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【名作 長編】『車のドアは二度閉まる』|本当にあった怖い話・オカルト・都市伝説

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『歩行者』|洒落怖名作まとめ【長編】 厳選
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車のドアは二度閉まる

 

僕の家は母子家庭で、母親が仕事から帰って来るのはいつも深夜だった。

その間、僕は受験勉強をしたりして過ごす。

深夜零時頃になると、母親は仕事が終わり、僕の携帯に電話してくる。

「今から帰る、何かコンビニで買ってくる?」

……そんな内容。

その日は「別にないよ」と電話を切る。

数分後、生活用品が切れてたのを思い出し、着信履歴からかけ直した。

3~4コールしても出ず「運転中か……しょうがないな……」と思い、諦めようとしたその時、通話モードになった。

「あ、もしもし。お母さん?」

「スゥー……スゥー……(鼻息の音)」

「おーい、聞こえてる?」

「スゥー……スゥー……」

車の走行音や、運転をしているような環境音は一切なし。

鼻息の音だけが受話器の向こうから聞こえてくる。

別に恐ろしくはないが、何か不可思議な現象に困惑し、僕は電話を切った。

間違ってかけてしまったか?

いや、履歴から電話したし発信履歴も母になっている。

じゃあ、母が何かの拍子で通話ボタンを押したのか?

鼻息が聞こえるほどの口元で?それに走行音やら雑音がするだろうし。

回線の混線か……?

PCのスピーカーからトラックの無線が聞こえることがあるように、電話回線でもそんなことあるのか?と、当時の僕が出した答えは、腑に落ちないながらも混信説。

一応答えが出たことで冷静になり、もう一度電話してみる。履歴からじゃなく。

……出ない。

やっぱり運転中なのか。

あきらめて机に向かう。

参考書に目を通す。

と、もう1つの可能性を思いつき、心配性の僕の胸の鼓動が早くなる。

もしや、事故にあったとか。

なんとか通話は押せても喋れないとか……?そんな状況ならどうしよう、母の帰宅ルートは山の麓を通る……人目につかない。

僕は混乱していた。警察か救急車か、それとも原付で探しに行くか?僕は混乱していた。

心配性な上に混乱していて、頭も胃もキリキリマイ。

そうこうしていると、母親の車の音が聞こえてきた。

「なんだ……よかった……そりゃそうだよな……」

ほっとする。

車が車庫に入り、ドアが開き閉まる音。

「バタンッ、バタンッ」

とニ回。

僕はちょっと不思議に思った。

いつも母が車から降りる時のドアの音は1回のはず。

それに今日は買い物もしてないはずだし、荷物もないはず。

不思議になりながらも、安堵していた僕は玄関まで迎えに行った。

「ただいま」

母が帰ってきた。

荷物はいつものバック一個。

「ん、」反抗期らしく僕は無愛想に返す。

居間に行き、電話したことを告げると、運転中で気付かなかった、と返され、あの不思議な電話の事を話そうとしたら、母が先に話しだした。

……どうやら怖い体験をしたようだ。

「S川知っとるやろ?ほら、こないだ4人殺された事件のやつ」
(当時、隣町で一家四人惨殺事件があり、死体は川に沈められていた)

「帰りにS川沿い通ってたんよ」

「そんで丁度死体が上がったあたりに差し掛かった時にね」

「プリウスがね、助手席のシートベルトをお閉めくださいって言うんよ」

「誰も乗ってないのにね。あんたこういうの好きやろ?」

僕はゾっとした。

僕の中で今までの不可解な現象が繋がったように感じ、ゾっとした。

今思うと、プリウスのセンサーの誤作動であろう事だが、その日の僕には、なにか異様な恐怖が込み上げてきて勉強どころじゃなかった。

僕は恐る恐るに母に尋ねた。

「今日さ、車から降りる時さ、ドアの開け閉め2回したよね。なんで?」

「ん?1回しかしとらんよ」

霊感のない僕の、唯一の怖い体験でした。

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