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『深夜のジョギング』|洒落怖名作まとめ【長編】

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『深夜のジョギング』|洒落怖名作まとめ【長編】 長編
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深夜のジョギング

 

ジョギングを始めたんだ。

まぁ、メタボ対策かな。少し太ってきたし
そんなにストイックな奴じゃなくて軽~い奴。
近所を1周して終わり程度なんだけどね。

近くに公園があるんだよね。ブランコのある公園。
公衆トイレがあって薄明かりが漏れてる。
いつも公園を横目に走るんだけどね。

トイレの正面にはベンチがある。
ベンチの背面は土手になっている。

いつもはベンチとトイレの間を走り抜ける訳なんだけどね。

いつも走るのは少し遅い時間なんだよね。
もちろん公園にはいつも誰もいない。

おとといだね。

小雨が降ってたと思う。
走っていたのは深夜だったから、多分1時頃かな。

公園の入り口に差し掛かったら、いつも誰もいないベンチに
女の人が座ってた。グレーのコート?を着てね。
ギョッとした。びっくりして咄嗟に回れ右して公園の外を迂回して走りだした。

走りながら考えてね。こんな時間に公園にいるなんてね。
しかもグレーのコートなんて若い女だよね。
行くトコないのかな?とか、彼氏と喧嘩したのかなとかね。
オレんちは駅まで遠いんだよ。

少しかわいそうに思ってね。もちろん下心もそれなりに合ったし。
帰りにまだ居たら声かけようかなって思ったんだよ。

しばらく走って公園に戻って来たらさ。

まだ座ってたんだ。やっぱり若そうな女の人だね。

なんか下向いてた。グレーのコート着ているしさ
なんか雨も降ってるし。

「大丈夫ですか?こんな時間に危ないですよ」とか声だけ掛けようと思ってね。
ドキドキしながら近づいていったんだよね。

公園の入り口を入ってね。ベンチに近づいて、脅かさないように
できるだけ足音を立てながらね。近づいて言ったんだ。

とにかく驚かさないようにね。「こんな時間に大丈夫ですか?」って声掛けようと思ってね。
ふと足が止まった。

何故足が止まったかはわからない。
とにかくヤバいと思った。

なんかね。この人薄いんだよ。うっすらと向こう側に透けるような感じ
いや、上手くいえないけどね。分子の密度が薄いって言えばわかるかな?
雰囲気全体が薄くてね。
瞬間的に「あぁ、この人死んでるな」って冷静に感じた。
「ヒトニシテハ、ナニカガタリナイ」
心臓がドクンって鳴った。鷲掴みにされた感じ。

女が顔を上げる瞬間に逃げした。

もう全力で家まで走った。必死で走ったんだよ。
振り返ったら怖くて動けなくなると思ってね。
死ぬ気で走ったんだ。何とか家まで辿り着いてね。慌てて鍵を閉めたよ。

でもね、予感があったんだ

「キットツイテクルヨ」

「見えるの?ねぇ見えるの?」って女の声が聞こえてたし。

やっぱりね。
部屋に戻ったらカーテンの細い隙間からこっちを見ていたよ。

ジーっとこっちをみてた。

あ~ぁ。ついて来ちゃったよ・・・何で冷静なんだろうね。こんな時にね。
とにかく気付いてないフリをしてたんだけどね。

少しずつね

部屋の空気が侵食されていってね。

ほんの少しずつだけどね。
薄~いもやが掛かって来てね。
あぁ、少しずつ入って来てるなってのが解かった。

密度を薄くしてね。
徐々に女が部屋の中に流れ込んできた。

もうね、怖くて叫びださないようにね。
気付かれたらヤバイからね。
全然気が付かないフリしてね。でもジーっと見られてるのね。
すごく観察してるの。こっちをね。

無理に寝てしまおうと思ったんだよ。

怖いけどね。眠って明日になったら居ないかもしれないじゃん?
だからね。すぐに横になった。

とにかくベットに横になってね。寝ちまえ!と。
部屋中に嫌な雰囲気が漂っててね。相変わらず凝視されたままなんだけどね。

直ぐに目を閉じればよかったんだけどね。

天井に小さな点を見つけちゃったんだ。
小さな黒い点なんだけどね。
動くんだよ。少しずつ少しずつ。

頭の中では「見ろ!見ろ!」って女の金切り声が鳴ってるんだ。

動き出した点がね、少しずつ早くなってね。
デッサンってあるじゃない?あのキャンバスに黒炭で絵を書く奴
あんな感じでね。凄い勢いで点が形になって来てね。
目になって、鼻になってね、どんどん描かれてね。
早送りを見ているみたいにね。

だんだん鬼のような形相の女になってきた。

目をそらせないで、じっと見るしかなかった。

天井に描かれた女がね、こっちを睨み付けたままね

少しずつ降りて来ている気がした。
ゆっくりとね、近づいて来てる、そう思った瞬間怖くて気が狂うかと思った。

恐怖で声も出せずにね、確か泣いた気がする。

だんだん世界が白黒になってね。
ゆがんで回りだしたんだ。

もうダメだと思った瞬間にね、大きく視界が歪んでね。
気付いたら今日の昼だったよ。

本当に今日は家から出られなかった。夢なのか、それにしてはリアルだったし。
何もかも自信が無かったんだ。
さっきあるものでご飯食べて、お風呂にも入ってね。
やっと落ち着いてここに書き込めるようになったよ。

さて、そろそろジョギングに行ってきますね。
話したらなんだかとっても楽になったよ。

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