【名作 長編】『晴美の末路』|本当にあった怖い話・オカルト・都市伝説

『晴美の末路』|洒落怖名作まとめ【怖い話・都市伝説 - 長編】 厳選

深夜、自宅のベッドでボーッと煙草をふかしていたら、白い煙の様な物が目の前に揺れ始めたんですよ。煙草の紫煙かな、と思ったんですが、動きがおかしい。

まるで生きてるように煙がゆ~らゆ~らと形をとり始めたんですよ。

晴美でした。既に溶けかかり、骨が砕けた全身を、マリオネットの様に揺らし、「まだある」方の眼球で、私を見つめてきました。

何かを言いたげに口を動かしていますが、舌が無いのか声帯が潰されているのか、声にならない声で呻いていました。

どの位の時間が経ったでしょうかね。いつの間にか晴美は消えていたんですよ。恥ずかしい話、私は失禁と脱糞をしていました。はぁはぁはぁ、汚くてすみませんねぇ。

次の日の夜も晴美はやってきました。もう私はね、晴美に呪い殺されてもしょうがない
んじゃないかと思い始めてましてね。

晴美が再び現れるのを心待ちにしてた部分もあったんです。

やはり、晴美は何か言いたげに口を動かしています。私は駆け寄り、何が言いたい?私はどうすれば良いんだ?時計、時計、時計ありがとう、あの時何もしてやれなくてすまない、時計は大事に持ってる、時計は、時計は。

半狂乱のまま、私は叫び続けたんです。

すると、晴美が折れた首を健気に私の方に近づけて、言ったんです。途切れ途切れながらも、ハッキリと聞き取れました。

「わたし、あんたのこどもほしかったな」

今日も夜が来る。

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