山にまつわる怖い話【23】全5話
青木ケ原樹海横断
もう8~9年も前の話だが、某大学の山岳部員4人がいたが、彼らをAとBとCとDとしよう。
AとBとCの三人は三日間のスケジュールで青木ヶ原樹海の横断を目的とした探検に向かった。
しかも、万が一に備えて留守番役のDに四日以上たっても戻ってこなかったら警察に知らせて捜索隊呼べと命令した。
しかし、現地人のアドバイスもなしに勝手な探検をしたせいか、四日たっても三人が戻ってこないのでDは命令通り警察を呼び、捜索隊が結成された。
捜索隊が出動して二日目にまず発見したのは、全裸で木に抱き付いて混乱しながら、口からよだれをたらして腰を振り続けてるAだった。
Aは捜索隊員に叩かれると、白いワンピースの長い髪の美人に誘われてここで三日間過ごしたと供述した。
続いて捜索隊は落ち葉に埋もれて熟睡しているBを発見し、Bを起こしたらA同様白いワンピースの長い髪の美人に誘われたそうだ。
さらに捜索隊は木にロープで吊されたCの首吊り自殺体を発見して唖然とした。
その後やがてAとBは精神に異常をきたして、『 (美人の幽霊の名前)ちゃん来てくれたの…』とだれもいない空間に話かけるようになり、
ついには精神病院に入退院を繰り返す羽目になってしまったという。
熊避けラジオ
今から15年程前 私が小5のとき、祖父と従妹の三人で山に山菜取りに着いて行った行ったときの話しですが、
山で従妹と遊んでいると、10歳位の男の子が1人でいたので、この子も家族と一緒に山菜取りに来たんだろうと思い仲良くなってその子と従妹と三人で一緒に遊んでました。
ケンイチという名前の子でした。夕方頃、下の方で祖父が「そろそろ帰るぞ」というのでその子に「じゃぁバイバイ」と言うと、その子は木の枝に掛けてあった祖父のラジオ(熊避け用)を手に取るとバリバリと食べ始めました。
ラジオは粉々になってました。その子の口は犬の様に付き出していて、目は真赤に変化してました。
そしてブツブツと何か言ってました「ゲルマニウムが・・・」というのが聴き取れました。
怖くなり従妹を連れて下の方に居る祖父の下に一心不乱に逃げました。
その子はラジオをバリバリ食いながらこっちを見てました。
祖父もタダ事ではないと判断し急いで私達を連れ、車に戻りにげました。
数日後 その話を聞いた猟友会の方々がその山に入りましたが、ラジオのダイヤルだけ見つかり 他は何も怪しい物はみつからなかったそうです。
妖怪
もうひとつ、つい最近の話だけど。
ある山の麓の話。
村の側を流れる川の畔に、人間の生肝が大好きな妖怪が住んでいたという。
その妖怪は通り掛かる人間を誑かしては死体を食いあさっていた。
しかし、最後は村から追い出されて、どこかに去っていった。
3年ほど前、伯母がその川の畔の道で事故に遭った。
いつものように車を運転していた所、急に意識を失って、気がついたら病院のベッドの上だった。
緩やかなカーブが時折あるだけのほぼ直線の道で、どうしてハンドルを切り損なって
しまったのだろうと、親戚も伯母自身も不思議がっていた。
幸い命は取り留めたものの、脳に損傷を受けたのか、伯母は言葉が上手く出なくなってしまっていた。
またある時。近くのお年寄りが、やはり川の畔で事故を起こした。
伯母と同じように運転中に意識を失い、車ごと川に突っ込んで眠るように亡くなっていたという。
道路には頑丈なガードレールが取り付けられた。
そして、今年の話。
今度は同じ場所でバイクの若者が事故を起こした。対向車はいなかった。
現場を目撃した人の話によると、若者の遺体は首が切断され、内臓がぐちゃぐちゃの状態だったそうだ。
頑丈なガードレールがかえって仇となったのだろうか。
事故のニュースを聞いた時、地名を見て何か嫌な予感がしたのを覚えている。
…あれ、△△って叔母ちゃんが事故ったトコじゃなかったっけ。
単に事故の起こりやすいポイントだと言われればそうなんだろうけど、ね。
亡くなった人にはもう聞けないけど、その場所で事故に遭った人達が、
ひょっとしたら全員、『急に意識を失って』いたのだとしたら…?
その地域の昔話では妖怪は退治されていなくて『どこかに行った』だけなんだよね。
妖怪はまだその川にいるのか、それともいないのか、
祀りや供養は行われているのか、それとも単にその場所が忌み地だったのか。
小説や漫画のようなはっきりした起承転結が無いだけに、得体の知れない薄気味悪さがずっと続くような。
実在した人柱伝説
地名は忘れたし、うろ覚えなんだけどどこかの民話で
山の上の池の主だか化け物だかが、洪水を起こし近くの村を沈めて
自分たちの住処を広げようと相談をしていた。崩れない堤にするには
人柱を埋めるしかないが、人間は知らないから安心だなどと笑っていた。
しかし旅の坊さんにそれを聞かれてしまう。
坊さんは逃げようとするんだが、気づいた主達は坊さんを捕まえて
命が惜しければ、誰にもしゃべるなと脅して解放する。
坊さんは逃げようとしたが、次第に村が不憫になり村人にすべてを話してしまう。
大慌てで堤の補強を始めたが、主の言うとおりなら村を守るには人柱を立てるしかない。
村人が悩んでいると坊さん自身が
「私は主との約束を破った為助からないだろう。ならば人柱になってこの村を救いたい」
そう言って自ら人柱になる事を申し出た。堤は完成し村は助かり坊さんは村人によって
祭られた。しかし時がたつにつれてその場所がどこだったのかは忘れられてしまった。
概ねこういった話。
そんな昔話が伝わる土地で、ある時大きな工事をすることになった。
地面を何メートルも掘り進むうち大きな甕が見つかった。
甕の中には人骨が。一緒に僧侶の物らしい持ち物も納められていたらしい。
これは言い伝えにある村を救った僧侶の骨じゃないだろうかということになり
今では下からライトアップして、博物館だかに展示されているそうだ(死)
こんな話もあるから人柱伝説ってのもあながち
御伽噺じゃないんだろうなと思いまして。
まぁ実際にこんな感動的な事があったのかは分かりませんが。
坊さん、ライトなんかあてられて可哀想だ。それに写真いりだったんで
お化け屋敷に飾ってある骸骨みたいでした・・・。
赤い服
これは随分前に書いた話で、読んだ人もいるかもな。
読んでない人のために書いておこう。
長文だ。
ある時、3人で沢登りに行ったが、15メートルほどの滝が、状態が悪くどうにも直登できなかった。
やむを得ず、滝の左側の斜面を大きく回りこみ
滝の頂上に出ようとした時、先頭を行く友人(A)が突然落下した。
滝つぼには岩が突き出ており、Aはその岩に顔面をぶつけたように見えた。
苦労してよじ登った斜面を別の友人Bとふたりで転がるように駆け下りたが、その時、俺の耳に甲高い笑い声が響いた。
そして眼前に哄笑する男性の顔。
その顔に構わず突っ込んだ刹那、足がもつれて俺は転んでしまった。
とにかく、そんな事は気にせず起き上がり、下まで降りると、先に下りたBがAを滝つぼから引き摺り揚げている所だった。
Aの顔は腫れ、膨れ、鼻と目から出血していた。
鼻といっても完全に潰れて顔の中に埋まっている。
のっぺらぼうというのは、あのような顔の事を言うのかもしれん。
麓のキャンプ場で救急車を呼び、救急隊員が滝に到着し、Aを担架に固定した。
滝までは獣道があるだけなので、救急隊員と俺とBの4人が交替で担架を持ったが、顔面からの出血がひどく、その血が流れてくるので、担架を持つ手が何度も滑り、その都度担架は大きく揺れ、Aは痛みを訴え続けた。
ようやく救急車にAを乗せ、Bは病院まで同行する事になった。
俺はもう一度滝まで引き返し、散乱している荷物を回収し、麓まで戻った。
Aの車で出かけた為、仕方なくヒッチハイクしたがあちこちに血をつけた俺を良く乗せてくれたもんだと妙な感心をしている。
退院後、Aは落ちる直前に滝の上に赤い服を着た釣り人の姿を見たと言い、それから後の事は良く覚えていないらしかった。
病院に担ぎ込まれた直後、赤い服を着た人が居るとかその人を滝で見たとか、大騒ぎしたらしいが、それも本人にすればうわごとで、一切覚えていないとの事。
Aはかなりの手術の末に一命を取り止め、結婚し子供にも恵まれた。
そして2年ほど前
仕事中の事故で高所から落下し、死亡した。
見えたのはほとんど肩から上だけで、服装までは良く覚えてないんだが、Aが赤い服の釣り人・・・と言い出した時、同じだ、とぎょっとした事は覚えている。
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