『お盆の海』霊感主婦シリーズ|洒落怖名作まとめ

『お盆の海』霊感主婦シリーズ|洒落怖名作まとめ 短編

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お盆の海

 

ちょうど時期はお盆だったそう。
ここはホテル名については勘弁。静岡県内の海の見えるホテルとだけ。
スポーツ関係の施設のためにあるホテルで、値段などは高い方です。
あと、「ホテルであった怖い目」と書いたけど、よく考えたらホテルはあまり関係ないです。

ホテルに行く前に海水浴をしたそう。
メンバーは義父母、夫、自分、息子だった。
で、霊感主婦、実は海とか川、プールやダムなど水のあるところが大変苦手。できれば
避けたいと思う場所だそうだが、義父母が「孫ちゃん初の海水浴」ドリームでしぶしぶだった。
なお、お盆に海山に近づくなというのは彼女の実家の家訓(というよりどの地方でも言いますよね?)
だったので、本当に避けたかったそうだが義父はもともと聞く耳を持たない人なので本当に
しぶしぶ行ったそう。

海に着くと急に天気が荒れ出し、ほんの少ししか遊べなかったのでほっとして海を離れたそうだが、
その時から「なんか憑いてきた??」とうすうす思ってたらしい。
ホテルで部屋にはいると、いよいよ強まるその気配。
義両親と自分たちは別の部屋だったそうですが、仕事上の関係で義父と夫は宴会に行ってしまい、
義母は「気分悪いから寝てるわ」と言って、部屋には自分と当時二歳にならないくらいの息子だけ。
そのうち息子が「なむなむ、なむなむ」と言い出した。
彼女の息子は口が早く、二歳前にこのくらい言えてた。
なむなむとは、彼にとって神社、お寺、そして仏壇の事。
絶対やばいものが来てる、どうしようと思い、息子を連れてフロントまで行き、携帯で実家に電話したそうだ。

□ □ □

電話を取るなり、いきなり実家祖母が「お盆に海なぞ行くからじゃ!罰当たりが!」
と怒鳴られ、「多分ミサキじゃ。盆のうちは絶対にもう海に入るな。明日神社に行け」
と言われ、「今夜はどうすればいいの? 怖い!!」と言ったら、
「息子(祖母からはひ孫)は大丈夫。問題はお前。・・・酒かっくらって、塩かぶって寝てろ」
と言われたそうだ。そして「プールも駄目だ。とにかく水の多いところには行くな」と。

その晩は一晩中、雷が鳴ったり暴風になったり、気持ち悪かったそうです。
何より、「何か」が近くにいるという恐怖。
ただ、部屋に塩をまいたら部屋からは出たそうで、窓の外(海が見える)に行ったそう。
息子はそっちにむかってしきりと「なむなむ、なむなむ」と言い続ける。
息子は疲れもあってすやすや寝たが、彼女はいくら酒を飲んでも寒気が収まらず
気分が悪かったそう。ごろごろ転がるワインの空き瓶とビール缶とカップ日本酒・・・
寝ても、すぐに「何か」の声や気配で目が覚め、夜が明けるまでろくに眠れなかったそうです。

「雷の光で一瞬、カーテンにそれの影が映るのよ。なんか、人を集めて凝縮したようなものに
手足が生えていて。あと何人かは解らないけど引きずる相手を探してた。もうそれだけで
怖いのに。もう、何で私なのよーと思ったわ。」と。
「なんか昔読んだ漫画だか、妖怪関係の本の挿絵を思い出したけど、それが何の本だったか
わかんない、でもあんなだったのよー!!」
流石、霊的な事に近づくのは嫌なのに本や漫画、ネットは平気なんだなーと妙なところで感心した。
「お盆に海。科学的にも理由はあるんだけどね。・・・あの物体は科学では証明できないかと
何度も考えているけど、恐怖による幻影と信じてる・・・てか信じたい!」と。

□ □ □

翌日、観光がてら御前崎の方に行く予定だったが、急遽法多山に変更したそう。
(本当は御前崎近くの「猫塚」というところに行きたかったらしい。猫好きだから)
神社じゃないじゃん、と言ったら「ここまで来たらもう一緒でしょ。てか、神社思いつかなかった」と。
まわりはぶーぶー言ったそうだが、「とにかく私は神社か寺に行きたい!」とそこは通したそう。

その後、気配は全くなくなり次の一泊は気分よく過ごせたそうで。
「まあ、義父母の方も妖怪並にやだけど、どーせならそっちを(ry」とぽつりと言った彼女。
そもそもあれほど海に入るのが嫌いな彼女が子供のために海に入る羽目になったのも
この我が儘義父母のせい、と、夫をかなり責めたそうです。
「怖いって事は、私は海の“もの”が苦手だからなの!!解ったか!!」と。

主婦の祖母は「ミサキにつれていかれんで良かった。」と言ったが、その日、サーファーがその
海岸付近で死んだらしい。荒れてきたのにまだサーフィンをしてたそうで。
「お盆は地獄の釜の蓋が開く。そんなことしらん○○さん(義父母の名字)は馬鹿じゃ。
自分の孫を危険な目に遭わせるなんざ、いまに天罰が下る」と真剣に今でも怒ってる。
その義父母については、主婦曰く、「あー、霊でもあれには勝てないでしょう」という超くせ者。
「でも、逆にああいう人には憑きにくいかもね。残念。霊や妖怪には是非、ああいう人にこそチャレンジ
して欲しいわ。怖がる人に憑くなんて酷いよね!いじめだよ!」と口走ってた。
霊より、義実家との関係の方が怖いのかもしれない。

以上です。

□ □ □

 

新盆の地域はその後海開きだからよくわからないけど、
旧盆(八月中旬)以後は海山だめって言うのはよく言うと思ってた。
科学的には、海は土用波とクラゲが増えるから危ない、山はそれ以降は
天候の変わりやすくなる日が増えるからだと勝手に思ってたよ。
昔の人の知恵というのか。

「地獄の釜の蓋が開く」もよく言う言葉だと思ってたけど、周りに聞いたら
「知らない」とか「田舎のじいちゃんが言ってた」とかまちまちでした。
知らない人が多いのかな。ていうか、もしかして地方性のある言葉?

 

□ □ □

前の書き込みで解ると思いますが、彼女は千葉の人です。
私は東京だけど、お盆に海山駄目は聞いていた。
地獄の釜の蓋云々も知ってた。
父は上越、母は東京。どっちも言ってたです。

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