山にまつわる怖い話【51】全5話
ヤツら
流れを変えてみるかと、俺がこの夏休みに体験した不思議な話でも投入してみますか。
二年ほど前にバイク板のとあるスレッドに影響されてオフロードバイクを買い、山の林道なんかをあちこち走っているのだが、今年はカミさんの実家の仙台へ帰るついでに自分は娘を乗せてバイクで仙台へGO!カミさんと息子は新幹線でGO!
カミさんは仙台から北へ外れた小さな町の神社の娘で、神社の裏の山は結構大きくて地元の人間しか知らないような林道や渓流がある。
俺は朝、早起きして山中を縦横に走る林道をあっちこっちと走り回っていた。
ついでに義父さんの釣竿と仕掛けを借りて渓流でスレてない大岩魚を爆釣!
人数分釣って帰って朝の食卓に上らせていたので、カミさんも子供も大喜びだった。
三日目のこと、俺は釣竿を持ち午前四時に出発。
まだ入ったことの無い林道の入り口を見付け、喜んで走り出した。
入り口から5キロも入ったところで、道は行き止まりに。
しかしそこから斜面を降りると良い感じの渓相が見える。
木に掴まりながら降りていき、早速竿を入れるた。
この日はとりわけ調子良く、尺モノも混ぜながらバンバン上がる。
あまりにも調子が良いので夢中になりながら釣り上がっていたら、突然その場の雰囲気が一変した。
明らかに一瞬前とは全く違う雰囲気で、コロコロリーリー鳴いていた虫たちの声も聞こえなくなってしまい、俺も糸を垂らしたまま固まってしまった。
薄明るくなってきたとはいえ、木立の奥はまだ真っ暗で良く見えない。
脂汗を滲ませながら辺りを伺っていると、突然真後ろから声がした!
「うぉいてヶ…」
しゃがれた何とも言えない不気味な声…俺は振り向くことも出来ない。
「おいてぃけぃ…」
なんと言っているか解らない。
「おいてぃけいぃ…」
俺の反応が無いからか、声に怒気が篭ってきたようだった。
俺は必死に、「な、何て言っているかわからねえよ…」と搾り出した。
突然、腰の魚篭が毟り取られた。
「むおらってゆぅくぅずをお…」
しゃがれた声で言うと、それの気配が消えた。
俺はその場にしゃがみ込み、しばらくは動けなかった。
真っ青になって実家に戻った俺を見るなり、義父さんは険しい顔をして
「ヤツらに会っちまったか…」と漏らした。
「今年は嫁取りの年だから獲物を沢山集めているのだな」
何がなんだか解らない俺を前に、義父さんと義母さんとカミさんはしたり顔で話をしている。
「お前さま、明日から山に入っちゃならねえ。大人しくしとれ」
義父さんにそう言われて、俺の夏休みは終わってしまった。orz
仙台から帰ってからカミさんを問い質すも、のらりくらりとかわされてしまい未だ真相は聞けず。チクショー、ナンデコンナニ立場ガ弱エエンダヨ俺ッテヤシハ…。
以上、つい先日、俺が体験した話です。
人生の果てる姿
よくある話だが。
もう十数年前、山を歩くのが好きだったので仲間と近くの山をよく歩いた。
そんなある時、偶然にも、木にぶら下がった人生の果てる姿を見つけた。
蛆がこぼれ、見た事もないような大きな昆虫が体内から湧き出ていた。
数人の仲間を残して近くの交番まで届けに行った。
往復で30分ほどその場を離れただけだった。
時刻は夕方に近付いてはいたけど、まだ暗いとまではいかない
夕暮れ程度だった。警察官と一緒に現場に戻ると、仲間の女の子が泣き
男子までもが震えていた。俺は何度か見ていたので怖いとは思わなかったが
彼等には恐怖だったのかもと思ったが、俺が出発の時には
「大丈夫!少し離れてるからw」と笑っていたのに。
発見当時の事を数人の警察官に分かれて聞かれた我々は
暗くなる前にと警察官の誘導で麓の駅まで送ってもらった。
明るい駅に着いてやれやれと思っていると、一緒に警官を呼びに行った仲間が
「あいつらおかしくない?」と聞いてくる。ふと見ると、残した男女三人がまだ
何かに怯えるように小刻みに震えている。その様子から、今はまだ
何も聞ける状態じゃないと感じて、そのまま家まで帰ることになった。
後日、その日の事を仲間の男子に聞く事ができた。
あの日、俺達が警官を呼びに行った後、本当に少し離れた場所で
彼等はその木を遠巻きに見ていたらしい。女の子を挟むように座って
遺骸に背を向けて座っていると、どこからか足音が聞こえたのだという。
カサ、カサ、カサ、カサ。こちらに向かって歩いてくる。
それがどこから歩いてくるのか全員がすぐに解った。
一人の男子が意を決して振り返ると、現場はそのままだった。
でも、何か変だった。気のせいだろうと安心して座っていると
カサ、カサ、カサ、カサ。また足音がするのだという。
また振り返ると、また何事とも無い。でも何かおかし。
何がおかしいのかよく解らなかったのだが、はっきりとは見ないようにしていた
その木の方に恐る恐る目をやると、その理由が解った。
近付いている。さっきの違和感はこれだった。最初に座った位置より
かなり近付いている。確実にその木の方向に向かって。
それを黙っていようと思い、他の仲間に声をかけようとした時
「近付いてるよね?」女の子が気づいたようだ。「気のせいだよ。」
そうは言ったものの、やはり近付いているのは確かだと思えたので
「やっぱり立って待ってよう。」と言って立ち上がると、女の子が卒倒して倒れた。
確かに少し離れた位置に居たはずなのに、立ち上がった場所のすぐ後ろの木に
それがぶら下がっていたのだ。気を失いそうになるのをこらえて女の子を抱き
その場から少し離れて女の子を起こしたところに俺達が戻ったのだという。
女の子はその後しばらくは入院するほど衰弱し、どうにか回復して学校に戻った。
長い間、寂しい山の中でたった一人で居たのだ。人が自分を見てるのが解り、
無視するように背を向けているのだから、自分から近付くか、呼び寄せるのか。
ただ恐怖心からそういう幻覚に襲われたのか。それは定かではないが、
そういう事もたまに起こるのが山という場所なのかも知れない。
ハイキング
小学校の頃の話だからアテにならんかもしれなけど。
遠足でハイキングをした時の話。
その日はちょっぴり曇っていて、ちょっぴり霧が出ていた。
僕は先頭を歩いて校長先生と時たま会話をしていた。
校長先生は山が好きなようで、話す内容は山のことばかりだった。
話す頻度自体は少ないもののとても熱が入った喋り方だった。
暫くすると、校長先生の話す内容が段々と長くなっていき
それに比例するように段々と頭にカスミがかかったようにボンヤリとしてきた。
話している事はダラダラと聞こえているし、地面を踏みしめて歩いている感覚もある。
けれど、内容は全くわからないし、自分が今、岩の上にいるのか、木の上にいるのか、土の上にいるのか判らなくなってきた。
そして段々と瞼が重くなって歩きながら目を閉じてしまった。
すると次の瞬間、校長先生の話が途切れた。
その事がきっかけで一気に目がさめ、頭にかかっていたカスミも消えた。
気がつくと僕は列の最後尾に程近い所にいた。
不思議に思い昼食の時に、先頭の方だった友人に「いっしょに先頭のほう歩いてたよね?」と聞いてみた所
「ああ…そうだったような」と曖昧な解答が得られた
校長先生に聞いても「話してた記憶はあるけど、○○君がいたかは覚えてない」と言われた。
後方を歩いていた友人に「ここに一緒に着いたんだから、最初から後ろ歩いてたんだろ」と言われ「成る程、それはそうだ」と納得した。
子供の頃の記憶ってのは色々ごちゃ混ぜになってたりするものもあるんで
これもその一つかもしれないけど、個人的にはこの記憶に関してはそうでないと思いたい。
この記憶は不思議さ故か同時期の他の記憶よりもずっと鮮明だし
なにより
「校長先生ー!あんなにナカヨシだったのに僕がいるのが判らないとはどういうことだ!」
というあの時感じた憤りはホンモノだと思う。
沼と少女
小学生の夏休み、一人で山の中を探検してたんだけど、だいぶ奥の方でちょっとした崖を飛び降りたら、沼みたいなとこに両足ハマって動けなくなったんだ。
動くと沈む気がして、たぶん10分位じっとしてたら、同い年位の知らない女の子が崖の上から覗いるのに気付いた。
「たっ助けて!」て必死で叫んだら「あはあははっ」て笑いながらその辺の木で引っ張りあげてくれた。
帰省中の子だったのかもしれないけど、俺は今でも山の神のようなものだと信じてる。
墓がない
二十年くらい前の秋の彼岸だったかなぁ
お寺自体が山の上にあって、爺ちゃん婆ちゃんの
墓参りに行ったんだけど親を含む親戚の大人達がなんだか騒ぎだした
墓がないってみんなで探していて
子供だったオレは「それじゃジイチャンとバアチャンがかわいそうだな」
なんて悲しくなった
でもバアチャンの着物の匂いがしてきたから
そっちの方に歩いて行ってみたら○○家の墓って書いてある墓石があった
皆のとこへ戻って
父親に言うと「そんなとこに在るわけない」と言われたんだけど大人達がさんざん探しても見つからなくて
本堂へ行って坊さんに聞きに行くことになった
一人だけ置いて行かれたオレはまた○○家の墓って書いてある墓石のところへ行って
皆が置いていった桶から柄杓で水をかけたりしてた
がやがやと大人達が戻ってきて目を丸くしている
なんとなく自慢げな気分になったのをまだおぼえてる
その寺に飾ってあった地獄絵大好きだったなぁ
いつもの場所?
に無かったとの事です
まぁでも皆勘違いしたんだろう
ガハハ って事で一件は落着してました
家の親と親戚はかなり大雑把ですので
でも大人達が戻って来たときも
父親達に違うだろみたいに言われたときも同じ位置だったんだよなぁ
皆に見えてなかった様なそんな感じかな
悪戯なジイチャンならやりかねんと今なら思うけど(w
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