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『侍屋敷のおばさん』|◆txdQ6Z2C6oシリーズ【2】洒落怖名作まとめ

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『侍屋敷のおばさん』|洒落怖名作まとめ【ホラーテラーシリーズ】 ◆txdQ6Z2C6oシリーズ
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原作:◆txdQ6Z2C6o

 

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侍屋敷のおばさん|◆txdQ6Z2C6oシリーズ

 

これは俺が小二の夏休みの時の話。
俺と6歳の妹は母方の祖父母の家に遊びに来ていた。
母方の家では自分が初孫で親戚が集まっても他に従兄弟がおらず自分は妹と遊ぶしかなかった。
普段は母親にべったりで、俺が遊びに誘ってもあまり乗ってこない妹だったんだけど、
こいつは俺よりも活発で体動かすのが大好きなやつなんで、その時はちょっと暴れたかったんだろう。
あっさりと俺についてきた。
昔から兄弟仲は良かったので、二人で外に行くっていっても、母親も祖父母も何も心配なんかせず、承諾してくれた。

 

祖父母の家の周りは現在よりもその当時は田んぼが多かった。
そして道もわかりやすく、俺と妹は祖父母の家の犬の散歩コースをぶらぶら歩いていた。
それでちょっと田んぼからは外れた高台みたいな場所は、藩主の親戚の方が住んでいた土地だったらしく、
周りも武家の家ばかりで、戦争でも焼けなかったから戦前からあるような旧家の立派なお屋敷が多かった。
当時俺達にはそのお屋敷が珍しく、高台の方に行くことになった。
大人としか来た事がなかったから道は詳しくなかったけど、大きな地図があってそこを確認したり、
祖母の友達というおばさんが話しかけてきてくれて、俺達が歩いている道を一周すれば俺達のよく知ってる
大きな道路に出ることを教えてくれたので臆することなくその道を一周することになった。
お屋敷に見惚れながら歩き、道をぐるっと半分ほど来たくらいの場所に一際古いお屋敷を見つけた。
ちょっとした石垣みたいな上に古びた木の塀。塀の上には竹やぶが見えた。
明らかに他のお屋敷とは違う古い門構えがあり、その横には看板が立っていた。
当時の俺に読めたのはそのお屋敷が江戸時代の建物だということだ。
門が開いていて、看板もあるから、普通の住宅じゃなくて、
開放された観光スポットみたいな場所なんだろうと俺達は思い、お屋敷の中に入っていった。

 

門をくぐり、中に入ると緑に溢れ、紫や青い朝顔がいっぱい咲いていた。
俺の知らない花弁の多い黄色の花も綺麗だった。
外から見たよりも庭は綺麗で、手入れが行き届いている。
もう少し奥まで行くと開けた場所に出て、そこには庭と邸宅があった。
そこで俺達は庭で掃除しているおばさんを見つけた。
辛子色というんだろうか、渋い黄色の着物の上に割烹着を着た四十代くらいのほっそりとしたおばさん。
俺達は勝手に住宅に入ってしまったのだと驚いて、妹と顔を見合わせた。
でもそのまま黙って逃げるのは失礼だと思って、おばさんに向かって「ごめんください」と声をかけた。
おばさんは掃除をやめて、わざわざ俺達の方に来てくれた。
この時おばさんが俺達に話してくれたことは詳しく覚えてない。
でも確か「何かご用事?」みたいなことを聞いてきて、
俺は「珍しかったからちょっと中見たいなと思って入ってきてしまった」という風なことを言ったと思う。

 

おばさんはにこやかって感じでもなかったけど、「別に見てくなら見てっていいよ?」みたいなそっけない感じだった。
別に出ていけって雰囲気でもなかったので、俺達は庭を見せてもらうことにした。
俺達は庭の小さな池が珍しかったので、淵に立って覗いてみたけど、水が張ってあるだけで鯉などの生き物はいなかった。
おばさんは俺達とはちょっと離れたところ、飛び石の周りの掃除していた。
池に飽きると、そこから戸や障子、襖が全部開いた邸宅の中が見えた。
邸宅自体は本当に古かったけど、やっぱり邸宅の中も綺麗だった。
テレビで田舎の古い家の中とかが映るけど、あれとは全然違う感じ。
家具も置いてあるのが見えたけど、箪笥や棚らしきものも全部小作りで、でもぴかぴかに光ってた。
俺達は満足して、おばさんに「お邪魔しました」と挨拶をしたら、おばさんはまた掃除の手を止めて、
俺達を見て「さようなら」だか「気をつけて帰るのよ」だか何か言葉をくれて、そして俺達は屋敷を出た。
その後は無事祖父母の家に帰り着いて、この小二の時の話は終わり。

そして話は十一年後に続く。
大学の長期休みに俺は一人で祖父母の家に泊まりに来ていた。
というのも、祖父が足を骨折して入院してしまったから。
祖父母の家は自営業をしていて、跡継ぎの叔父さんも住んでいた。
でも外に出かけることが多くて、叔父さんが出かけている間は祖母は家を空けられなくなる。
祖母は祖母で会合に忙しい人なんで、留守番役が必要ということで俺がしばらく泊まることになった。
祖父母の家はインターネット完備、漫画も大量にあり、コンビニもすぐ近くに新しくでき、
おいしい飯もタダで食わしてくれるし、小遣いもくれるんで、最高の環境だった。
祖父母の家で留守番生活を満喫していたある日、叔父さんも家にいたので、祖母は散歩に行くと言い出した。
俺の両親は結婚はしているんだけど、昔から父親が家に帰ってこない人で、実質男手は幼い頃から俺一人だった。
それで母親に限らず女の人は別に洒落た話をしなくても、買い物とかにただついて行って、荷物を半分でも持ってやるだけで、
すごく助かるし喜んでくれることを俺は知っていたので、その時も多分祖母は買い物にも行くのだろうと思って俺も散歩についていった。
いつもは犬の散歩コースの田んぼの方を歩くんだけど、その日は祖母にとっては疲れる高台のコースを歩くことになった。

 

そして俺と祖母は例の侍屋敷の前までやってきた。
屋敷の前で立ち止まり、看板を読んだ。
お屋敷は1800年前後から残る屋敷で、お屋敷に住んでいた武士自体の位は低かったらしいけど、
現代まで残った歴史的な価値があるので市が管理しているというようなことが書かれていた。
俺が昔この屋敷に入ったことがあるよと祖母に話すと、二人してまた入ってみることになった。
でも中に入ってみると昔とは全然違った。
昔は花がいっぱい咲いていて綺麗だったのに、その時は木々が鬱蒼と茂っているだけで、
さらに奥に進むと庭と邸宅が見えたけど、庭もなんというか荒廃していて、邸宅自体も埃っぽく、
あのおばさんが亡くなったかなんかで、もう手入れされてないんだと俺は正直がっかりした。
で、その時も庭には人がいた。
作業着とスーツ姿の中年男性が二人でなにやら話していた。
中年男性二人は俺達が中に入ってきていても、咎めるとかはせず、「近所の人ですか?」と普通に話しかけてきた。
中年男性二人は市の職員の人で、悪戯されたり、ゴミが投げ捨てられたりしていないかのチェックにやってきたらしい。
俺はおばさんのことが気がかりだったので思い切って「このお屋敷人が住んでませんでしたか?住んでいた人はどうなりましたか?」と聞いた。
中年男性二人は俺を見て変な顔をした。
言いにくそうに「戦前くらいまでは住んでたみたいだけど、戦後はずっと市の管理だよ」と答えた。
俺は内心驚いたけど、余計なことは言わず、祖母と一緒にお屋敷を出た。
祖母は俺が不思議な体験をしたことを話しても、母みたいに怒る人ではなかったので、
ありのままに子どもの頃と今起こったことを話した。
すると祖母は「狐に化かされたのよ」と笑った。
なんでもその辺りは昔から狐に化かされた話がいくつもあるという。

 

この話を中学時代の友人Aに話すと、霊感の強いAもさすがに狐には化かされたことがなかったみたいで、
「本当に狐に化かされる人間っているのか。日本昔話みたいだ」と喜んでいた。
Aは俺達が狐に馬鹿にされたみたいなニュアンスで話していたけど、
俺としてはそうゆう感覚ではなく、割と良い思い出なんだけどな。
Aも子どもの頃は世の中ってものをよくわかってなかったから、
不思議な体験をしていたらしく、いくつかAが聞かせてくれた話もある。
その話も長くなりそうなんでまた別の機会があればその時に。

 

◆txdQ6Z2C6o シリーズ

1 夢を共有

2 侍屋敷のおばさん

3 生まれた時の記憶

4 前世の妹

5 事故予告

6 まとめサイト

7 幽霊トンネル

8 おばけ屋敷

9 真下家

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