深夜、自宅のベッドでボーッと煙草をふかしていたら、白い煙の様な物が目の前に揺れ始めたんですよ。煙草の紫煙かな、と思ったんですが、動きがおかしい。
まるで生きてるように煙がゆ~らゆ~らと形をとり始めたんですよ。
晴美でした。既に溶けかかり、骨が砕けた全身を、マリオネットの様に揺らし、「まだある」方の眼球で、私を見つめてきました。
何かを言いたげに口を動かしていますが、舌が無いのか声帯が潰されているのか、声にならない声で呻いていました。
どの位の時間が経ったでしょうかね。いつの間にか晴美は消えていたんですよ。恥ずかしい話、私は失禁と脱糞をしていました。はぁはぁはぁ、汚くてすみませんねぇ。
次の日の夜も晴美はやってきました。もう私はね、晴美に呪い殺されてもしょうがない
んじゃないかと思い始めてましてね。
晴美が再び現れるのを心待ちにしてた部分もあったんです。
やはり、晴美は何か言いたげに口を動かしています。私は駆け寄り、何が言いたい?私はどうすれば良いんだ?時計、時計、時計ありがとう、あの時何もしてやれなくてすまない、時計は大事に持ってる、時計は、時計は。
半狂乱のまま、私は叫び続けたんです。
すると、晴美が折れた首を健気に私の方に近づけて、言ったんです。途切れ途切れながらも、ハッキリと聞き取れました。
「わたし、あんたのこどもほしかったな」
今日も夜が来る。
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