったね!元気な男の子だね!」って喜んでたのに。
救急車で片道2時間の距離を運ばれ、それから1カ月保育器に入っていた。
その1カ月は俺は自宅で、嫁は実家で、息子は病院で3人別々にくらしてたっけな。
寂しかったな。
そんな息子がついに運動会デビュー。
よくここまで大きくなった。
よくここまで元気になった。
順位なんて何でもいい。ビリけっつでもいい。
土曜日は父ちゃん一番大きな声で応援するからな。
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