『邪霊の巣窟』|厳選 怖い話 まとめ

『邪霊の巣窟』|厳選 怖い話 まとめ 厳選

肝試し当日の夜、自分は少し後悔していました。
皆を無理にでも止めるべきだったかもしれない・・
Aが行ってるのに自分は怖いからという理由で行かないなんて最低ではないのか?・・と。

自室で悩んでいると下の階から電話が鳴り始めました。
両親が中々電話を取らないので自分が電話に出ると・・、
「あ!!T?Aが・・Aが・・大変なんだよ!!とにかくすぐにきて!!」電話はRからでした。
「大変って・何がおきたの?Aはどんな状態なの?」
「とにかく助けて!!今神社なの!1早く来て!早く!!」

自分は最悪の事態になったと思いました・・。
自分が臆病なせいでAが大変なことになったと激しく後悔しました。
もう恐怖心よりAのことが心配でたまらなくなり、神社に行く決意をしました。

しかし自分一人が行ってもどうも出来ないかもしれない・・・。
自分は少し悩みましたが両親に相談することにしました。
初めからこうすれば良かったのですが。
言えばMとかに大人にいいつけた卑怯者と罵られ皆に・・Aに嫌われる。
そんな自分勝手で自己保身的な考えで言えずにいました・・・。
自分は自己嫌悪な気持ちでいっぱいでした・・・。

本当は兄に相談したかったのですが、兄はあの事件の後も霊現象に襲われていました。
どうやらあの事件の影響は兄のほうが深刻だったらしく、
退魔士関係の本山(どう表現したらよいのか解からない為、とりあえずこう呼ぶことにします)で
浄化されることになり今はいないのです。

兄は出発時に。
「俺はあっちに行くからこれはお前が持ってな。一つより二つの方が効果あると思うから」
とお守りを渡してくれました。

両親に言うと二人は物凄く慌てて
「町の人たちを集めてあの人たちに連絡しよう。お前は絶対に家から出るなよ!!」と言ってでていきました。

しかし自分もAや皆が心配でたまらなかったので一足先に神社へむかいました。
しかしその時気づけばよかったのです。
自宅の電話番号はAから聞いたりクラスメイトだから知ってても不思議じゃありませんが・・。
どうやって神社から電話をかけた?

あの頃はまだ携帯もそこまで普及しておらず、クラスの皆は誰ももっていませんでした。
入り口の鳥居にたどり着いたものの、その不気味な雰囲気はそのままで
入るのに躊躇してしまいましたが意を決して入りました。

恐怖に震えながら進んでいると、あの悪霊たちが姿を見せないので不思議に思いました。
神社の境内は静かなものでした。
いや・・静かすぎたんです。

何か起こっているなら皆の叫びなり悲鳴なり聞こえてくるはずです。
さらに進むと誰かが座り込んでいるのが見えました。よく見てみるとAでした・・。
自分はすぐに駆け寄って

「A!!大丈夫?何があったの?皆は?」とAの肩を抱きながらききました。
「あ・・T・・。う・・うう・・」とAは泣き出してしまいました。

「一体何があったの?怪我とかはない?皆はどこにいったの?」
「わかんないよ・・しばらく歩いていたら皆急に無口になって先に行っちゃって・・
追いかけようとしたら転んじゃって・・いくら叫んでも答えてくれなくて・・
そしたらへんな子供が出で来てここまで引っ張られて・・・」
自分はそれを聞いてまずいと思いました・・。

あの時と酷似してる・・とあの電話の事もその時気づきました。
とにかくAを連れてここから出よう・・そう思って振りかえると・・。
子供が2~3人こちらを見つめていました・・。

しまった!!と思いAを立たせて逃げようとして気づきました。
その子供たちは表情があの時の子供と違うんです。
怒った顔でこっちをみていました・・。

「あの子たちだよ・・私をここまで引っ張ってきたの・・・」
Aが涙声で言いました。

「帰れ」
「ここから早くでていけ」
その子供たちが自分らにそういいました。

どうして?と自分が子供たちを見ていると・・。
知ってる・・俺はこの子たちを知ってる・・。
そう感じた瞬間・その子たちが誰かわかりました。

あの時巻き込まれた兄の友達でした・・。
「あぁ・・そっか・・そうなんだ・・君たちがAをここまで連れてきてくれたんだね?
今、悪霊から守ってくれてるんだね?」
自分は泣いていました。

そしてAに
「あの子たちは大丈夫だから・・今のうちにでよう・・・大人たちも後でくるからそれから皆をさがそう」
と言って落ち着かせました。Aは素直に頷き歩き始めました・・。

ところがいきなり周りの空気が変わったのです。Aもそれに気づき足を止めました。
そして周りを見ると・・悪霊たちが自分たちを取り囲む様に立っていました。

「ひっ!!」
「きゃああああ!!」
ほぼ同時に悲鳴を上げその場にへたり込んでしまいました・・。
あの子達が抑えていてくれたのが限界がきてしまったのでしょうか?
自分たちはお互いを抱き合い恐怖に震えるしかありませんでした・・。

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