『嫁のメシがまずい』|洒落怖名作まとめ【長編】

『嫁のメシがまずい』|洒落怖名作まとめ【長編】 長編

吐いて吐いて吐きまくった。胃液しか出なくなっても吐いた。泣いた。
Aも奥さんも涙目だったけど、うずくまって胃液まみれで俺が泣きじゃくってたら
奥さんが 「掃除します!!」と立ち上がって出かけていった。
俺はAに連れられて風呂場に行って、シャワーを浴びてリビングで泣いていた。時々吐いた。
奥さんはまずバルサンをたきまくって小バエを殺し、壁からも天井からも落ちてくるうじ
(バルサンで死なないらしい)をほうきと雑巾で叩き落し掃き集め、
腐りきった料理の残骸を捨て、 台所中にはえとり紙を吊るしてくれた。
嫁が置きまくったと思われる脱臭剤にもうじが湧いていたそうだ。

嫁は帰ってこなかった。逃げたんだなと気付いたのは、うじまみれになった奥さんがシャワーを 浴びてからのことだった。
その日はAの家に泊めてもらって、次の日に病院に行った。

嫁はその頃友人の家を転々としていたそうだ。捕まらないので、先に嫁実家に連絡した。

義父母は「やっぱりちゃんと料理してるなんて嘘だったんだ…」と半泣きだったが、
台所をうじ塗れに したのはなかなか信じてくれなかった。

Aが俺が「もう嫌だ」「別れたい」と泣きながら繰り返すのを聞いて、もしかしてと掃除の途中で 撮っておいてくれた写真でようやく納得してくれた。

泣きながら謝られた。一刻も早く別れたくて、義父母に連絡した日のうちに弁護士事務所へ行った。

最後のほう思い出すと吐き気が未だにするので、どんどんあっさりした内容になったけど、 こんな感じ。

うじ騒ぎのときに俺何もしてないんだよな…。その自己嫌悪もある…。 ここの皆も、ここまでになったら離婚するだろ?

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