『夢を共有』|◆txdQ6Z2C6oシリーズ【】洒落怖名作まとめ

『夢を共有』|洒落怖名作まとめ【ホラーテラーシリーズ】 ◆txdQ6Z2C6oシリーズ

原作:◆txdQ6Z2C6o

 

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夢を共有|◆txdQ6Z2C6oシリーズ

 

自分と友人Aの話をしたいと思います。

自分の家族には霊感がない。
でも何故か家族で唯一俺だけが小さい頃から不思議な目によく遭う。
だからはっきり霊感があるとはいえないのだけれど、
たまに幽霊らしきものを見たり、声を聞いたり、不思議な夢を見たりする。
普段は全く見たりしない。友人A曰く、鈍すぎるらしい。
5、6年幽霊と同居していたらしいが、全くその幽霊に気がつかなかったくらい。
友人Aは家系的に強い霊感を持っている。
腕に数珠つけてたり、念仏唱えられたり、普段からバンバン見まくったりしてる人。
Aとは中学の時に仲良くなり、Aがいる時は不思議なことに遭うことが多かった。
オカルト好きの人にはつまらないかもしれないけど、俺もAも心霊スポットに行ったりとか、
こっくりさん系の占い?とかは絶対しない。
だから幽霊に追いかけられたり、憑いてこられたり、呪われたりした経験は俺に関しては一切ない。
Aにはあったかもしれないけど、あってもいちいち俺に話したりはしない。

直接幽霊は関係ないけど、これは俺とAと女友達Dが夢を共有した話です。
霊感関係ないじゃんって俺は思ってるんだけど、
Aが「不思議な力が絶対働いてる」っていうんで不思議な話ってことにしておいてほしい。
途中グロテスクな表現が入るのでご注意ください。

 

自分には小4のとき近所に引っ越してきた女友達Dがいた。
ゲームオタクで、パソコン持ってるやつがまだ少なかった時代にそいつの家にはパソコンが二台もあった。
そんで、Dは結構な美少女。
俺はめちゃくちゃDが気に入ってたんだけど、Dはかなり男に惚れやすいくせに俺には全然だった。
だから俺達はいつしか性別気にせず遊ぶようになり、俺はDの家に普通に遊びに行っていた。

Dには三つ下と五つ下の弟がいた。
姉弟中は非常によく、Dは家では非常に姉ちゃんらしかった。

俺達が小6のある日、Dは元気なく自分に話しかけてきた。
なんでも怖い夢を見たらしい。
Dが震える声で語った夢の内容はこうだ。

突然森の中に弟の断末魔が響き渡った。
森の中突っ立っていたDははっとして、声のした方向に走る。
森を抜けた先には俺達の近所の公園があった。
滑り台やジャングルジム、タイヤの跳び箱のようなものが夕陽に照らされていた。
その公園の真ん中にDは自分を見つけたそうだ。
仮に偽Dとすると、偽Dは日本刀を持ち、上の弟の生首を抱えていた。
地面には上の弟の首から下が転がり、地面に大量の血を流していた。
Dは上の弟を偽Dとはいえ、自分が殺してしまったことがショックで動けない。
偽Dは弟の生首をその場に放ると、血の滴る日本刀をゆらゆらと揺らし、Dに近寄ってきた。
返り血のついた偽Dの顔は無表情だった。
そしてDの傍まで来ると大きく日本刀を振るいDの首をすぱっと跳ね飛ばした。
Dの首は宙を飛び、地面にごろんと転がったけど、それでも首に意識は残っていた。
だから偽Dの行動を見続けなければならなかった。
Dの視界の先には縄で縛られた下の弟の姿。
偽Dは下の弟に日本刀をゆらゆらさせながら近づいていく。
Dは「やめて!」と叫んだけど首から下がなかったので、声が出なかったらしい。
偽Dは日本刀を振り上げ、再び公園と森に断末魔が響き渡った。

 

その話を聞き終え、俺はDはゲーム好きなのでゲームのしすぎだなと思う反面、
Dから語られる実はもっと詳細な夢の話に結構ビビっていた。
他人の夢の話を聞いてこんなにリアルに想像できた話は間違いなくこれが初めてだった。
落ち込んでいるDに俺は「夢だから気にすんな」というようなことを言って慰めた。
その後D家には何事もなく、Dも弟二人とご両親も健康で、Dはその夢のことはすぐに忘れたのだと思う。
でも俺の方は何故かそのDの夢の話を忘れることができなく、小学校を卒業し、中学に進学した。

Dとは同じ中学に進学したけど、やっぱり男子と女子ってのはそれぞれでつるむようになり、
Dとはいつしか疎遠になっていった。
そんなある日、俺は夢を見た。
森の中に少年の断末魔が響きわたった。
自分ははっとして声の方向へと走り出した。
森を抜けると、そこは俺の近所の公園だった。
夕方のがらんとした公園の真ん中には、小6の時の髪の長いDがいた。
スポーツブランドの水色のお気に入りのTシャツを着て、カーゴパンツを穿いている。
右手には小柄な彼女には大きすぎる日本刀を持ち、刀身は赤くぬめっていた。
そして左腕には上の弟の生首を抱えていた。
半開きの目をしていて、頬にはべったりと彼の血がついていた。
生首からも、首から下の彼の体からも、まだ血が流れ出ていた。
妹しかいない俺はDの弟達をめちゃくちゃ可愛がっていて、
弟二人も俺にすごく懐いてくれていたので、俺はすごくショックだった。
ショックで呆けていると、Dが上の弟の生首をその場に放り、俺の方へと近づいてくる。
俺はその時になって漸く「これDが見た夢じゃね?今度は俺がDになっているのか?」と気づいた。
この後の展開は予想がついた。
目の前までDがやってきて、日本刀を振り上げた。
俺はその時逃げられたんだろうけど、「なんかもういいか」みたいな気分になって大人しくしてDに殺された。
地面に転がる俺の首。Dの話の通り、首には意識が居座り続けた。
Dは今度は下の弟君に近寄っていく。
そして下の弟君の断末魔。
そこで目が覚めた。
すげー顔がべたべたするなと思ったら、俺寝ながらめちゃくちゃ泣いてたみたい。
その夢は自分の想像力が豊かすぎたせいだと自分を納得させて、その時はあまり深くは考えなかった。

 

中二になり、友人Aに面白い話をしてと言われた。
Aはお笑いの話とか好きではないし、変わったやつなので、咄嗟に面白い話っていっても出てこない。
ふと俺はDの夢の話を思い出して、Dは俺とAの共通の友人でもあったので話した。
ただしその後に俺がDの夢を見たということは省略した。
今考えると、Dがあんなに落ち込んでいた夢をAに話してしまったのは軽率だったかなと思う。
その時Aは興味深そうには聞いていたけど、俺が感じたほど恐怖は感じていないようだった。

中三になり、そんな話をしたことも忘れた頃のある日、Aが「見たよ!」と興奮気味に俺に話しかけてきた。
いつも血色の悪い顔をしているAの顔には珍しく赤みがさしていた。
俺が何のことか尋ねるとAは「偽DがDの弟を殺す夢だよ」と答えた。
俺は「お前もか!」って思ったけどとりあえずAの見た夢の話を聞くことにした。
森の中。
一回目の断末魔。
走って森を出る。
夕暮れの公園。
Aの知らないはずの髪の長いDの姿。
上の弟の生首。
Aも逃げずに殺され、生首になった。
そして二度目の断末魔。
Aもそこで夢は終わったらしい。
ただ一つだけDと俺と決定的な違いがあった。
Aは不思議そうな顔をして俺に言った。
「俺の横には、Dの生首と何故かお前の生首が転がってたんだけど……何でだろう?」
俺は肝心の俺が夢を見たってところはAに話してなかったので、それこそ死ぬほど驚いた。
自分がDの後、Aの前に夢を見たことを話すと、Aは納得していた。

 

俺がDの夢を見たのは普通に俺の深層心理とか想像したことが夢になって現れただけだと思う。
でも明らかにAは事情が違った。
そもそもAと俺の家は遠すぎて、Aは例の公園を見たことはないだろうけど、
公園がどんな風かとかぴたりと言い当てた。
あとDの弟二人の顔の特徴もAは言い当てた。
少し調べればわかることだけど、Aがそこまで手の込んだことをするとも思えない。
だから俺は「Aってそこまで(すごい)のか……」と思ったことを口にした。
でもA的には「お前が見たから俺も(夢を)見たんだよ」とのこと。
俺がAから影響を受けたことは度々あったけど、Aが俺から影響を受けるってこともあったらしい。
これはその内の一つだったっぽい。

この話は以上で終わりです。
Aが誰かにこの夢のことを話したらまた俺達みたいに共有する人が出てくるんですかね?

 

◆txdQ6Z2C6o シリーズ

1 夢を共有

2 侍屋敷のおばさん

3 生まれた時の記憶

4 前世の妹

5 事故予告

6 まとめサイト

7 幽霊トンネル

8 おばけ屋敷

9 真下家

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