黒い石と白っぽい石
親友とも言える友人は山登りが趣味でよく山に登っては頂上付近の写真と頂上付近の石をお土産にくれる
なるべく綺麗なものを探してるという友人の言葉通りとても綺麗でインテリアにも最適だった
自分はその石を棚に並べて「コンプリートガチャ石編」とかやっていた
そんな石土産もダブリや山なのか?っていうような標高のものも増えてきたころ
友人が珍しく2個の石をくれた
真っ黒い石と白っぽい石だった
友人曰く普通の石だそうだがなーんか霊感0の俺にもちょっと家に置くのはキツくね?っていう感じになってた
見た目は綺麗な丸石だけど
友人にはサンキューと伝えて受け取りコレクションのとこに突っ込んでおいた
その後ラップ音がするでもなく何がくるわけでもなく1年くらい立った
友人ともたまに飲みに行くような良好な関係だったし石のことも半ば忘れていた
そんなある日大学時代の友人を久々に家に迎えると入った瞬間「おい….お前なにやってんの」なんて突っ込まれた
「無修整のあれならもうやめたぞw」
「いやそんなもんじゃないよ、呪いとか興味あったのお前?やめろよな….」
なんて軽蔑の目で見てきた俺はわけもわからずに本当にわからないということを訴えると半信半疑ではあるが信じてくれて
「んじゃあちょっとそれ見せてくれない?」
と俺の石コレクションを指差してきた
もちろん断る理由もなく友人に見せたらうっわーなんて声を出して俺に突き返してきた
親友の石をうわーなんて言われたのにちょっとムカついて
「さっきからなんだよ!ちゃんと説明しろや!これは○○が山に登って拾ってきた石だよ!なんか悪いことでもあんのかよ」
と大学の友人に言ったところ真剣な顔で
「それどこの山?もしかして△山?」
「えーっと…いやかなり前からいろんな山で拾ってきてるからわからんけど…」
と言ったところで俺は△山に聞き覚えがあった
元々地元の山ではあるのだが
「そういえば….この石とこの石が多分△山で拾ったって言ってた気がする」
「あぁ…やっぱりそうか」
黒い石と白っぽい石を指すとそういった
「なに?これがなんか悪いの?確かにいい感じはしないけどさ」
「これ盗品だよ、拾いもんじゃない絶対に」
「は?何でそんなことわかるんだよ」
「俺の出身学部は?そして俺の親父の職業は?」
この友人は仏教学部こいつ自体は葬式関係の職業だが親父さんはお坊さんそれをハッっと思い出した
大学の友人曰く
別に専門でもないし扱ってもいないが実習とかでお寺にいくとそういうものを見かける機会はあるし親父さんから見せてもらったこともあるがこういうのは絶対に落ちているようなものじゃない
多分山のお寺や祠などにあったものだろうと言った
俺は親友が窃盗をしたなど信じたくはなく何かの間違いだと反論していたが
「お前今仕事ないよな?(無職ではなく仕事がまったくない月がある)ちょっと今からうちの実家こいよ」
と言われて親友のの汚名を晴らすべく石を持参していくことにした
友人の家自体は普通の一軒家で何回かいったこともあり近くの駐車場に車を停めて友人と共にいくと何故か大学の友人親が家の外にいた
どうやら大学の友人が先に電話していたようだった
「お久しぶりです」
「久しぶりだねー夕飯でも食って行きなさいっていうところだけどそれ話の通りまずいねー」
なんて石を取り出す前に言われてビックリした
「石のことですか?」
「うん、正確には一個もうほとんど石じゃないけどね。怖いわーこんなんひさびさにみたわー」
親父さん軽く笑いながら言っていたが俺は親友の汚名を晴らすべく親父さんと話そうとしたが
「うーん、これ自宅に入れたくないな….しょうがない職場に行こうか」
「お寺ですか?いいんでしょうか?」
「うんーあんまり行きたくないけどねーww」
不良坊主とはこういう人か…と再認識
お寺につくと本堂ではなく集会場の方へ連れていかれそこでお茶を飲みながら話をしてくれた
「本堂ではないんですか?」
「こんなもん入れたら上の人に激怒されるよw」
「こんなもんって…ただの石では?」
「うん、石だね でもこれは石っていう区分にするにはちょっともう力が強すぎるんだ」
「力?パワーストーンとかいうあれですか?」
「うんそうだよ 石っていうのは少なからず力を持っているんだ もちろんコンクリートとかじゃなく自然石ねw」
「もちろんです」
「それに山っていうのは力を集めやすいんだ、山信仰ってのは昔からあるように山っていうだけで信仰対象になる、信仰の対象になるってことは力が集まる 何となくはわかるだろ?」
「正直なんとなくとしか….」
「まぁそんなもんだよw」
親父さんは石を指差して
「だけどねたまーに形とか場所とか色とかいろんなものが重なって異常に力が強くなるものがあるんだ だけどそういうものは大抵人が入りにくいとこにあったりするんだ、人が入りにくいとこには神聖性が生まれるからね」
「は….はぁ」
「うん、だからこそ祀られたりするんだ でも問題はこれのように力のある石を人為的にダメなことに使おうってのが困るんだ」
「ダメなこと?」
「いわゆる呪いとか呪術ってやつだね」
「呪術ってブードゥーとかのあれですか?」
「なwんwでwブードゥーw」
ゴルゴ13でブードゥーの話があったのを覚えていた
「じゃあこれは呪いのものなんですか?」
「そそ、多分結構殺してるね」
俺はいきなり話が物騒になった
「殺しですか?」
「詳しくいうと殺しの手伝いだけどね かなり古いものだし….うんまあうちで預からせてもらおう」
「あ…はいありがとうございます」
そこで親父さんの顔が真剣になり
でこの石をくれた人って今ご存命?と聞いてきたもちろん存命だし連絡も取れるというと
「近いうちにここにきてもらえるかな?近いうちというかもう明日でもいいからなるべく早い方がいいな」
「何ででしょうか?」
「早くしないとその人まずいかもよ?」
は?まずい?
「命がっってことでしょうか?」
「うーん、命がってわけではないがいろいろ良くないからさ 明日ってのは言い過ぎだけど早めにね?んじゃー」
とりあえず親父さんに礼をいいその場は終わった
その後仕事場で事故があったりして親友に連絡したのは1週間ほどたったあとだった
「久しぶりー生きてる?」
「元気だぜ 飯の誘いか?」
「いやちょっと話があってさ、お前だいぶ前に俺にくれた△山の石っておぼえt」
「いや知らんよ」
「え?でもおまえがくr」
「しらねえってしつこいぞ 飯にいかねえなら明日仕事だし切るぞ」
「ちょっまっt」
切られた
本当に意味がわからんかった
しかしあいつが何か知ってることは確実と思いながらも連絡手段は電話しかないしどうしようもなかった
その後俺が聞いた友人の続報は葬式の案内だった
山の事故で死んだと聞かされた
葬式は昔からの友人が集まり粛々と進められた
その後飲み屋で同窓会ではないが中のいい奴らで飲んでいたところ友人の一人が妙なことを言い始めた
「しかしなぁ…お前よく葬式にきたな」
「え?なんで?無職じゃないぜw俺」
「いやお前あいつに相当嫌われてたぜ?散々あいつからお前の悪口聞かされうんざりしてたんだよ」
他のやつも
「お前もか俺もだいぶ聞かされたよ…」
俺も俺もなんてその場にいた5人くらいが俺への悪口を聞かされていたようだった
寝耳に水であり本当のこととは信じられなかったが俺への相当きつい罵詈雑言が書かれたメールを見てぞっとした
どうやら真相は親友は山で拾ってきた石に恨みを込めて俺にくれていたようだった
メールにそんなことが書いてあり判明
恨まれていたなど全く思っていなかったし恨まれる要素も思いつかない
それよりもそこまで恨まれていたのに飲みに行ったり結婚してーなんて愚痴りあってた裏でそんなことを思われていたなんて俺は背筋が氷便所に駆け込んでゲロッた
山に行くのも途中からは呪いの触媒を探すために行っていたようだった
だからこそ登るかいも無いようなところまで遠征していたと
その後あの1対の石は△山のお寺に収められていたものでその後もとにあったところに収められたそうです
俺は今でも山には登れません
黒い石と白っぽい石 終
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