『邪霊の巣窟』|厳選 怖い話 まとめ

『邪霊の巣窟』|厳選 怖い話 まとめ 厳選

自分たちとMはしばらく睨み合ったままでした。
おそらくMは自分たちに襲い掛かろうにも、ご神体が邪魔して入る事は出来ないのだろうと思いました。

自分は二人の盾になるように前に出て、AはEをしっかりと抱きしめていました。
そして朝になればMの力も弱まり、駆け付ける退魔士たちに今度こそ浄化される・・・。
Mはそれを解っているかの様に自分たちとご神体を凄い形相で睨みつけていました。
そして何かを口走り、真っ黒な目で自分とA、Eを交互に睨みながら消えていきました・・・。

朝日が昇っていたのです。
自分は終わった・・・と安堵しました。
Aは泣いていました。
Eは・・・・寝ていました。

しばらくして兄たちが駆け付けて来て改めて浄化を行う事になりました。
相手が相手なだけにかなり手こずってたみたいですが無事浄化が終わったと告げられました。
そして自分たちはご神体の部屋に呼ばれて今回の事、
そして前回の事件の発端と真相を語られる事になりました。

まずMですがあそこまで魔物化してしまうと、浄化や浄霊は不可能との事で
消し去るしかなかったと言われました。魂の消滅。
それは前世から続いてる魂をなかった事にされあの世にいく事はおろか、
生まれ変わる事も出来ない、本当の死。
これ程恐ろしい事はないと思いました。

そして前回の事件でMは変死だと聞かされてましたが、真相は自殺だったそうです。
クラスメイトの怪我もMの仕業だったと言われました。
あの悪霊たちをあの時操っていたのがMだった事も
始めから自分をAを標的に計画された肝試しだったらしいという事も告げられました。

Mを浄化した時に全て解ったと兄は言っていました。
Mは自分に些細な事から恨み(この時はまだ小さなものだったらしいです)始めたという事でした。
それからは何かと自分とMを比べて殆ど逆恨みに等しい恨みになっていき・・
腹いせに自分の彼女(A)を取ってやろうと思い、言い寄った事があると言う事でした。
これについてはAからも聞かされた事があります。

しかしAは全く振り向かず、次第にMはAに本気になっていったらしいのです。
でもAが全く振り向かない為、段々と憎しみに変わりやはり恨みの矛先を自分に向けたという事でした。

そんな時にあの神社の事件に自分が関わっている事を知ったMは
(おそらく大人たちが話ているのを偶然聞いたのだろうと言っていました)あの神社へ行き、
あの大木に「Tを呪い殺せ」と叫びながら藁人形に釘を打ち込んでいたと言うのです。

神社の悪霊たちはMを取り込もうとしたけど、あまりの怨念の凄まじさに逆に、
利用される形になってしまったと・・・・。
そしてMは自分自身が悪霊になって俺を取り殺し、Aを自分の元に引きずり込もうと
最悪の決断をしたのだそうです。

他のメンバーはただの生け贄程度にしか考えていなかったそうです。
最初はAも他の人もろとも殺そうと考えましたがお守りや兄の友人に邪魔されて
急遽自分を偽の電話で呼び出す事にしたそうです。

あ、重要な事を言ってませんでした。
肝試しが始まった時はMはすでに死んでいたそうです。
大木に打ち付けてある自分に見立てた藁人形を睨みつけている様に首を吊っていたとの事でした。
(だからあの時自分だけが見ない方がいいと言われたのでしょう)

悪霊を使役して自分たちを取り殺そうとしましたが、お守りがあった為に上手くいかず
悪霊を神社の外にでれる様にしたりして手を加えましたがあの時、
自分たちは見えてなかったけど兄の友人たちが必死で自分たちを守っていたと教えられました。

そしてお守りが身代わりになる様に弾けた為、その力で神社に押し戻されたという事なのです。
そして浄化の際には大木に身を隠して浄化されたと見せ掛けて怨みを募らせながら機会を伺っていた・・。
そこにEを見つけたMが再び行動を起こしたというのですが。
今度はかつて自分が利用しようとしたご神体に阻まれその憎悪に終止符を打たれたという事でした。

自分はなんて言っていいのか解りませんでした。
自覚なかったとはいえ自分が発端になっていた事を知りショックを隠し切れませんでした。

「そっか・・・だからMは消える間際に・・・」
他の二人はよく聞こえてなかったらしいのですが自分にはハッキリと聞こえていました。
「なんで・・・どうして・・いつもお前ばかり・・」

自分は泣いていました。
巻き込んだ人に対して、Mに対して、申し訳ない気持ちと自分に対しての怒りで泣きました。
「もう終わったんだよ?大丈夫、大丈夫だから」
Aも泣きながらそう言いました。

「パパ、ママ、どこか痛いの?さっきのお兄ちゃんになにかされたの?」
Eが心配そうに見つめていました。自分は二人を思い切り抱きしめて泣きました。
もうあの悪夢は終わった・・・・。そう思い自分は罪悪感と安堵感に包まれていました。

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