『戦前 病院での悲劇』『丑の刻参り』『スーツ姿の渓流釣り』|洒落怖名作まとめ【短編・中編】

『戦前 病院での悲劇』『丑の刻参り』『スーツ姿の渓流釣り』|洒落怖名作まとめ【短編・中編】 中編

程よく読みやすい長さの中編怖い話をまとめています。

スポンサーリンク

怖い話 中編 全3話

 

 

戦前病院であった悲劇

おそらく呪いとかそういう類のものになるのか?
イマイチ記憶が定かではないんだが…思い出しつつ書いてみようと思う。

うちの祖母さんは、元看護婦で、戦前 病院に勤めていたらしい。
当時は今と比べて、死人の数が半端なく、死んだ人からナースコールとか窓の外の人魂とか
よく聞く病院の心霊現象が、本当に日常茶飯事だったそうな。

そんな訳だから、祖母さんは幽霊はいるものだと、よく子供の頃の私にそういう類の話をしてくれた。

これはそんな中でも、1番悲しい話として、聞いたものだ。

祖母さんが新米看護婦だった頃、同期に、もうすぐ同じ病院の院長の息子と結婚する予定の、とても綺麗な看護婦さんAさんがいたそうな。
ところが、その医者に横恋慕していたのが、婦長。

 

ところがその婦長とAさんがとある患者さんの処置にあたった時、婦長は、Aさんへの指示を間違えて、今でいう医療ミスを犯して、患者さんを死なせてしまった。

ところが、婦長は、自分はそんな指示をしていないの一点張り、Aさんは懸命に自分の無実を訴えたが、ベテランの婦長とAさんとでは、当然婦長の言い分ばかりが通り、Aさんの主張は結局聞き入れられず、Aさんはその場で発作的にオキシドール?か何かの原液を服用して、自殺してしまった……止める間もなかったそうだ。

美しかったAさんの、見る影もないほど、喉が真っ赤に焼け爛れた無残な死に様に、祖母さんたち同期は、悲嘆に暮れながらも、それ以上は成す術なく、身寄りのなかったAさんを、仲間うちだけでひっそりと弔った。

何年かして、婦長とAさんの恋人だった院長の息子が結婚し、婦長はこの病院で出産した。

ところが、生まれた子供は……ぱっくりと、喉まで口が裂けていた。
口咳裂という病気……ようするにうさぎ口だったようだ。

祖母さんたち看護婦はそれを見て、あっと思ったらしい。

その様子はまるで、劇薬を飲み、喉が焼け爛れて亡くなったAさんそっくりだったという……。

結局、その子供がどうなったのかまではわからない……祖母さんが話したがらなかったからだ。

作り話かと思われる方も少なくないだろうが、この話をする時、いつも祖母さんは、涙を流していた……。
その涙は到底作り話で孫を困らせるための嘘泣きには見えなかった。

 

丑の刻参り

これは前に兄貴と一緒に、丑の刻参りで有名な神社へ行ったときの話しです。

その神社はとある山をしばらく登って、真っ暗な枝道に入り、しばらく歩くと突然現れました・・・。

境内には街灯が点いていたのですが、青白い光を放っていて逆に不気味でした。
僕たちは社の裏側にあるという問題の木を目指して奥へと進みました。

社の裏側は街灯の明かりも届かず、僕らは懐中電灯で辺りを照らしましたが、そこには無機質に木が並んでいるだけで問題の木らしきものは見つかりませんでした・・・。

やっぱり単なる噂かぁ~と思い、引き返そうとした瞬間

ガサガサガサガサガサガサ!!!!!!!

・・・木々に囲まれた奥の暗闇から、
何かが物凄い勢いでこっちに向かってくる音がしました・・・。

!!!?

 

兄貴と目を合わし、何も言わずダッシュでその場を去り
境内を駆け抜け、鳥居を超えたところで

二人同時に足を止めました・・・。

噂によると、丑の刻参りをしてる人は、その姿を他人に見られてはいけないらしいのです。
もし見られたら、その呪いが自分に降りかかるそうで、それを食い止めるには・・・

その目撃者を殺すしかないとか・・・。

んじゃばっちり見てあげましょう!!w
ってことで、僕たちは社の方を見張りました。
社~鳥居までの距離は約20m・・・安全距離だろ♪

なんて思い、じっと社の裏から出てくるであろう何かを
期待しながら待っていました。

ガサ・・・ガサ・・・ガサ

この神社は山奥にあり、境内に街灯が点いているといっても
神社の周りは、深い暗闇に包まれていました。

ガサ・・ガサ・・ガサガサ

その足音は・・・

ガサガサ!!ザッザッザッザッザ!!!!!!

その暗闇の中からこちらへ走ってきました・・・・。

こりゃ~世界狙えるんじゃね?ってな位の猛ダッシュで僕らはその場を後にしました。

もう途中で立ち止まって、何かを確認しようなんて微塵も思いませんでした・・・。

 

 

スーツ姿の渓流釣り

釣り雑誌のライターさんから聞いた、という話を友人から又聞きした話です。

青梅街道で奥多摩を抜けて、ご存知のおいらん淵のほんの少し手前に川の合流があります。
一ノ瀬川という支流で、この合流からしばらくの間は、ゴルジュという谷と言うよりは垂直の崖の間を流れるような川です。

町谷さんという、主に渓流釣りを楽しまれている方が居りまして
「人を寄せ付けない場所であれば、さぞ魚も釣れるだろう」
と、止せば良いの合流から川に入り竿を出したんだそうです。

ところがさっぱり魚は釣れない。
川から出るにも両岸とも高い岩壁、嫌々ながら遡行を続けました。

一ノ瀬川にも更に幾つかの支流があり、大常木谷という沢が流れ込んでいます。
釣りのポイントとして実績があり、沢登りでも人気のある川ですが、やはり険しい場所。
滑落などで少なからずの死亡事故が発生している”悪渓”と呼ばれる沢です。

良いポイントではあるものの、単独行では危険と判断し、この合流には入退渓できる箇所もあるので、別の川に移動しようかと考えたそうなのですが。
どういうわけかここから急に魚が釣れはじめる、それも良好なサイズの魚がかかる。
その先は再びゴルジュとなりますが、そのまま一之瀬川を釣り上ることにしたそうです。

 

相変わらず釣果は絶好調。途中3mほどの滝があり、ここでこの日一番の良形を手にして大喜び。
更に大物をと滝を越えると、上流に先行者いることに気がついたそうです。

竹の和竿を振り、一目で上手とわかる所作ではあるものの、その出で立ちはスーツにビジネスシューズ、ハンティング帽という異様なものでした。
とは言え釣りの腕前は相当のもので、次々と魚を釣り上げていく。
普通なら徐々に上流へ移動しポイントを変えて行くものですが、スーツの男は全く移動せず、同じ場所で釣り続けていたそうです。

渓流釣りの場合、先行者を追い越して先へ行くという行為はマナー違反とされているのですが、先行者が移動しないような時は断りの上で、先へ行かせて貰う事ができます。
町谷さんはかなり不気味だと感じたものの、上流に入らせてもらう為に「こんにちは、今のは良い魚でしたね」と声をかけました。
その時、スーツの男は町谷さんに背をむけてしゃがんでおり、針でも外している様子だったと。

「尺はあるでしょう。お上手ですね」と続けて話しかけたもののスーツの男はしゃがんだまま無言。
耳が不自由なのかなと、視界に入るように男の右側へ出ると、男は顔を背けて町谷さんを見ようとしない。
でも、男が何をしているかは分かったそうです。

 

標本用のガラス瓶に、魚を押込んでいる。
それも一匹二匹ではなく、魚の原型が無くなる位にぎっしりと詰め込まれている。

やはりまともではない、係わり合いになるのは止そうと、「お先に」とだけ言って男の脇を通り過ぎたそうです。
男は町谷さんの動きに合わせて背を向け、やはり顔を見せようとしなかったそうですが、その間も魚をビンに押込んでいるようだったと。

10mほど歩いたところで、男が気になった町谷さんが振り返ると、男は居なくなっていたそうです。
両岸は10m近い高さの岩壁、下流には滝と、容易に脱渓できる場所ではなかったそうですが。

後日、町谷さんは釣り仲間同士の飲みの席で、「奥多摩にこの人あり」と言われる重鎮と会われた際に、このスーツの男の話をしたそうです。
この方は、かなり細い支流や沢に至るまで踏破し、雑誌連載を持ったこともある、奥多摩の主のような方だったそうですが、町谷さんの話を聞き終えると

「町谷さんも見ましたか‥」

とだけ、呟かれたそうです。

 

追記

河童じゃないけど、お話の場所からさらに上流に集落とキャンプ場があって、管狐って妖怪の伝承はあるんだそうです。
丹波山から流れてきた修験者が、一之瀬に管狐を持ち込んだ事で、村人が何人か死んでしまった。っていう話みたいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました