【山にまつわる怖い話】『隠し村』『水神信仰』など 全5話|洒落怖名作まとめ – 山編【55】

【山にまつわる怖い話】『隠し村』『水神信仰』など 全5話|【55】洒落怖名作 - 短編まとめ 山系

 

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山にまつわる怖い話【55】全5話

 

 

くねくねするもの

秋田県在住だが、「くねくね」を見たり聞いたりした人は、どんな年寄りでも居なかった。ただ、「くねくねするもの」の話はあるという。

俺が農家の爺さんから聞いた話
くねくねが気になってとうとう横手の辺りまでできてしまった。
そして、知り合いの爺さんから聞いた。くねくねする物の話。

昔、と言っても明治辺りらしいが、そのころはまだたくさん田んぼがあって、ほとんどの人は農民だった。
爺さんの爺さんもそのころは若かったから。何でもこいってかんじだったらしい。
そして、田んぼに水を入れる管理をしているとき、何かがゆっくりめに

クネッ クネッ と動いていたらしい。
ネットで話題の奴とは違う。グネグネグネッと動くのでなく、
クネッ クネッ と動いていたらしい。

不思議に思って近づいてみるが、よく見えない。そのころはみんな視力がよかったし、その人だってかなり目がよかった。
そのことをばあさまに話したとたん、ばあさまは顔色を変えた。

婆さまは「でおった・・・でおったか・・・」と言うだけだ。

理由を聞いてみると、婆さまに逆に質問された。
「色は何色だ?」と、「白」だと言ったら婆さまは少し落ち着きだした。

後日、また仕事をしていたら、そいつは居た。そのときは家に誰もいなかったらしい。
爺さんはそのとき、そいつが近づいていることに気づいた。
猛スピードでこちらに向かってくる。驚いて家に逃げた。戸口が大きな音を立て、ガタガタとなる。物の怪だと思い、戸口に思いっきり塩をたたきつけた。そいつは居なくなった。あっさりと。

婆さまは正体を言わぬまま死んでしまい、正体不明のままだそうだ

 

「かえれ!かえれ!」

おれの友人が友人から聞いた話・・・つまりただの噂と思ってほしい。

大学生だったその人が、夏休みに友人と北関東をドライブしていたとき。
夜10時頃、立ちション目的で車を止め、そんままなんとなく友人と道路沿いの
山(というかただの斜面?)を登ってみたそうだ。
近くには川の上流もあり、せせらぎも聞こえる。
木々の間からの月明りで歩くのには困らないものの、足元の物すらよく見えない。
何か本のようなものを踏んづけたりして「これ、エロ本かな?」とか言っていると、二人の耳に遠くから人の声が聞こえてきた。

それとなく耳を澄ましていると、やがて集団の「わっしょい、わっしょい」というかけ声だとわかった。

「ここら辺のお祭り?」と思ったのも束の間、今度はその声は人の走る速度で斜面を降りてくる。
なのに、そのかけ声の距離が10mほど先になっても、見えるべき人の姿は見えなかった。
ただ、声だけが近づいてくる。
「わっしょい、わっしょい」 「わっしょい、わっしょい」 「わっしょい、わっしょい!」

恐怖と、それ以上にわけがわからず立ちすくむ彼らとその声が重なり、取り囲まれたとき、突如そのかけ声は

「かえれ!かえれ!」

という叫び声に変わり、声は止んだ。
物も言わずかけ降りる友人。彼自身は体がすくんで動けなかったが、その警告以上の危害も声もなかったそうだ。(もちろん体が動くようになったら一目散に逃げた)

特に有名な謂れなどがある山でもなく、なんであんな声が聞こえたかはわからないそうです。

 

転がるタイヤ

怖いことっていうか、口あんぐりで終わった話…。
八ヶ岳の裾のほうの高原には北海道並みの広大な牧場や畑があって、
ゆるいアップダウンで、道がひたすらまっすぐ続く場所がある。
その畑の中で写真を撮っていたんだけど、
手元のバッグの中を整理していてふと顔を上げたら、
20mくらい先にある道の山側はるか彼方から
小さな2つの黒い点がやってくるんだ。
え?何?熊?とか一瞬混乱してるうちにも
点はどんどん近づいてきて、姿がはっきり分かってくる。
え?タイヤ?事故?なんで?とまたまた混乱してる間に、
とうとう目の前を通り過ぎて、ゆるい下りになっている道を
ひたすら転がっていくタイヤ2輪…。なんだか呆然としてしまって、
追いかけるって考えも浮かばなかったんだけど、
そのあと同じ道を山側へ向かっていったんだけど、
事故の形跡はなし。それに直線とはいえ田舎道だからでこぼこだし、
まっすぐ転がり続けることはあり得ない…。
じゃあ俺が見たのは一体何? と今でも不思議な経験です。

 

隠し村

自分の地元のA県で戦後まもなくの事

営林署の職員が休日に山菜取りをしたあと帰ろうと思ったが入り慣れた山のはずなのに何故か迷ってしまった。
日も西に傾き始め野宿を覚悟したころ見たことも無い大きな屋敷の前に出た。
その屋敷は古い萱葺き屋根の建物で人のすむ気配はあるが家の外には人の姿はなかった。
ここは人外の住む場所かと不安もあったが結局野宿するよりはましと考え、一晩の宿を請おうと玄関をくぐると30人分程の数多くの靴が合ったらしい。
応えて出てきた主人は特に怪しい所もない普通の人間で道に迷った旨を告げると快く泊めてくれることになった。

食事の時に広間にはやはり30人ほどの人間がいて幼子から若い女性まで年齢は様々でいくつかの家族がまとまって暮らしているらしかった。

そして何事もなく次の日を迎え
帰りの道を教えてもらいいざ屋敷を去ろうとしたとき主人が
「ここで見た事を誰にも話してはならん。営林署にも街の役人にも俺達の手下はいる。
長生きしたければ大人しく言うことを聞いいた方がいい。」
と言い出したらしい。
主人の顔が余りに真剣であったこと、また話してもいない自分の職場の名を出されたことで
職員は怯えてしまい、70を過ぎ平成の世になるまでその話は胸に秘めていたそうだ。

A県には隠し村の噂もあったりするようなのでちとビビった、て話

 

水神信仰

変な伝承で困り果ててる。

小さい頃魚が嫌いだったことがきっかけで俺は祀られてる。
こう書くとほんとおかしな話だ。

祖父の代まで俺の一族は今はもう廃村となった村に住んでいた。
ちなみに今は俺の一家含め都会人。
その村では、水神信仰があった。俺にはその水神がついてきたってことにされてる。
なんでも、水神はかなり老齢なのに大変やんちゃな迷惑者と思われてたらしい。
ただ一つ弱みがあって、それが大の鱗嫌い。
村の近くを流れる川の縁には昔から不思議と鱗が散乱していたんだとさ。

ある年村の祭祀がもしやこれはと試しに鱗を全てとった魚を供え、村の大事な山道の土砂崩れがおきやすいあたりは鱗を挟んだ石垣をそなえた。
すると、これが効果てきめんで、それまでは祟り神のように扱われていた水神はそれ以来守り神となったそうだ。

ま、こんな迷信普通土地を離れたら消えるよな。
ところが、廃村になって村人が去った後に村の近くにとおされた国道が
もっと頑丈なコンクリートとかを使っていても不思議と土砂崩れの被害が多かった。
都会に移り住んだ元村人達がそれを伝え聞いて、益々迷信を深めてしまったらしい。

はた迷惑なのは、俺もやたらと魚を供えられる。それも川魚。
とくにえらっそうに髭はやしてる鯰とかみるとむしゃくしゃする。
そのちょびひげみたいなのはひっこぬいてやりたいし、見せつけるようにきらきら輝く鱗をとって丸裸にしてやりたい。
海の魚なら我慢もするのに、やれ快晴祈願だ雨乞い祈願だと何かにつけて鮎やら鯉やら届くものだから本当にたまらん。

家業を一家でやってるから親と同居でな。親か妹がいそいそ受け取っちまうんだ。
俺が大の川魚嫌いなのわかってるから三人で優雅な晩酌の肴にしてる。
しばらくはどうせ効かなくてそのうち来なくなるだろと高をくくってたんだが、
長い人はもう十数年にも渡って送ってよこすからほんと不気味でな。

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