あんとくさま
『あんとくさま』とはある平家の末裔である村で祀られていた蛇神様で、二位の尼と友に壇ノ浦に沈んだ安徳天皇の御霊が蛇神になって、村人に恐れられつつ祀られているというもの。
最後には大きな海蛇に人の顔がついたようなあんとくさまが村長を大きなお口でぱくりと呑み込み、津波に飲み込まれて村は滅んでしまったという話でした。夜刀彦という蛇神の子供だとか言われていた少年の身体には、蛇のうろこのような痣がありまして、最後には蛇の抜け殻のような皮だけを残して消えてしまったのです。
安徳天皇がヤマタノオロチの化身で、草薙の剣を取り返しにきたんだという昔の伝説話もありますし、そもそも夜刀という名も蛇のことを指していて、まさに蛇蛇尽くしのお話だったのですが、『あんとくさま』の顔が本当に怖かった。目とお口がぱっくりと開いてる。
未だに忘れられないある意味トラウマ漫画です。でも記憶が余りにも古すぎて微妙に話が『海神祭の夜』と混じってるような気がしないでもないでもない。
このあんとくさまで一般に有名なのが、諸星大二郎の『海神祭の夜』(妖怪ハンターシリーズは大層面白い)なのですが、わたしが昔読んでガクブルしたのはこの海神祭の夜ではないのです。
長谷川何とかという人が、同じくそういった土着の民間伝承や怪奇話などを超マイナーな雑誌に描いていたのですが、何でかタイトルもその雑誌名もよく思い出せない。あんとくさまでググってみても、やはり出てくるのは諸星版の方ばかり。それともウチが何か勘違いして海神祭の夜を別の話だとでも思い込んでいるのか。
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