『白いワゴンR』|洒落怖名作まとめ【長編】

『白いワゴンR』|洒落怖名作まとめ【長編】 長編

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白いワゴンR

 

21才の時に、叔父から頂いた車(軽)が故障し、廃車を余儀なくされてしまったので、
産まれて初めて自分の金で車を買わなきゃいけなくなったのですが、
当時結婚していた私は、嫁と話し合った結果、予算は100万以内に抑えようと決まりました。
何にしようかな~と自動車の雑誌を眺めていると、突然頭の中に白い車が浮かんだのです。

不思議に思いながらも嫁に、

「白い軽自動車とかで良いかな?
面倒だから近くの自動車屋まで歩いて行かない?」
と聞くと、

「うん。良いんじゃない?あんたの好きな車にしなよ。」
と言ってくれたので、近くの自動車屋まで歩いて向かう事にしました。

その道中も、俺の頭の中には白い車が鮮明に浮かんでいたのです。
ボディにシルバーのラインが横に四本入った、悪趣味な車が。

自動車屋に着くと、沢山の車が置いてある中で、何故か一瞬で見つけてしまいました。
頭の中にずっと浮かんでた悪趣味なその車を。ホイールは後で友達に聞いたら
ダンシングスターだかシューティングスターって名前で、ボディにはシルバーの四本のライン。

冷静な自分だったら絶対に買わないだろうし、嫁さも趣味悪いなぁって思ったそうですが、
自分はどうしてもその車が欲しくなり購入。

5年落ちのその白いワゴンRは、変なカーナビと、ターボ機能と、CDしか付属品はなく、
75万一括で買った自分を、未だに信じられませんが、買ってしまったのです。
それから3日後、茨城県の神栖市、海岸通りで左前輪がいきなりバースト。

マジかよと思い、スペアタイヤに履き代えようと作業をしていると、タイヤの穴が合わない。
え?と思ったけれど、やはりどうやっても合わない。
早速自動車屋に電話をして用件を伝えると、
今すぐに別のタイヤを持って来てくれると言うので、暫く待機してました。

で、何やかんやで代金は無料で新しくなったタイヤで、
友達の家に向かう途中、今度は右後輪がバースト。

流石に苛々して自動車屋にクレームを入れると、全部無料で作業をするので許して下さいと
土下座されたので、また作業で時間を食わされるのは釈でしたが、大人しく待っていました。自動車屋で。

そして作業をしてたオジサンが一言、
「ホイールが悪いのかもしれませんね。」

その一言にカチンと来てしまった俺は、
「じゃあ全部交換して下さいよ。売る前に確認するのが基本じゃないんですか?」
と、問い質すと、またもや全部無料でホイールとタイヤを全て交換して貰いました。

このオジサン土下座慣れてるなと思いながら、帰宅。

嫁さんは、
「またぁ?」
と、苦笑い。

そして暫く代車に乗ってると、携帯に着信があり、件のオジサンから、
「すいません平野さん!タイヤの交換終了しました。」
と、連絡があったので引き取りに行きました。

それから暫く何もなかったので、あ~やっぱりホイールが悪かったのかなって思いながら、
何やかんや半年は何もない日々が続きましたが、家族3人で買い物に行った帰り、

車から降りた奥さんが一言、
「あれ…まちゃ、何か後ろ凄い錆びてるよ!」

その時住んでた家は、確かに海沿いで、車が錆びやすい状況下にはあったものの、
俺の車より先にある、仕事用の軽トラックは全然錆びてないので、凄い違和感を覚えました。

白い塗装がニキビみたいに茶色の錆びとボコボコ混じりながら、本当に沢山浮かび上がってました。
削ると簡単にボロボロこぼれ落ちるその錆びを見つめながら、カチーンときた俺は、
嫁と子供を残し、自動車屋に猛スピードで向かいました。

そして降りて早々、でかい声で、力の限り叫んでしまったのです。
「おいこの野郎!見てみろこれ!早くしろよこれ!どうなってんだ!?あ!?てめえのとこの車はよオラァっ!」
と、白いワゴンRに思い切り蹴りを入れました。

社長の奥さんから作業員さん達に、車を見てもらうと、信じられないだの、
こんな筈はないだの散々身内同士で話し合いつつ、俺の様子を伺いながらも、ベラベラ話し合うばかり。

業を煮やした俺は、
「一週間以内に無料で作業できるよな?」
と一言。

相手は承諾。
土下座はありませんでした。

代車(無料)で帰って嫁に事の顛末を告げると、
「でも買ったのまちゃでしょ?無料で直してくれるんだから、そんなに怒っちゃ駄目だよ。」

と、優しくキスされたので、すっかり機嫌良くなった俺は、
普通に車が直るまでの一週間、気楽に過ごす事が出来ました。

そして、自動車屋から電話掛かってきたので引き取りに行くと、綺麗に塗装され、
ついでに頼んでおいたシルバーの四本ラインも剥がして塗装し直してもらって、
すっかり綺麗になった車で機嫌良く帰宅しました。

その時は…

今でも忘れません。
そのたった2日後ですよ?運転席のドアを開けたら、ドアがもげたんです。

本当に忘れられません…ショックと混乱と異常さ。
ドアを持ったままポカーンとしつつも、蝶版?の部分を見ると、すっかり錆びてボロボロの状態。

凄いオープンな白いワゴンR(エンジン等には問題無い)を、もう自分の中で
完全に信用の無い購入した自動車に一応連絡し、状況を確認して頂き、
他の修理屋に依頼するからお前の店で金出せよ?って事象を快諾して頂き、別の修理屋へ。

その修理屋のおじさんが、その白いワゴンRを見て一言。
「お兄さん、何でこんな車買っちゃったの?長い事この仕事やってるけれど、おらぁこの車は怖いなw一応修理はするけれど、怖いわw」

俺の方が怖いわ。
その時初めて、ああ何かこの車はヤバいんだなって思ったのです。

無事に修理が終わり、一応お祓いしたって言ってくれた自動車屋(義父の友人)の
発言にビビりながらも運転を続けましたが、暫くは何も車に異常はありませんでした。

ある日、職場の先輩である学さん家に、
「家に来て飲めよ。」
と、言って頂いたので、白いワゴンRで向かう事に。

学さんは、奥さんと二人暮らしで、奥さんの出してくれるツマミも美味かったので、
それから何度かお呼ばれを繰り返してました。

で、ある日。

いつもの様に楽しく談笑した帰り際、学さんの奥さんのヨシミさんが、俺に言いました。
「まさや、私さ、いつも帰り際にさ、まさやに絶対気をつけてって言うでしょ?何でかわかる?」
と、言われたのです。

俺は普通に、
「え?お酒飲んでるからでしょ?本当はね…だ」

その言葉を遮る様に、
「違うの。それもあるんだけれど、まさやの車、女の人引きずりながら走ってるの!」
って。

学さん家の談笑で、散々ヨシミさんには霊感がある事も知ってたし、
学さんも若干霊感があるらしい事も知ってました。

俺が、詳しくその事を聞くと、ヨシミさんと学さんは次々に俺の車の異常さを教えてくれました。
・車と一体化したみたいに、トランクの部分から女性の下半身がぶら下がってる。
・助手席に時折女性が居るので、まさやが奥さん連れて来たかと思って、楽しみにしてたら全然違った。
・タイヤの周りに白い布が挟まって見える。
・何故かトランクが青白く光ってる。

何で今まで言ってくれなかったのって聞いたら、嫌、お前怖がりだし…
でも、最近前よりハッキリ見え出して不安だったから言ってくれたんだそうです。

ただ、俺には見えないし、怖かったけれど3年目でまだ車検は切れてなかったので、
怖いの我慢して乗るしかなかったんです。

俺より怖がりな嫁さんには当然内緒でした。
ですが、とうとう俺にも見えてしまう時が来てしまったのです。

伊勢さんって先輩と、千葉県銚子市にあるミレニアム(そこでも散々怖い体験)に行った帰りです。
帰宅して、運転席を閉めた瞬間、今まで感じた事の無い寒気と、同時にツーンとした腐敗臭。
そして、尻の穴から頭のテッペンまで全身を走るゾワゾワ感。
恐る恐る車の後ろを見ると、何やら青白く光ってるんです。

何だろうと思って確認しに行くと、その青白く光ってる物の正体が分かりました。
女の人の下半身でした。
しかも全裸。

ああ…ヨシミさんの言ってたのはこれかと、思いました。
本当にトランクから腰が…例えるなら木から枝が当たり前に生えてる様に、
腰からお尻、脚とはっきり女の人の下半身が生えてるのです。

青白く光ながら。

そして、恐怖と同時に…

□ □ □

その自動車屋は俺のワゴンRがきっかけで、
メーターいじりとか事故車販売とか色々問題にして、営業出来なくさせました。

やっぱり1回見ちゃうとまた見えちゃうんですね。
それから霊体験増えましたよ。

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