開かずの間の箱
215 本当にあった怖い名無し 2008/06/28(土) 01:50:59 ID:50mGz1iqO
ガキの頃、毎年一回、夏休みに田舎のじぃちゃん家行くのが楽しみだった。
じぃちゃん家は築100年ぐらいの田舎の武家屋敷。離れはあるし、蔵もある。
ただ、気になっていたのが『開かずの間』があった事。
でっかい南京錠がかけられてる。
小6の夏休みに行った時、従兄弟と蔵でかくれんぼしてたら、偶然南京錠の鍵を見つけた。
たかが鍵やのに、桐の箱に入ってた。
早速開けて探検しよう!ってなって、従兄弟と2人、開かずの間へ向かった。
南京錠を外して扉をゆっくり開けると、いきなり、下りの石段があった。
明かりも無かったから、よく見えなかったが、2メートル程、下っているのが判った。
その時はビビって、明日の昼間に懐中電灯を持って、もう一度来よう!って事になって、その時は扉を閉めた。
次の日、懐中電灯を用意して、もう一度入った。
石段を二段降りただけで、足元に夏とは思えない、冷たい空気が流れた。
昔の食品保存庫?と思う程、ひんやりしてた。
石段は七段しかなくて、降りきると、横幅1メートル程の廊下が5メートル程あって行き止まり。どんつきに何かタンス?のような物が見えた。
従兄弟と「宝とか隠してるんかなぁ?」とワクテカして、懐中電灯で照らしながら近づいた。
そのタンス、変わった形で、扉は観音扉になってて、扉中央に丸い鏡が紙で張り付けてあった。
紙を破いて鏡を取らないと扉が開かない仕組み。
とりあえず紙を破いて鏡を取った。
扉を開けると中には木箱があった。そんなに大きくないが、以外と重く、和紙でグルグル巻きにされてた。
その和紙もカピカピで、指を引っ掻けて引っ張ると、簡単にポロポロ取れた。
早々に箱を開けた。
中身は灰?が入っていただけだった。指で灰を掻き分けても何も無かった。
「宝違うやん!」とか従兄弟と言いながら箱をしまい、観音扉を閉めて、立ち去ろうと振り向いたとき、石段に同い年ぐらいの少女が腰掛けて、こっちを見てた。
ドキッ!としたと同時に金縛りになった。
一瞬でその少女が幽霊だと解った。いや、それまで幽霊とか見たことも、深く考えた事も無かったが解った。
白い浴衣?着物?なぜか全体がモヤっぽい少女はジィーっと俺の目を直視してきた。
俺は取り敢えず心の中で『ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ…』と謝り続けた。
その少女は喋ってる訳でもないのに、俺の頭の中に直接?声が聞こえてきた。
『ナンデ…ナンデ…
ワタシダケ…ナンデ…ユルサナイ…』
みたいなことが頭にガンガンと鳴り出した。
金縛りに掛かりながら、俺はオシッコを漏らした。
太股に生温かい感触とアンモニアの臭いがツーンとした。
少女は石段からフワッっと浮き上がるように立ち上がり、スーっとこちらに向かってきた。
俺は心臓が口から出るほどドキドキした。
少女の顔、表情は怒りに満ちた感じで、目は見開き口は歯を剥き出し食い縛り、まるで野犬みたいだった。
少女が俺にぶつかる!ぐらいの時に、俺の後ろから
『キィー!キィー!キィー!』みたいな甲高い音がいきなり鳴り響いた。
と同時に、金縛りは溶け、少女も消えた。
振り向くと従兄弟が白目を剥いて、ヨダレをダラダラながしながら仰向けに倒れ、手足をバタバタしながら「キィー!キィー!キィー!キィー!」っと、叫んでいた。
その姿は、もう人間と思えないような感じで、俺は完全に腰を抜かし、「あ、あ、あ、あ、あ・・」ってなっていると、声を聞き付けた叔父さん(ジィちゃんの息子、従兄弟の親父)が駆けつけてきた
俺と従兄弟はすぐに病院に運ばれた。
病院に着くまで叔父さんが「バカタレが…アスコさ入っちゃダメだて何度もイットろうが…」とブツブツと涙ながらに言っていた。
俺は少女の幽霊を見た事と狂った従兄弟を見たショックで、体の震えが止まらず、声も出せなかった。
が、悲惨なのは従兄弟で、ずーっと「キィー!キィー!」と白目剥いて叫んでいた。
俺は1日で落ち着きを取り戻し、親にあの時の出来事を話したが、
「もう二度と思い出すな。忘れなさい。」と言われた。俺が言った話を肯定、否定など一切なかった。
病院から直で家に帰ることになった。
あれから十年以上経つが、従兄弟とはあっていない。親族の葬式や結婚式にも姿を見せない。
最近さりげなく親に聞いたが、やはりあれ以来少し精神がおかしくなってしまったようだ。
後日談だが、俺はずっとあの日の事が気がかりで、あの『木箱』の事を書物やパソコンで調べた。
が、あの鏡が『破魔の鏡』とか呼ばれる物で、悪霊や邪悪な物を寄せ付けない為の物、らしいのと、
あの箱は遺骨?という可能性があるのがわかった。
しかし、仏間があるにも関わらず、地下に、しかも開かずの間に幽閉してあることから、何らかの…
いや、これ以上はわからない…
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