『前世の妹』|◆txdQ6Z2C6oシリーズ【4】洒落怖名作まとめ

『前世の妹』|洒落怖名作まとめ【ホラーテラーシリーズ】 ◆txdQ6Z2C6oシリーズ

原作:◆txdQ6Z2C6o

 

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前世の妹|◆txdQ6Z2C6oシリーズ

 

大学三年生の四月上旬の時の話。
学校の屋外のテーブルのところで、自分の単位と講義一覧を見比べて前期でどの講義を取るか悩んでいた。
その時俺の向かいの席に女子学生が座った。
まだ髪の毛も染めたばかりなのかつやつやしていて、
化粧もまだしなれていないといった初々しい感じだった。
すぐに入学したばかりの新入生なのだろうなと思った。
俺は自分の所属する学部でカリキュラムの相談に乗るというような係りをやっていたので
それ関係で聞きにきた子かなと思いながら彼女が話し出すのを待った。
「○○先輩ですよね?」と俺の苗字を聞かれたので、肯定した。
彼女の話では彼女は俺と同じ高校の後輩らしく、どうやら彼女は俺を高校時代から知っているようだった。
かといって自分は彼女のことは全く記憶になかった。
部活でも委員会でも全く縁がなかったはずだ。
妹と同じ学年なので妹の友達あたりだろうかと聞いたらそれも違うらしい。
どうしていいのか、何から話していいのか考えていると、彼女の方から話を切り出してきた。

「驚かれるかもしれませんが、私と先輩は前世で姉妹だったんですよ」

俺は物心ついた頃から自分の身に起こった不可思議な話を極力しないようにしていた。
友達同士で怖い話をすることになっても、自分が話す怖い話というのはテレビや雑誌から引っ張ってきたものだった。
俺は普通の感覚の人からしたら充分に「この人頭大丈夫?」と思われる人間なのだろうが、
俺もこの時ばかりは「この子頭大丈夫だろうか?」と本気で思った。正直席を立ちたいと思った。
なので俺は彼女に「そうゆうのを男子学生に言うの流行ってるの?」と尋ねてみた。
そしたら泣かれた。
人目につく席だったので、通行人の視線が痛く、俺はその場で五分は彼女に謝り続けた。
泣き止んだ彼女に申し訳なく思った自分は仕方なく彼女を近所のファミレスに誘った。
夕飯時には早かったので、ドリンクバーとケーキセットを頼んで、本格的に話を聞く体勢が整った。

 

彼女は所謂前世の記憶がある人だった。
彼女の話では、俺の前世は女で、彼女と姉妹だった。
俺は初めから「良いお姉さんだった」と絶賛された。が、別に嬉しくもなんともなかった。
俺と彼女が姉妹だったのは何百年も昔のことで、医療技術も発展していない、
貧しい時代で、姉である俺は親と共に下の兄弟を養っていた無理が祟って成人前に病気で死んだらしい。
そして前世の妹らしき彼女は姉である俺が死んだことが非常に悲しくて、
来世で絶対また俺の妹か弟として生まれてこようと決めたらしい。
文章では伝わらないかもしれないが、この時彼女からすごく執念のようなものを感じて、俺は怖くなった。

で、俺は今の世に生まれた。
そして俺の妹として生まれてくるチャンスがその彼女に巡ってきた。
が、現在の俺の妹も前世かその前か知らないが俺と縁(?)のある人だったらしく、
俺の現在の妹とその前世の妹の彼女で争いのようなものが起こったらしい。
けど、現在の妹に軍配が上がった。
その前世の妹の彼女は悔しかったけどとりあえず俺の近くに生まれてくることにしたらしい。
そうゆう前世の記憶は物心ついたあたりから思い出してくるもんらしく、
前世の姉にいつ会えるのかなーなどとぼんやりと思っていたらしい。
それで高校でやっと俺に会って、職員室とかで何度か話したんだけど、
俺の反応は薄かった。(実際俺もその時のことを覚えていない)
そして大学まで追いかけてきてくれたというわけだ。
にわかには信じられない話だし、その後どうすればいいんだと思った。
「俺達って付き合えばいいの?」と訊いてみたら、「どうして姉と付き合わなければならないの」と怒られた。
結局度々「お姉さん」と話しかけられることはあったけど、
あんまり仲良くしたいような子じゃなかったので、特に親しい仲にはならなかった。

俺もかなりおかしい人ですが、前世や来世とかいうものは信じてないというか、
詳しくないので、未だに彼女の話を信じきれないところがあります。
前世の妹より現世の妹のが大事ですし。

 

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