『山の神様に嫁ぐ』|洒落怖名作まとめ【田舎の怖い話】

『山の神様に嫁ぐ』|洒落怖名作まとめ【田舎の怖い話】 中編
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山の神様に嫁ぐ

 

酔っ払ってるし、携帯からで文がおかしくてすまん。
合コンでひょんなことから改名の話になったんだが、偶然そのメンツに改名をしたことがある奴が二人いたんだ。
一人は、勝手にお祖父さんだかに届けを出されて、キレた親が改名手続きをした。
もう一人は、地元の山の神さまに嫁いで、それまでの名前が使えなくなったから。
因みに後者が自分。

これ、私の地元じゃ割と普通だったんだけど、(私と同時期に改名したこいるし)
今回のメンツは、はじめて聞く話だってドン引きされた。
地元のマイナーなお祭りだからってごまかしたけどさ。
何が死ぬ程怖いって、明日から変な噂がたちそうなのがこわいよ。

風習があったとしても、普通簡易化するか廃れるもので、実際に改名まで行く事はやはり珍しい。

別にイケニエになる訳じゃないし。
ただ、その山に関係する職種の家(うちは林業やってる)から産まれた娘さんが、
幼稚園くらいの時に形だけ嫁ぐ。
神さまが気に入った嫁さんは、第一婦人みたいに何度もそれに参加させられる。
私も中3まで出てたんだが、何でか嫁さんやってる間は初潮が来なくて、それが一番怖かった。

なんかしらんが、嫁さん候補の子はみんなナントカ姫っていう恥ずかしい名前だったよ。
嫁ぐ時期とか世代的は神さまの気分しだいらしくてランダムだから、
バアちゃんの子供の頃は、毎年あった時もあったんだってさ。

お告げっていうか、迎えみたいなのが来る。
だいたい山開きの前くらいに、幹事っていうか取り仕切ってる神主さん所に、オツカイとかいうのが来る。
嫁さんに選ばれたこの家には、鹿とかフクロウがうろつくんだけど、
ジジババが言うには、介添人みたいなんだって。

オツカイってのは、何かは知らないんだ。
神主さんの家の秘密なんだって言われてたし。

ナントカ姫ってのは、嫁候補の家に娘が生まれると、だいたいその名前をつけられる。
でも、親から実生活に困るからって、戸籍上はミキとかユキとか普通っぽい名前になってた。
ただ、正式?にはナンタラカンタラヒメみたいな名前で、だいたい頭の漢字とか音に姫ってつけてた。

あと、あくまで嫁さん候補の家は、代々その山から生活の糧を貰ってる家系ってのが重要らしい。
だから、家業畳んでよその土地に行ったりもする家もあったってさ。
だからこのあたり普通に、古くからあるお祭りとかお祝い事感覚だったよ。

嫁達の名前は、真名っていうか使い分けの名前込みで『神さまの嫁になる娘』って意味があったから、改名した。
神さまの嫁じゃなくなった時点で俗世に帰るから、改めてこっち用の名前にするんだってさ。
じゃないと、余所の土地だか家だかの神さまに、
メシアゲ(神さまでも再婚でもいいのかはしらん)されるとか言われた。

あと、嫁さん候補で選ばれなかった娘さんは改名しなかったけど、
ナンタラカンタラヒメって名前は、山に返すとか言ってた。

山神さまの嫁ってだけで、昔は存在に付加価値がついちゃってたらしく、
バアちゃんやその位の世代の嫁たちが、それで拉致られたことがあったんだって。
バアちゃんはオハシラ?オバシラ?だかの家に、騙されて連れてかれたらしいよ。

良いことは、嫁入りの時の着物がキレイで嬉しかった事が一番かな。
あとは、その山では身内の事故がない事とかそのくらい。
(林業やってると怪我が多いけど、血が流れる怪我がほとんどない)
自称霊感のある子からは、「一生悪いものに憑かれない位守られてる」とか言われたけど、実感はない。
物質的な良いことは殆どなかったけど(笑)

デメリットは、嫁はいくつになっても初潮が来ないとか、
(生理が来ると、完全にこっち側の存在になるんだって)
改名の手続きとか。
あと、昔はさっきも書いたみたいに、存在に付加価値がついちゃって、拉致だの望まない縁談があったくらい。

>>334
オハシラは、氏神さまみたいなのらしいよ。
バアちゃんは、その家に騙されて嫁がされそうになったんだってさ。
しかし、バアちゃんその時まだ小学生くらいだったから、色んな意味でヤバかったらしい…

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